ツイステの曲を作ってみました ~ハーツラビュル寮篇~

※第1章やイベントのストーリーに触れていますので、お読みいただく際にはご注意ください。

ツイステのキャラに合わせた歌を作り始めた。
まず最初に3ヶ月かけて出来上がったのが、YouTubeに公開しているハーツラビュル寮をイメージした3曲だ。

▼ツイステ 作曲してみたシリーズ 再生リスト▼

作詞作曲は長年の趣味なのだが、ずっと自分で作って自分で聴いて満足してきたので(もちろんいつだって視聴者数は1人)、好きなものを通じてたくさんの人に聴いていただいたり反応をいただけて嬉しい限りです。
本当にありがとうございます。

ツイステはご存知の通り、ディズニーのヴィランズの世界観に基づいている。
せっかくなので元ネタとなっているディズニーアニメを見てみると、何とまぁ、こうやって随分な大人になってからでも泣けるストーリー。ポップな演出に、隠れた名曲の嵐。
画面の中にも夢の国はしっかり存在していたのだと、今更ながら気づかされる。

ツイステの曲を作ってみるにあたり、尾澤拓実さんの織り上げる美しいBGMはもちろんのこと、ディズニーアニメの音楽も何度も聴き返して、オマージュとして散りばめてみた。
答え合わせではないけれど、ちょっとしたライナーノーツとして、ハーツラビュル寮の3曲に込めた想いを記してみる。

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『苺色の傷口』(リドル・ローズハート)

1番最初に作った曲であり、大好きなリドルさんの曲。

この曲は、サビのメロディーから作った。
『ふしぎの国のアリス』(1951年)のテーマ曲である『Alice in Wonderland(ふしぎの国のアリス)』の優しい音の跳躍と、長調ながらもどこか切ないメロディーに、リドルさんらしさを感じたからだ。

またアメリカのピアニスト、ビル・エヴァンスによるジャズアレンジの『Alice in Wonderland』も参考にしている。
個人的にビル・エヴァンスの中で1番好きで、何度も聴いてきたアレンジだ。不協和音の連続のはずなのに、すっと体に馴染んでいくコード進行を、少しポップにしてサビに使ってみた。

メロは、ハートの女王の登場音楽である『Who's Been Painting My Roses Red?(誰がバラを赤く塗った?)』のコード進行を引用。
やっぱり……リドルさんだからね!
そして香り付け程度に、ハーツラビュルのBGMを思い起こさせるピッコロの音色を加えた。

音作りも、ハーツラビュルや『ふしぎの国のアリス』を参考にしている。
前述のピッコロを初め、ハープやアコーディオンなど。
どちらもイギリスの世界観に基づいているので、無駄にエドワード・エルガー‎を聴き込んだりもした。あまり活かされてはないけれど。
そして時計の針の音を加えながらも、サビは70%程度のスクエア寄りのシャッフルにして、「自由になりきれずに規則に囚われている」というリドルさんの様子を表現。

歌詞は、サビとタイトルから決まった覚えがある。
おそらくリドルさんは苺の味も、そして実は自分が傷ついていることもよく分かっていないだろうから、誰もがしないような不思議な例え表現をしてしまいそうだなと。

我ながら間違いなく、こだわり抜かれた1曲です。

『歪んだ国のお姫様』(エース・トラッポラ&デュース・スペード)

練りに練られて作った『苺色の傷口』に比べて、もう少し遊び心で作られたのが『歪んだ国のお姫様』。

この曲は歌詞から作った。
というのも、エースくんもデュースくんもイベントでの少女漫画的大活躍が凄いので、どうしても夢女妄想満載の歌詞にしたかったのだ。
『ゴーストマリッジ』で日本中に婚約者を大量排出させたエースくんはもちろんのこと、『星に願いを』で「少年漫画」と揶揄されていたデュースくんもホーム画面に設定した途端にデレデレしてくるから、ズルい。

