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ペルー・アマゾンで年の半分を過ごし、先住民のシャーマニズムを研究してます。2019年に…

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ペルー・アマゾンで年の半分を過ごし、先住民のシャーマニズムを研究してます。2019年にベルリンで映像人類学の修士学生デビュー。アマゾン・熊本・ベルリンの3拠点を往復しながら 時々戦略コンサル/ それ以外はアマゾンと犬のことを考えてます。http://nativesoon.com/

最近の記事

人類学とアート #2 ビエンナーレ

"Artistic Practice"のクラスで議論された「ビエンナーレ」とそれを人類学的に考えるための視座について、以下忘備録としてのまとめ。 ビエンナーレの歴史と位置付けビエンナーレ(イタリア語で2年周期の意味。英語は、バイエニアルbiennial)は、ベネチアで開催(1895年設立)されて以降、サンパウロ(1951年設立)、シドニー(1973年設立)、ベルリン(1996年設立)と続き、現在は世界に150以上あるといわれている。80年代にベネチアで最初のビエンナーレが開

    • 人類学とアート #1

      昨年10月にはじまった修士過程が、この10月で2年目に突入してしまった。そいでそのうちの半年以上がコロナで身動きとれなくて、これまでみたいなフィールドワークできないとかなんなの〜ひー。 しかし、そんなこととは関係なしに時は進んでいくわけで... 調査フィールドがペルー・アマゾンな私の不安をよそに、来年10月の卒業に向けた修論の制作指導がスタートした今日この頃。 10月〜2月半ばまでを目処に行われるオンライン授業と並行しながら、修論のプロボーザルを提出し、4月頭までにフィー

      • 「宿題あとのばし」の癖は消えないどころか悪化する一方

        卒論制作のプロポーザル提出まであと1週間弱。こういうタイミングで行くTSUTAYAと図書館は本当によくない。でも行く。知ってるのに行く。 この3倍くらいの積読の本と論文もあるし、3週間で課題制作してエッセイもかかなきゃいけないのに... その制限がかえって甘美な囁き。コンサル時代の徹夜スピリットが抜けず、追い詰められたらなんとかなるっしょ と思ってるのもよくない。いや、そもそも小学生の頃から、宿題を後伸ばしする癖が1mmもなおってない。 元々TSUTAYAには「アル

        • 再生

          News From Home (邦題:家からの手紙)民族誌映画を見る #1

          シャンタル・アッカーマンの「News From Home (ベルギー=フランス/1976年/89分)」には、あらすじがなく登場人物もいない。映画を勉強するために留学しているらしい「わたし」の目線でみるNYの街並みに、遠く離れて暮らす母からの手紙を読む「わたし」のナレーションがオーバーラップする... ただそれだけなのだが、NYの街並みと母からの手紙が重なり合ううちに、都市を生きる「わたし」の孤独と家族への焦燥感が滲み出でてきて、奇妙な詩的情景が紡ぎ出されていく。 何通も何通もおくられてる母から「わたし」への手紙には、家族だけがわかる「ニュース」が綴られているけれど、その内容はとりとめがなく覚えていることは難しい。「わたし」は、NYでたくさんの友達をつくり充実した暮らしをしていることが母からの手紙を通して語られるけれど、「わたし」が描くNYはどこまでも傍観者的で、ウディアレンやスパイクリーのNYはどこにも見当たらない。 街角や地下鉄の駅、立体交差する道路や倉庫街。それらはありふれているから覚えていられないし、たくさんの人が歩いているのに「わたし」の友達らしき人はひとりもでてこない。子連れ、ビジネスマン、老人、恋人たち。多様な血筋を持った人びとが、それぞれの時間を生きている。「わたし」はそれを眺めながら、積極的に関わりを持つことはなく、家族の物語に縛られている。 89分の間に体験するのは、傍観者として眺めるNYに遠くはなれた家族の物語を投影する「わたし」の視点である。 アッカーマン20代半ばの作品。NY育ちのクラスメイトは「こんなNYを見たことがなくて新鮮だった」と言っていたけれど、私は初めての海外長期滞在先だったバークレーの街並みを思い出していた。他人のようだった街は、どうやって「わたしの街」になるんだろうか?

        人類学とアート #2 ビエンナーレ

          ブラジルの先住民によるコロナとの闘い

          アマゾンの先住民が、コロナ下で危機的な状況に晒されている。特に、6月29日時点で感染者数136.8万人に達したブラジル(在ブラジル日本国大使館のリンク参照)では、先住民組織のリーダーたちが「(先住民の)大量虐殺につながる」と悲鳴をあげるほどの苦境が続いているという。 ブラジル先住民のコロナ感染状況(6月28日時点) 先住民への最初の感染例が報道されたのは、4月2日。ロイター通信は、アマゾナス州の州都・マナウスから約880kmの距離にあるサント・アントニオ・ド・イサ地区(下図

          ブラジルの先住民によるコロナとの闘い

          「映像」人類学 と「メディア」人類学

          所属している修士過程 を「映像」人類学と言い切ってしまったが、正確にいうと「映像およびメディア人類学」であり 他学部との比較でみると「メディア人類学」の比重が極めて高いことに、入学してから気づいた(遅!)。そもそも、この2つを並列して提供する修士がほぼ見当たらないことを考えると、映像とメディア領域における人類学をまとめてカバーする点(≒ 各分野の学習深度は浅くなりがち)は、このコースの最大の特徴かもしれない。 では、映像人類学(英:Visual Anthropology)

          「映像」人類学 と「メディア」人類学

          熱帯雨林を抜けるとそこはベルリンだった

          年の半分をペルー・アマゾンで、残り半分を熊本(=故郷)で過ごす暮らしに切り替えて丸3年が経とうとしている。 ざっくり自己紹介:フリーのコンサルタントをしながら、2017年より年の半分をペルーアマゾンで過ごし、先住民・シピボ族のシャーマンに師事。アマゾン熱帯雨林の研究に携わりながら森に木を植える人生を送りたくて、2019年10月、ベルリンの大学院に入学。映像人類学研究者としてよちよち歩きをはじめました。アマゾンの先住民がもつ身体性を伴う自然観とデジタルテクノロジーによって拡張

          熱帯雨林を抜けるとそこはベルリンだった