コンプラを守っても面白いものは作れるし、人の容姿を笑わなくたって人生は楽しい
こんなツイートを見かけた。
本っっ当によく見かける「今はコンプラ厳しいから◯◯だ」という言葉。
テレビで芸能人が「厳しい時代だから」などと言っているのを見ると、残念な気持ちになる。好きな芸能人ならなおさら、あなたもそう考えるか、と。
あまりにも共感したので、引用ツイートをした。
とても言いたいことなのでここにも書くが、誰かを貶すことでしか笑えないというのはとても乏しいことだと思うし、未来の子どもが容姿を貶す番組を見た時に「何これ笑えないんだけど」って、誰の目も気にせず言ってくれる世の中になってほしい。
このツイートで思い出した話があったので、それもついでにツイートした。
Twitterは短いので要約させていただいたけれど、私は坂元裕二さんのこのインタビュー記事がとても好きで、何度も読み返している。
ここにそのくだり(インタビュアーから「食卓のシーンで、男性ふたりが料理をつくるも印象的でした」と言われた時に坂元さんが答えた言葉)を引用しておきたい。
(本:脚本家 坂元裕二より)
元々大ファンだったのだが、これを読んで心底大好きになった。そしてなにより、カルテットが証明してくれた。
コンプラを守っても面白いものは作れるし、人の容姿を笑わなくたって人生は楽しいということを。
私は、沈黙をやめることにした
実は私は最近まで、こういった問題に提言することを控えるようにしていた。単純に怖かったからだ。
そういう話を積極的にしようとすると、「あぁ、うるさいタイプの人ね」ってリアクションが返ってくるし、「あの人は”そっち系”だから気をつけて」と小声で誰かのことを言う輪の中に入っていたこともある。何より年数かけてその手の話に無感情でいられるようになったのだから、わざわざ反応して傷つきたくなかった。
正直、女を生きていると、差別的な言葉やセクハラには散々傷つけられる。そういう言葉にひとつひとつ反応していたら壊れてしまうから、幼少期から少しずつ心を閉じる努力をしてしまう。無意識に。
そういった言葉が発せられるのは男からばかりではない。女からも同じくらい多い。
過去に、既婚女性は夜にお酒を飲むべきではないのか というブログにも書いたが、私は祖母から言われた「お母さんは掃除ができないから前のお父さんに振られたんだよ」という言葉を長い間引きずっていた。
私の前の父はギャンブラーだった。同じ時間を使ってギャンブルをしていた人と、下手だけど掃除を頑張った人がいて、咎められるのは掃除の下手さだったことにショックだったのだ。
今は自分も既婚者なので、夫婦が離婚に至る原因の本当のところなんて、祖母も含めて他人には分からないと思うことができる。だけどその時は「たった掃除くらいで」と思ってしまったのだった。
だけどそういう話をするたび母は「自分が悪い」と頑なに言う。きっと人から責められ、自分でも責めてきたのだろう。悲しい。女手ひとつで朝晩働いて子ども2人を育ててもなお、自分自身を責めてしまう「女らしさ」の呪いが私は憎い。
たったひとりで私達を育ててくれた人を、家事ができないくらいで責めないで欲しい。
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話を戻す。こういった問題に、少しずつ声を発するようになったのは最近のことで、あるきっかけがあった。
独立研究科でありパブリックスピーカーの山口周さん著書「ビジネスの未来」の一文を読んだことだ。
衝撃を受けた。その通りだと思ったし、被害者みたいな顔をして生きてきた自分の当事者意識のなさにがっかりもした。
私は衝動にかられ、自分が問題だと思っていることを書き出した。そして自分がシステムの一部としてしてしまっていることを、恐る恐る書いてみた。
すると、そのほとんどが「沈黙」「我慢して受け入れてしまうこと」だったのだ。
黙ることで自分を守っていたつもりが、黙ることでシステムに加担していたのだ。ショックだった。
昔の自分のために、今の子ども達のために、私はシステムの一部にならない表明をしなくてはいけない。
いつだって大きな問題について考える時浮かぶのは「私一人が声を上げたところで何も変わらない」という考えなのだけれど、先程引用した言葉の文脈の中に、こんな言葉もあった。
要はバタフライエフェクトなのだが、黙るのはやめようとシンプルに思った。
最後に、心がけたいこと
ここまで書いたことを踏まえた上で、とても大事にしたい考えがある。それは私が女であり当事者だから敏感でいられるということだ。
当事者ではない人が、想像力を持って言葉を選び続けるのはとても難しい。だから「コンプラうるせぇ」って言ってる人には反発するけど、悪気なく言っちゃった人に対して牙をむいてしまわないようにしたい。誰だって、なったことがない気持ちなんて分からないし、人が変わると決めることや、実際に変わることはそんなに簡単じゃない。
私も最近、治そうと頑張っている短所があるけれどなかなか苦戦している。変わるのは難しいのだ。だけど変えていきたい。せめて半径50メートルくらいを、私たちの子ども世代が大人になるくらいまでには。
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