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変化とそれを受容される過程ーパートナーとの一年ー

みなさん、こんにちは。市川ゆめです。今回はわたしのパートナーと同棲しはじめて一年以上になったということで、そこから考えたことを書いていきたいと思います。

まずは、わたしのパートナーである一花の自己紹介を簡単に載せます。

一花(いちか)
普段は本を読むのが好きなライター兼編集者。過剰適応でうつ病。市川ゆめのことを「夢ちゃん」と呼ぶ。最近、興味があることは「働くことってそんなに大事なのか」ということ。自分にとって心地いいとか好きとかっていう感覚をもっと見つけていきたいと思っている。今は手作り市に行くのにハマっている。

そんな一花との生活から見えてきたものについて書いておきたいと思います。


一花と住む前

結婚と離婚

わたしは一花と住む前は、別の人と結婚していました。そのときは、ずっと旦那のために家事をし、お金を使わないように家に引きこもる生活でした。引きこもるために友人との連絡さえ断ち切っていました。

離婚したのには、いろいろな理由があったのですが、わたしがセクシャルマイノリティであることを言えなかったということや、前に勤めていた風俗の仕事が好きであること、ポリアモリーであることなど、なかなか言えずにいたことがたくさんあったのが理由でした。

そういったことが伝えられないもどかしさ、伝えたところで理解してもらえないだろうという諦め、言いたいけど言えないという葛藤。小さなことが積もっていってお別れすることになりました。
一花とは離婚する少し前の時期から連絡を再び取るようになっていました。

一人暮らしから事件まで

離婚してからは一人暮らしに戻りました。風俗にも復帰し、頑張って働きながら生活していました。その間、ずっと連絡を取り合い、長電話を一花とはするようになっていました。

大変だけど楽しく過ごしていた矢先、とある事件が起きます。

いつものように夜帰ってきたわたしは部屋の明かりをつけました。すると、そこには二匹のゴキブリが。虫がこの世で一番、恐いわたしはパニックになり、一花へ電話。「無理、もう引っ越すー!」などと口走るわたしに一花は「とりあえず、うちにおいで。それで、明日バルサン焚こう」と言ってくれました。

わたしはその通りにし、夜中に一花の家へ到着。次の日になり、一緒にバルサンを探しに行くことになりました。その道中でわたしは思いついたのです。「この人となら生活できるんじゃないか」と。
そして、バルサンを買いに向かっている電車の中で「一緒に住む気ない?」と聞きました。一花はすぐに「いいよ」と返事をしてくれました。

こうして一緒に暮らすこととなったわたしたち。家に出たゴキブリは一花がやっつけて、遺体まで持ち帰って処理してくれました。

別のパートナー

わたしが一花に「一緒に暮らそう」と提案したとき、わたしには別のパートナー(と明示的には言っていなかったが、恐らくはそれ相当の存在)がいました。

しかし、一花と暮らすことは相談せず、というか明示的にパートナーであることを伝えられていなかったため、相談するはずはありませんでした。わたしはその人のことをパートナーだとは思っていなかったのです。
しかし、その人はわたしが同棲を始めたと知ると激怒し、「俺が先にいたのに、どうして同棲を始めるのか」と言ったのです。わたしは何を言っているのかわからず混乱しました。

この人はとにかく自分の好意を察して欲しかったのだと、理解した頃にはお別れしていました。嫌いになったのではなく、コミュニケーションが上手く取れなかったために離れることとなったのです。

一対一の付き合い

ポリアモリーとモノガミー

わたしはポリアモリー(複数恋愛)であることを離婚してからは公言していました。しかし、一花はポリアモリーとは真逆のモノガミーだったのです。
これはわたしたちの決定的な違いであり、どちらも明確なものです。簡単に「ポリアモリーだから他の人とも付き合っていいよ」とか「モノガミーだから他の人とは付き合わないね」とはならないのです。

わたしたちは話し合いました。そして、結果的には「今は一対一の付き合いのみとし、お互いにお互い以外とは性的な関係を持たない」ということで合意しました。

わたしたちは「パートナー」

これも合意を取ったのですが、わたしたちはお互いのことを説明する際に「彼氏」「彼女」という言葉は使いません。これはわたしがセクシャルマイノリティであり、性自認がないためです。それを一花に話した上で「パートナー」という言葉を使うことにしています。

