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17年前、ヘロヘロになりながらも共に走っていたYさんともう一度会いたいと思ったお話
仕事が楽しくて仕方なかった時期に一番近い存在だった同僚(Yさん)のことを思い出す機会がありました。それをきっかけに記事に起こしたことで、改めて実感したことがあります。それは、Yさんがいたおかげで、わたしは自分を取り繕うことなく仕事に没頭できたということです。
自立した2人だったからこそ成立した2人の関係について、エピソードをまじえながら紹介していきます。5~6分で全文読んでいただけると思います。
先日、クラウドに保存した写真を整理していると、1枚の写真が目に留まりました。わたしの似顔絵イラストに「がんばれー、がんばれー」とメッセージが流れるデスクトップ画像でした。
それは、わたしと同じ会社で人材育成の仕事をしていたYさんという同僚が、残業続きの時期に気分転換に作ってくれたものでした。
その画像を見ながらわたしは、Yさんが「ちょっと見てくださいよこれ、おもろいでしょ?」と、ニヤッとしながらパソコンの画面をわたしに見せてくれた17年ほど前の風景をふと思い出したのです。
Yさんとわたし
その頃、コンサル会社に勤めていたわたしは、企業の人材育成に携わり、研修をしたり、人事制度構築のアシスタントをしたりしていました。わたしが入社したのは、26歳になる年の11月のこと。
Yさんは確か、その年が明けた2月くらいに入社した1つ年下の女性。年下ですが、彼女の方が社会人経験が長く、サービス業で店長を務めた経験もあり、知識もスキルも豊富でした。
ただわたしの方が年上で、ほんの数か月社歴が長いということもあり、お互いに敬語で話すような間柄でした。
自由意志が尊重される環境
勤めていた会社の意向で、Yさんとわたしは「女性活躍推進」という名目のもと、クライアント企業に所属する女性スタッフ向けのコンテンツ開発、運用、を任されることになりました。
その会社にいるコンサルタントは、わたしも含めて20名ほどいたのですが、Yさんとわたしを除いて全員男性だったので、わたしたちはロールモデルどころか、任されている女性向けコンテンツについて相談できる社員がほかにいませんでした。
しかしその一方で、個人事業主の集まりみたいな職場だったので、任された領域に関しては自由意志が尊重される環境でもありました。
(自由だからこそキツかった!)
入社して数か月も経たないうちに、わたしたちは千尋の谷へ突き落された獅子の子のような感覚になり、お互いがお互いの力を借りながら進むしかありませんでした。「年が近い同性の同僚がいてほんとによかった」としばしば言い合ったものです。
そうしてわたしたちは、けもの道をかき分けながら走るように、手探りで新しい研修プログラムを企画し、リリースするということを、2人で協力しながら繰り返しました。
どちらかというとYさんがアイデアを出し、わたしがそれを形にするというやり取りが多かった気がします。
「こんなんどうですか?」
「いいやん、いいやん、ほなこうしましょか」
流行にも敏感でお笑い好きのYさんから出てくるアイデアを、人に伝えやすい形にわたしが整えていくというスタイルで新商材を企画し続けました。
戦いの日々
人材育成の一環として、研修機会を提供するのが仕事だったので、いわゆる新入社員研修の時期は「ものすごい」稼働量でした。全国にお客様がいらっしゃり、新入社員研修は数日~1週間くらいかけて実施する企業が多く、3月後半~4月下旬まで毎年わたしたちは、移動も含めた時間とエネルギーを「ものすごく」消費する毎日が続きます。
冒頭のデスクトップ画像は、Yさんがそんな時期に作ってくれたものだったと記憶します。
それこそYさんとは、2人で1週間泊りがけで、ある地方のの研修施設に缶詰だったこともあります。何年か繰り返すと力の抜きどころも分かってくるのですが、初年度は2人ともヘロヘロ。
新入社員研修の途中に、コンサル先の定期訪問もあったりして、ホテルで目覚めると自分がいまどこにいるのかよくわからなくなるようなこともありました。
男性の先輩社員に見せた企画書のことも忘れられません。先輩から「新しい企画どんなんー?」と言われたので、企画書を渡すと、それをさっと見た彼が「はい、ダメ―」と言いながら企画書に大きくバツ印をつけたのです。その日の仕事終わりに、2人で怒りたおし、2人で泣きました。
20代後半の濃ゆい時間を、こんな感じで一緒に過ごしたYさんは、わたしの戦友と言える存在なのかもしれません。
