見出し画像

熱帯雨林を抜けるとそこはベルリンだった

年の半分をペルー・アマゾンで、残り半分を熊本(=故郷)で過ごす暮らしに切り替えて丸3年が経とうとしている。

ざっくり自己紹介:フリーのコンサルタントをしながら、2017年より年の半分をペルーアマゾンで過ごし、先住民・シピボ族のシャーマンに師事。アマゾン熱帯雨林の研究に携わりながら森に木を植える人生を送りたくて、2019年10月、ベルリンの大学院に入学。映像人類学研究者としてよちよち歩きをはじめました。アマゾンの先住民がもつ身体性を伴う自然観とデジタルテクノロジーによって拡張される現代的なニューネイチャーの交差地点にアンテナをはり((Native Soon (http://nativesoon.com/ ))、これらを視覚化すること、その身体感覚を持続可能性のあるコミュニティとして具現化・実践していくことに情熱を傾けています。アマゾン熱帯雨林と先住民文化・犬が好きです。

占星術によると2019年は木星射手座期で、射手座は12年に1度級の幸運な年だったらしい。
そんな射手座な私の2019年。振り返ってみると....

4月:オンライン主体のプログラムを提供するベルリン自由大学・映像人類学修士過程の受験を決断(熊本)。4月半ばにアマゾンの自宅に戻る

7月:アマゾンの自宅で願書とポートフォリオを作成。大学に提出

8月:植物修行に入ったタイミングで、友人からのアマゾン大火災のメッセージと共に大学から合格通知を受け取る(かろうじて3Gが繋がってた)

9月:熊本の実家に戻る

10月:修士過程がスタート(11日〜)入学式および年に2回開催される2週間の現地講座に参加するため、約3週間ベルリンに滞在。10月末にベルリン→アムステルダム(1日滞在)→ロンドン(3時間滞在)を経由して熊本に戻る。

11月:オンライン講座がスタート(12日〜)

という流れで、2019年10月からは、従来の熊本・アマゾンの2拠点生活にベルリンを加えた3拠点生活を始めることになった。

東京からの完全撤退と同時にコンサル業も完全リモートに切り替えたため、日中は東京の方たちとお仕事をして、オンライン授業が始まる日本時間の夜中1時〜3時(ドイツ時間の17:00〜19:00)は世界中に散らばるクラスメートたちと共に、ベルリンで行われるオンライン授業に参加する。すべてがバーチャルで完結する暮らし... 

パジャマを着たまま1人ナイト・オン・ザ・プラネット、1人カムチャッカの若者気分なミドルエイジの日常、いや青春期が始まってしまった。

写真上から:2017年に暮らしていたペルー・アマゾンの森の家 / 2019年から住みだしたペルー・アマゾン地帯の都市近郊にある家 / 8月半ばに大学通知を受け取ったアマゾンの修行場 / 10月に訪れたベルリンの街並み

画像1

画像2

画像4

画像4

Notingの目的 

さて、ここでnoteをつける目的を宣言しておきたい。それは現在受講しているベルリン・HMKW映像人類学修士過程での学びを記録すること、研究テーマに関するアイデアを記録することの2点にある。

注)映像人類学ってそもそも何?という方は、Wikipedia先生に聞こう ↓
映像人類学(えいぞうじんるいがく)は民族写真、映画、そして1990年代半ば以降はニューメディアの研究と制作に関与する社会人類学の分野である。 より最近では、科学と視覚文化の歴史家によって実施されている。

HMKW映像人類学修士: 概要

1つめの目的:修士過程での学びを記録するために先ずは、コースの概要の記録から。

社会人をターゲットとしたこの2年間の修士過程は、各年2回 x 約2週間に渡って開催されるベルリンでの集中講座を除くと、全講座がオンラインで行われる。年に2回の現地講座さえ受ければどこで授業を受けても構わないし、ベルリンに住みたければ学生ビザも申請できるというフリーダムさ。これが最大の特徴。

注)当コースは元々ベルリン自由大学が提供してきた社会人向けの人気講座だったが、19年から提供元がHMKWというカレッジに移転した。そのため、19年以降、所属機関はHMKW Visual and Media Anyhropology MA(19年でGeneration 12)に変わる。

仮にベルリンに住んだとしても、ほぼすべてのクラスに「物理的な教室」が存在しないため(∵ 講師自身も様々な場所から授業を発信する)、どこかのカフェで聴講してる子もいれば、旅先から参加してたり、仕事先や帰宅途中のバスの中から参加してるクラスメートもいたりで、場所の自由度がめちゃ高い。

自分は元々、『美術手帖 (18年号6月) アートと人類学』の紹介文を読んでここの修士1択だったんだが

画像5

☝︎「90%超の講座内容をオンラインプラットフォーム化したことで、様々な国籍とバックグラウンドを持つプロフェッショナルを集約することに成功している」が正しい描写だと思う。これを書いていた2019年12月には予想だにしなかったコロナに直面しても、講師・生徒がすでにオンライン環境に適応しきってる点には先見性を感じた。