第三者からは「彼氏さん」「彼女さん」と言われたりしますが、説明するときは絶対に「パートナー」と言います。

ふたりの共通点

うつ病

わたしはずっとうつ病で、一花もうつ病です。わたしは精神障害者でもあります。どちらかが落ち込む日もあれば、ふたりとも駄目な日もあります。動けるときに動ける方が何とかして生活をしています。一花が家事のほとんどを頑張ってくれているのですが。

薬を飲み忘れないように、お互い注意することも重要です。一回、薬を抜いただけで「死にたい」と思うまで落ち込んでしまうので、本当に重要です。ふたりで助け合いながら生活しています。(わたしが支えられている、と書くべきかもしれません)

話し合いによる合意形成

これはわたしたちの考え方の癖というか、押さえておきたいポイントなのですが、「話し合いよる合意形成を続けることを望む」という共通点があります。
こう書くと堅苦しく聞こえますが、要は「めっちゃ会話する」ということです。話し合いを繰り返して何度もすることで、お互いの考えや気持ちをすり合わせる。意見が違うことに関して、「わたしたちはどうするのか」「あなたは/わたしはどうしたいのか」という話をすることによって、合意を作っていく。こういったことを日常的にしています。

同棲してからの変化

隠さなくていい

一花と一緒に暮らし始めて本当に変わったなと思うのは、隠さなくていいということです。一花はわたしが風俗嬢であったことを知っていますし、風俗が好きであることも知っています。そして、それを尊重してくれます。わたしがセクシャルマイノリティであり、性自認がないことも知っています。うつ病であり障害者であることも、自殺未遂をした経験があることも、ポリアモリーであることも、みんな知っているのです。

最初から全てを話していたわけではありませんが、話し合いを続けていくうちに多くを伝えられたと思います。

頼っていい

わたしは今まで「ひとりで何とかしなくては」と思っていました。旦那が仕事を頑張れるように、それ以外の家事や金銭的なやりくり、旦那の仕事の確定申告までやっていました。しかし、一花と暮らすようになってからは、わたしが鬱で調子が悪いときも含めて、いろんなことをしてくれました。
例えを出せばキリがないのですが、家事をお願いしたら適当にされてしまうのではなく、しっかりとこなしてくれる。何も言わなくても何かしてくれる。何も言わなくても、家のことを一緒に考えてくれる…など、本当にいろんなことをしてくれました。
この人だったら安心して、いろんなことを任せられるなと思っています。

愛されているという実感

同棲してからの一花の言動には、矛盾がなく、わたしを愛しているということがよくよく伝わるものでした。「愛してるよ」としっかり言葉にもしてくれます。
不安なく頼れる、心配なく自分のことを話せる。それができるほど信じられる。こう書くと案外、普通のことのように思えるかもしれませんが、わたしにとっては新鮮なことです。また、暴力を伴わない愛情というのもたぶん初めてで、緊張しない状態でいられることがとても楽だと感じています。

この一年で得たこと

自分に素直でいてもいい環境

こうして一年を過ごしてきたわたしたち。一花との一年でわたしは自分に対する素直さを取り戻したように思います。結婚していたときは、旦那に何を言われるかわからないし、生活費もなかったので、好きなことを忘れるようにしていました。

しかし、今は「これが好き」「こうしたい」という気持ちが明確にあります。これは、自分に素直であっていい環境になっていったからだと思います。

パートナーの反応に不安を持たない

上記に書いた通り、今までは相手から何を言われるかわからないという理由で、素直であることに不安を持っていました。しかし、一花はわたしに不安を持たせないのです。
それは「不機嫌で相手をコントロールする」や「『それは駄目だ』と理由も言わずに否定する」といったことがないからです。

一花に言わせれば、「それは当たり前のこと」なのですが、そんな当たり前の経験をしてこなかったわたしにとっては、とても有難いことです。

好きなものに囲まれて

今まではやってこなかったことをしていける喜びに、わたしは舞い上がっています。楽しいです。ネイルしたり、好きな服を買ったり、やりたいことをしてみたり。友達とお出掛けするのも、一年前にはできなかったことです。

毎日が楽しく、また充実しています。一花には迷惑をかけているときもあるなとは思いますが、「そんなことないよ」という一言に助けられています。

新しい一年も良いものにしたいです。これからもお互いを尊重できるような関係性を築き続けます。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。良ければ、課金だと思って最後までお付き合いください。

キラキラさせて好きな服着て

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