コミュニケーションタイプの違い
振り返ると、長期的に人間関係を築いていくことが苦手なわたしが、自分のやりやすいように仕事ができたのは、Yさんのおかげだったように思います。
わたしが東京勤務で、彼女が大阪勤務、なおかつお互いが常に出張に出ているという環境のため、四六時中一緒にいるわけではなかったことも、うまくいった理由の1つだと思います。
ただそれよりも、彼女のキャラクターそのものが、わたしが「素のまま」でいても大きなトラブルにならないような働きをしてくれていたような気がするのです。
Yさんと一緒に働いていた頃、わたしはコーチングを(知識として)知っていて、鈴木義之さん「4つのタイプ」という書籍も知っていました。
その時まだ本は読んでいなかったのですが、「タイプ分けコミュニケーション」というアセスメントをしたことがありました。Yさんがサポーター、わたしはコントローラーという結果だったことを覚えています。
本の紹介文から、タイプの特徴を拾うとこんな感じです。
┗実行力で人も場も支配しようとするコントローラータイプ(わたし)
┗注目こそが、やる気の源のプロモータータイプ
┗合意と協調が何より大事のサポータータイプ(Yさん)
┗冷静沈着に現状を分析するアナライザータイプ
実行力と人間味
いまのわたしの知識で2人の関係を大別すると、わたしは「タスク」重視、Yさんは「人間関係」重視の傾向があります。実行力はあるけど人間味の薄いわたしと、人間味ある関わりを大切にしながら行動するYさんです。
「ケガしても目的地までたどりつけばいいんでしょ!」というわたしがブルドーザーで荒々しく通った道を、Yさんは周りとの調和を考えながら、優しく「だれもおいていかないからね!」と言いながら、みんなが歩きやすいように道を整えてくれるようなイメージです。
こう書くと、Yさんがわたしの後ろを歩いているようにも感じますが、そうではありません。Yさんがまず調和をとって、わたしがガンガン進むという場面もあります。
つまり、どちらかが主体になっているのではなく、常にどちらも主体なのです。アシストとかサポートとかいう役割はなく、2人とも当事者として実行していく関係です。
「そうじゃないでしょ」を言える関係
noteを書きながら改めて振返ってみても、Yさんとの関係はわたしにとってとても心地よいものだったようです。「もう一度こんな関係で仕事がしたい」と、そんなことを考える機会が最近増えました。同じエネルギー量だけど、得意が違って、それぞれを補完し合っている。
そしてなにより対等でいられること。
一緒に目標達成していく相手には、「そうじゃないでしょ」と言ってもらいたいと思っています。まして一緒に事業を進めているのであれば、相手を受容しているだけではなんにも進みません。一緒にやるなら、お高いのエネルギーが相乗効果を生めるような関係でありたい。そんな風に思います。
クライアント企業のメンバーが自分たちで設定した課題をやってこなかった場面で、よくYさんに諭されました。「松本さーーん、彼らもいろいろあるんですって。聞いてあげるくらいしてあげましょーよー」って。
その頃のわたしは、クライアントの企業のメンバーが持ってくる「課題ができない言い訳」に一切聞く耳を持っていませんでした。「できなかったのではなくやらなかっただけ」と思っていたからです。(一刀両断。共感要素ゼロ。)
Yさんは、自分のクライアントではないので、わたしの進め方に口出ししないという選択もできます。それでも敢えてわたしに「その進め方では相手がつぶれちゃいますよ」と人間味面でのフォローをしてくれていたのです。
おわりに
20代後半のわたしは、自分とは真逆のタイプとも言えるYさんを受容できていなかったかもしれません。(Yさんごめん。)だけど、40代のわたしは少しだけ大人になれているはずなので、むしろ真逆の方と仕事をしたほうがうまくいきそうと今は思っています。
Yさんはいま、PTAのバレーボール部で熱心に活動しているそうです。学校のPTAの集まりでエネルギーを発揮できることも人間関係重視の傾向の現れでしょう。これもわたしにはない特性のように感じます。
いまわたしは、トゲトゲした20代のわたしと一緒に仕事をしてくれたYさんに感謝の気持ちでいっぱいです。(この気持ち届くといいなー。)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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