秋田生活はじまる
秋田生活が始まった。
320キロ、4時間半車を走らせて十和田から秋田へ。晴天に恵まれたせいもあり、無事秋田に辿り着いた。
ただとても疲れてしまい(何しろ引っ越し前もハードスケジュールだったので)、ホテルの受付をする時は身体が小刻みに震えていた。
けちくさい会社のはずが、何故か天然温泉つきの宿を取ってくれていた。テンションがあがる。
ベッドにはちょっとだけ横たわって、すぐさま起き上がった。こんな所で休んでいる暇はない。秋田のお酒と料理が僕を呼んでいる。
秋田生活初日は、秋田っぽいものを食べなくてはならない。それが絶対命題だった。バルみたいなお店でワインを飲むのも好きだけれど、今日はそういう日ではない。秋田生活初日は、後々まで記憶に残る可能性のある大事な日である。秋田の地酒を飲みながら郷土料理を食べなくてはならない。
事前に目星をつけていたのはきりたんぽ屋というお店だった。秋田といえばきりたんぽ。秋田生活初日はきりたんぽ鍋を食べなくてはならない。
が、この日は金曜だった。元々危惧していたことではある。金曜日の川反は予想通り人が多かった。
お目当てのきりたんぽ屋の暖簾を潜ろうとしたら、そこには本日予約で満席の文字が。
車でどれくらいの時間に着くのかいまいち読めなかったので、予約はしていなかった。しょうがない。
すごすごと引き返し、次なるきりたんぽの店に向かう。明らかに老舗といった感じの店構え。
入るなり、店主らしき人と目が合う。1人で、と伝える為に人差し指を立てると、店主らしき人は少し哀しそうに首を振った。 やっぱりここもダメですか。そうですか。
さて。
2回断られると、もう断られたくないな、と警戒心が働く。旅(転勤生活)の初日に無駄に傷つくのは避けた方がいい。
他にも目星を付けていたお店も幾つかありはしたが、そこはどこも有名店ばかりである。有名店はどこも満席の可能性がある。
そんなことを考えながら川反の街を歩いていると、きりたんぽ鍋を売りしているらしいお店がふと目に入った。外壁にメニューの看板が貼り付いていて、きりたんぽ鍋やら郷土料理らしきメニューがずらっと並んでいる。
えいやっ。何も考えず戸を開けて中に入った。
4時間半車を飛ばしてきたのでドライビングハイになっている。そこにきりたんぽがあるのに、逡巡する理由は何もなかった。
入ってみたら趣のある大きなコの字型のカウンターがあり、その向こう側にいる着物を着た高齢の女性と目が合った。
僕はお得意のあのポーズを決める。右手人差し指を立て、「一人ですが大丈夫でしょうか?」のサイン。
店員の女性は笑顔で歓迎してくれて、席に通された。
きりたんぽ鍋は目の前で女性店員が作って取り分けてくれる。旅先の郷土料理のお店って感じで色々話しかけてくれる。
明治時代の温度というからあんまり冷えていないかな、と心配だったけど普通に冷えていて美味しかった。
この後は八戸のバーローズガーデンでオススメされていたバーレディへ。
いいバーだったよ。また行きたいな。
こんな風にして秋田生活の出だしは順調に始まったのでした。
この文章は今月上旬、転勤直後に書き始めたものだけど、その後遊び呆けて書くどころじゃなかったので、今頃続きを書いて公開。
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