スクリーンショット 2019-11-20 2.53.36

写真:オンライン講座の様子。参加している生徒は画面上に表示され、画面共有されたプレゼン資料を見ながら講座を聴講する(注:画像は筆者により編集)。画面は、講師がおすすめの展示を紹介しているところ。
Exhibition: Media Art from China at Berlin State Museums https://www.smb.museum/en/exhibitions/detail/micro-era.html

コースに参加する約30名のクラスメートたちは欧米や日本の他、エチオピア、南アフリカ、トルコ、グルジア、ウクライナ、ロシア、インド、中国、台湾、トリニダード・トバゴ、メキシコ、ホンジュラス、コロンビア、ブラジル  など20カ国超の国々から参加しており、

多様な国籍の子たちと、オフライン⇄オンラインで協働しながら議論ができる点も魅力的だと思う。

HMKW映像人類学修士: 講座内容

続いて肝心の講座内容だが、1年目は以下3つの学習要素から構成されており

❶ ベルリンでの現地WS: 2週間  ❷オンライン講座: 約4ヶ月 ❸課題制作(=講座休み): 約2ヶ月 

この3要素を半年かけて年に2回実施する。3つの学習要素からなる半年間の授業=1セメスターとカウントし、2年間の修士期間中に合計4つのセメスターごとに単位を取得する仕組みになっている。(2年目以降は、卒業制作が主体)

尚、1年目の1セメスター時に実施された❷オンライン講座は、以下5つの分野で構成されており、この各分野は更に「ユニット」と呼ばれる1.5時間の授業 x 12回から成る。分野名と分野別の講座スケジュールは以下の通り。

1: Theory and History of Social and Cultural Anthropology, Monday 
2: Digital Anthropology, Tuesday
3: Immersive Storytelling, Wednesday
4: Ethnographic Film From the 19th to the 21st Century, Thursday
5: Ethnographic Methods, Friday
* Special Course: Genres and Sub Genres (Analysis of the Media & Film) 


1は人類学の理論と歴史のクラス。2はデジタルメディアの人類学、3はVRやARなどイマーシブメディアの人類学、4は19-21世紀の民族誌映画の分析、5は人類学におけるフィールド調査の手法 をそれぞれの大テーマに据えている。

これら5つの講座でカバーする人物をランダムに列挙すると... レヴィストロース、マリノフスキー 、マーガレット・ミードにグレゴリー・ベイトソン、クリフォード・ギアツ、ジェームズ・クリフォードにジョージ・マーカス、スチュワート・ホール、ガヤトリ・C・スピヴァク、ダナ・ハラウェイ、セルゲイ・エイゼンシュタインにジガ・ヴェルトフ、ジャン・ルーシュ、フレデリック・ワイズマン、クリス・マルケル、シャンタル・アケルマン、アイヴァン・サザランド、クリス・ミルク、ダニエル・ピンク などなど 

「未開」文化の人類学に始まり、デジタルは人間の知的創造プロセスをどのように変えたのか、VR/AR/MRは人間の知覚・身体感覚をどう拡張するのか、人類学的なストーリーテリングの手法としてこれらをどう活用しうるか?民族至上主義、フェミニズムやLGBT、デジタル・アイデンティティ、シェアエコノミー、データ・プライバシーと主権性、メディアアクティビズム、民主主義としてのハッキング、などなどその他多数。

やるもやらぬも己の責任で、「THE・自分との戦い」という名のオンラインエクストリームスポーツに励み続ける感じ。

長くなったが、この多様な学習領域での学びを記録することが、Notingをはじめる1つめの目的である。

研究テーマのオンラインブレスト

目的の2つ目が、自身の興味・関心を発酵させながら、修士過程で取り組む研究テーマのブレストをすることだ。
ちなみに.... 2019年12月時点の関心は、

アマゾンの先住民はどのように自然を把握し、人間と非人間の関係性を構築するのか?(シャーマニズムというメディアに映写された人間・自然・精霊の関係性と各シンボルの意味合い)
「環境」そのものになろうとしているデジタルテクノロジーは、私たちにとっての「ニューネーチャー」となるのか?
そのような環境下で、人はどのように知的世界を構築・生産していくのか?

だったらしいが、これを最初に記録したときから、気づいたら半年間が経過していて(!)、研究の関心テーマも拡張・縮小・進化を繰り返している。

その間に、修士課程は第二セメスターの中盤にさしかかっているので
ここでの学びと面白いと思ったテーマをランダムに記録していきます。


まずは正しい問いをたてないと何もはじまんないからね。

画像6

では、また。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?