そしてトランプでは1を「エース」、2を「デュース」と読むとのことで、1番をエースくんで2番をデュースくんに。

メロディーやコード進行は、歌詞に合わせて「今っぽさ」を表現。
エースくんとデュースくんの性格って、どこか今っぽい、ミレニアル世代感ありませんか?もちろん年齢は他のキャラと大差ないんですけど。
そんなこんなでシンプルに、J-POPやら海外のR&Bやら、今流行りの音楽を分析しまくった。ピアノやドラムも、若干リリースカットしたデジタルサウンドに。
他の曲がディズニーやらジャズやら主に約50年前の音楽を参考にしているので、アプローチとしてはまったく異質な曲だ。

ただ、今っぽいだけではなくディズニーらしさも表現したかったので、音作りは『ふしぎの国のアリス』にも寄せている。
特に参考にしたのは『I'm Late(時間におくれた)』。白ウサギが「遅れる~!」と慌てふためきながら走ってくるときの曲だ。ツイステ第1章で、特にデュースは何となく白ウサギらしさも内包しているから……。
メロでシンセではなく、ヴァイオリンのピチカート(指で弾く奏法)の音を取り入れたのは、この理由です。

「『歪んだ国のお姫様』が1番好きです!」と言ってくれる方も多いので、この手の作曲アプローチを増やしていこうかなと思っている今日この頃。

嘘と絵画(トレイ・クローバー&ケイト・ダイヤモンド)

THE ヴィランズというような曲。
前述の2曲が何やかんやでサビが長調になったので、3年生にはしっかりヴィランズをまっとうしてもらおうと短調に。

実はトレイさんとケイトさん、個人的にリドルさんに張るくらいどちらも好きなキャラである。
なので『嘘と絵画』も、歌詞に割いた時間が長い。

まずはケイトさん。
一部考察班の間でスパイ説とかも囁かれてしまうほど闇深いケイトさんだけれど、私の解釈としては「ただの根暗」。
根暗な自分を見るのが嫌でパリピぶっているけれど、本当は女兄弟も鬱陶しいし甘いお菓子も好きじゃない。自分に“嘘”をつきながら生きることに慣れてはいるけれど、やっぱり疲れる――。
その点、「(ユニーク魔法で)自分の分身を操るのは体力を使う」というのはすごく暗喩的ですよね。

そしてトレイさんもなかなか闇深いお人柄で。
超絶いい人で、いい先輩にも拘わらず、サラッと“嘘”をつくところがある。オクタヴィネルの強烈なお三方の陰に隠れている部分はあるけれど、なかなか優しい言葉の裏で他人を利用しようとしていたり。

本音を隠しながら生きていけるのは、どこか社会人っぽいというか大人っぽいというか、やっぱり2人とも「3年生」という感じがする。
だからリズムも100%のシャッフルにして、自由になりきれなかったリドルさんとは対照的に、しっかりやりきってもらうことにした。

メロディーは、サビではなくメロから作っている。
『ふしぎの国のアリス』でトランプ兵たちがバラを赤く塗っているときの楽曲、『Painting the Roses Red(バラを赤く塗ろう)』を短調にして派生させていった形だ。
音作りは、モダンジャズと呼ばれる1950~60年代の音楽を参考に。好きなんですよね、この時代のジャズ。
ディズニーで頻出するホーン隊も、この曲でようやく初登場させてみた。

あまりポップではない、ちょっと分かりにくい曲調になってしまって申し訳ないなと思いつつ、個人的にはやりたいことをやりきったなという曲です。

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そんなこんなで完成した、ハーツラビュルな3曲。
ツイステの全キャラを描き上げるにはまだまだ時間がかかりそうだけれど、新しいストーリーや誕生日を追いながら、これからも少しずつ作っていくつもりです。
YouTubeにいただく皆さんからのコメントや高評価がとても嬉しいので、お時間ある際に応援していただけると幸いです。


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