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【マイノリティデザインはユニバーサルデザインになりえるか?】誰にでもやさしい「コミュニケーション」を考える

最近インスタで好きな本の投稿をしています。おとといは『マイノリティデザイン』を。

たまたま昨日、NHKのあさイチでも特集をやっていたそうで、ゆるスポーツが世に広まっていくことは嬉しいですね。


私自身、現在は言語聴覚士として発達支援に携わっていますが、学生時代は、海外にルーツのある(特に親の母語がポルトガル語の)子どもたちとの関わりや、日本で暮らすアジア各国の人たちとの関わりの中で日本語教育養成の課程を履修したり、日本語教師を目指していた時期もありました。

言語聴覚士も日本語教師も、音声学や言語学など重複する部分が結構あります。発達の視点から学んでも、第二言語習得の視点から学んでも「ことば」「コミュニケーション」の世界は、やっぱり面白い。

やさしい日本語との出会い

みなさんは、『やさしい日本語』を知っていますか?

簡易な表現を用いる、文の構造を簡単にする、漢字にふりがなを振るなどして、日本語に不慣れな外国人にもわかりやすくした日本語である。(Wikipediaより)

1995年、阪神淡路大震災をきっかけに、母語が日本語ではない人達にも理解しやすい日本語の研究が始まり、少しずつ発展して、現在も防災マニュアルなどに採用されています。

2011年の東日本大震災の際にも「やさしい日本語」が活躍していました。非常時は多言語に翻訳している余裕がありません。「津波が来る恐れがありますので直ちに避難所へ避難してください」と放送するよりも「いますぐ、にげましょう」「ここは、あぶないです」「たかいところに、いきます」と声をかけるほうが、遥かに多くの命が救えるように思います。

震災に限らず、このたびのコロナ禍では様々な情報が流れていますが、やはり医療現場で使われる言葉もまた難しい。

ワクチン接種に関する「やさしい日本語」動画も見つけました


具体的に、わかりやすい語彙で、端的に伝えること

結局、「やさしい日本語」を使おうが使わまいが、相手にとって重要度の高い情報が確実に伝われば良いのです。

不要な情報・重要度の低い情報は捨てても良い。必要なことを抽出して伝わるように伝える。そこが本質だと思います。

必要なことを伝えるためには、どうしたらよいでしょう?

例えば、動画や写真、実物、イラストなどを使って視覚的に示すことで、ことばだけで伝えるよりぐっと具体性が高まりますね。

難解な熟語を並べなくても、相手にとってわかりやすい語彙をえらんで言い換えたり、例え話を取り入れたりするだけで、理解度がぐっと上がります。

伝えることが複雑で長文になってしまう場合には、適度な長さで区切って言い切るなどの工夫も有効ですね。

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あれ、これって、発達支援にそのまま使えるのでは??

いやいや、発達支援どころか職場でのコミュニケーション、夫婦・親子のコミュニケーションなどどこでも応用できるはず。


”日本語に不慣れな外国人”向けに考えられた「やさしい日本語」ですが、その考え方は、高齢者、障害児者にもわかりやすい。そして誰にでも「やさしい」コミュニケーションになりえる。現になっている。

相手の伝えたいことが理解できれば嬉しい!相手にしっかり伝えれば嬉しい!


「困っている誰かのため」が「みんなのため」になるといい

『マイノリティデザイン』では「ゆるスポーツ」を通じて、障害者と健常者が一緒になって笑いあえる空間が紹介されています。

また震災をきっかけに生まれた外国人向けの「やさしい日本語」は、高齢者、子ども、障害者にとってもやさしいコミュニケーション手段になりつつある。

同じように、より丁寧な「療育的関わり」が、教育界で一般的に行われるようになって、障害の有無や、自治体から認められた支援の必要性の有無などにかかわらず、安心して過ごせる子どもが増えるといい。その一部は「合理的配慮」という名前で学校や企業にも取り入れられてきているけれど、実態はまだまだ壁が多い。みんなが一緒になって笑いあえる緩い空間をもっと増やしていこう。

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(http://madewithangus.com/#illustration https://interactioninstitute.org/)


今日もまた、「特別」と「当たり前」の境界線の薄め方と、より「ゆる」く、より「やさしい」コミュニケーションについて模索していこうと思います。



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