ヒーロ

映画、演劇、小説、アートっぽいものが好き。基本、いつも疲れています。カフェや居酒屋、バ…

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映画、演劇、小説、アートっぽいものが好き。基本、いつも疲れています。カフェや居酒屋、バーに行くのも好き。

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  • 創作ノート

    小説を書いているときのお悩み集。

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最近の記事

ちゃんと息を吐くこと

春はいつだって疲れている。冬は寒いから嫌いだけれど、そのくせ冬が続いている間は割と元気なことが多い。春が近づき、突然暖かくなったり寒くなったりを繰り返すと、体調は目に見えて悪くなる。眠れなくなったり、朝起きても身体に力が入らなくなったり、日中眠気に襲われたりする。毎年のことのはずなのに、慣れない。対処法がわからない。  ふとテレビをつけたらさんまのテレビ番組で何かの先生が呼吸法について話しているのを目にする。現代人はちゃんと息を吐ききらないから、ちゃんと息を吸えていない、

    • 雪降る夜の燗酒

       最悪だ。店の外に出て降りしきる雪を見て思う。一歩足を踏み出す。長靴が雪の中に沈む。空気が冷たい。冷たいというか痛い。ダウンジャケットのフードを被り、傘を差す。顔面を雪が叩く。眼鏡が濡れる。傘は一刻毎に雪で重みを増す。  最悪だ。雪に足を沈ませながら何度も思う。会社を呪った。こんな時期にこんな辺境の地に異動させやがって。  12月に千葉から青森県十和田市の店舗に異動になった。全国展開しているドラッグストアで、全国転勤可のナショナル社員として働いているのだから文句は言えない。で

      • 太陽の塔にのぼった話

         ずっと行きたかった場所に行くのがいいのだと思う。行きたかった場所に行って、思っていたのと違った、と幻滅することがあまりない。行きたかった場所には、ずっと行きたかったという思いが乗っかっている。たとえそれが思っていたのと違ったとしても、もうそこに行くまでに感動する準備が整っている。だからそれを見るだけで感動してしまう。  大阪に行った。1番のお目当ては太陽の塔だった。大学時代、特に就職活動をしている頃、鞄にはいつも岡本太郎の『自分の中に毒を持て』が入っていた。岡本太郎の言葉

        •  久しぶりにスナックに行った話

           スナックに行ってきた。スナックには今まで何度か行ったことはあるのだが、いつもどこかアウェーである。中に入ってしまえばホームのよう、それがスナックの良さではあるが、入るまでは非常にアウェーである。外からでは中の様子がよく分からない。ガラス張りなら外から中の様子を窺うことができるけれど、大抵のスナックはビルの中にあったりして、ドアで閉ざされている。  久しぶりにスナックに行こうと思ったのは、その日の気分が良かったせいもある。昼間に買わなければと思っていたテレビをようやく買って

        ちゃんと息を吐くこと

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          2本
        • 小説
          5本

        記事

          佳作の女

           そうだ喜多屋旅館に行こう。それまでは思い出すこともなかったのに、そう決めた途端、心が浮き立った。  三年ぶりの喜多屋旅館は、あのときと何も変わっていなかった。思い出の中で美化され過ぎてこんなものかと落胆するかと思ったのに、そんなことはなかった。たくさんの照明に輝くエントランスは、むしろ三年前よりも輝きを増して見えた。  大きすぎるふかふかのベッドで微睡んだあと、温泉で旅の疲れを癒やす。夕食の時間まではまだ少しあるので、本がたくさん並んでいるロビーに腰を下ろした途端、記憶が蘇

          佳作の女

          見覚えのある人

           盛岡生活も5ヶ月目を迎え、見覚えのある顔の人とすれ違ったり見かけることが多くなった。  飲み会で一緒になった人だったり、イベントで近くの席に座っていた人だったり、行きつけのスタバの店長だったり、落ち着いた個人経営のカフェの店員さんだったり。  僕は食べて歩いてばかりの人間なので、見かけるのも飲食店の人が多い。  今日は行きつけのスタバで、3日前に行ったカフェの店員さんを見かけた。仄暗い空間に静かな音楽が流れる、カメラのシャッター音も憚れるようなカフェで働くその女性の店員

          見覚えのある人

          パエリアの夜

           人と話すことがあまり好きではないし、得意でもない。  僕は本当のところ、ずっと黙っていていいのなら、ずっと黙っていたい人間だ。  それなのに、最近は人と話す機会、人に会う機会を積極的に作るようにしている。  昨日はパエリア会なるものに参加した。  美味しいものを食べるのは好きだけれど、パエリアをひとりで食べるのは難しい。  だから皆で一緒に食べましょうという会。  パエリア会の参加者は全部で7人。会場はスペイン料理屋のスパニッシュライツ。  この会の主催者であるKさんとそ

          パエリアの夜

          不毛な会話

           最近人と話すことが増えた。それも見知らぬ人と。今日は子供が一人いるアラサーの主婦と話した。話しながらランチをした。広い公園を壁一面の大きな窓から見渡すことができるサニーズカフェというお洒落カフェで、僕はラグーパスタを、彼女は大人のナポリタンを食べながら話した。大人のナポリタンにはタコさんウインナーがのっていて、どこが大人なのかはよく分からないと彼女は言って笑った。  盛岡という場所はやはりそれなりに都会であるから、話し相手を求めようと思えば割と簡単に手に入る。ジモティーな

          不毛な会話

          芸術の秋

           最近インプットばかりでアウトプットをしていない。  今日は文化の日で美術館が無料だったので、岩手県立美術館で高畑勲展を見てきた。  手書きのノートに書かれた膨大な量の文章、プロット、そんなものに圧倒された。  作品を作る為には膨大な積み重ねが必要なのだ。そんな当たり前のことを思った。  今日は文化の日なので美術館が無料だった。ありがたい。無料は楽しい。  昨日ぶらりと入った本屋、ブックナードで柴田聡子のダイアリーが並んでいるのを買った。そんな風に買うつもりのないものを偶

          芸術の秋

          8月21日 何だかやる気がわかない日

           何も書きたいことがないのである。というよりも、書く事に集中できていない、書く事から遠ざかりすぎているのか。秋田から盛岡へ。日々を忙しく生きてはいるが、自分自身に集中できていない。自分に集中する為には安定が必要だ。僕はまだ安定していない。毎日発見の連続で、それを記録するのももったいないと感じてしまう。  僕は一体何を書きたいんだろうな。川上未映子の『黄色い家』を何ヶ月かかけて漸く読み終わって、ああ作者はこういうことが書きたかったのかなとは思ったけれど、それは自分が求めている

          8月21日 何だかやる気がわかない日

          秋田ロス

           秋田ロスが凄い。秋田っていい所だなあと住みながらずっと思っていたけれど、5ヶ月で秋田を離れることになって、盛岡に移り住んだ今、秋田ロスに苦しんでいる。  盛岡も良い所に違いないし、これからいろんな好きな場所を発見していくことでどんどん好きになっていくのだろうけれど、今は秋田の幻影がその足を引っ張っている。  秋田は去り際に本当に美しい姿を見せてくれた。その1番はまず竿灯まつりである。秋田を去ったのは8月9日。3日から6日まで行われる竿灯は2回観ることができた。感動した。

          秋田ロス

          そして秋田を去る

           秋田を去ることになった。秋田には3月4日に来て、8月9日に発つ。たった5ヶ月の滞在。早い。あまりにも早い。まだまだ秋田でやりたいことはたくさんあった。  僕にとってこの5ヶ月間、秋田という街は輝いていた。曇りの日も、雨の日も、豪雨の日でさえその輝きは消えなかった。なのに、異動の報せを受けたその翌日、晴れていたはずなのに街は輝きを失って見えた。  もうこの街は僕のものじゃないんだ、そう分かった途端、街はよそよそしく見えた。ここは旅先で、ほんの一時の間滞在した場所に過ぎない

          そして秋田を去る

          ラベンダー園の前にゴマシオキッチン

          今日は晴れて暑い1日だった。 梅雨入りしているが、雨の日はそんなに多くない。この後も晴れの日が多いようだ。こんな風に梅雨が終わってくれるならそんなに嬉しいことなんてない。梅雨なんて大嫌いである。 今の時期には今の時期にしかできないことをしたい。 美郷町のラベンダー園でラベンダー祭りなるものが行われていると知り、行ってきた。 美郷町は秋田市から車で高速を使って1時間位の所にある。 車での移動は好きではない。移動は極力電車と徒歩でしたいのであるが、ラベンダー園

          ラベンダー園の前にゴマシオキッチン

          秋田旅行1日目 その2

          角館を出てからは田沢湖に向かった。田沢湖には何があるか? たつこ像がある。  と言うわけでたつこ像を目指して車を走らせる。  途中、雨は降ったり止んだりを繰り返していた。   家族というのは不思議な存在だ。数年ぶりに会ったというのに、あっという間に昔の感覚に戻って、昔のように話し、そして車内にはすでに気怠い気配すら漂っている。  30分ほど車を走らせて、たつこ像の近くのホテルの駐車場に車を停める。事前の情報だとホテルの客以外は駐車料金が取られるとのことだったけれど、

          秋田旅行1日目 その2

          秋田旅行1日目

           両親と妹が秋田にやってきて、一緒に秋田県内を旅した。  両親に会うのは1年半ぶり、妹に会うのは3年ぶり位である。  待ち合わせは角館。台風が近づいている影響で生憎の雨だったけれど、秋田から1時間以上車を運転して角館に着き、無事三人と合流したときにはうまい具合に雨が止んでいた。  駅前に車を止めて外に出るが、どんな風に待っていればいいのか迷う。駅の方を向いて待つのはいかにも待っていましたという感じで格好が悪い。結局駅から少し離れた所にある角館の町案内マップのようなものを

          秋田旅行1日目

          もっと日記書きたい

           そう言えば全然書いてないなぁと思い、noteを開く。書いていないということは毎日が充実しているということか。書くような出来事はたくさんあったのだけれど、書く時間がもったいない気がして、結局書かなかった。  ひとつ前にnoteで書いた日記を読んで、面白いなぁと思う。もう忘れてしまったちょっとした出来事や気分が記されていて、何かいいなと思った。そういえばそんなことがあった。書かなければ、思い出さなかったようなことがそこにはある。  でも、書く事は厄介だ。思ったこと、感じたこ

          もっと日記書きたい