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格闘。

 初夏のような陽気ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。私は今日も同じところを行きつ戻りつしながら少しずつ前に進んでいます。

 今日も屋根の修理を営んでいました。なかなか強敵ですが、今日の作業を終えるころには、何とか解決方法が見いだせそうで自分としては満足できた一日でした。ただ、そこに至るまでにひたすら屋根裏に溜まった土砂をかき出していたので、床に壊れた瓦と土砂でいっぱいになって、またこれの後片付けという課題が追加されてしまいました。ただ、正直こんなに泥々になったのは小学生以来で、これはこれで楽しいと思うから人間はいつまでも子どもだなと思いつつ作業をしていました。その作業をしながら、ふと大学にいた時に学生と雪合戦をしたのを思い出しました。雪合戦というほどのものではなく、ただ雪を集めて投げ合ったり、雪を服の中に入れたりと戯れあってただけなのですが、鮮明に記憶に残っているので、今の私にはとても大切な思い出の一ページになっています。やっぱり過去の出来事が今につながり、そしてまた未来につながっていくのかなと思いながらも、目の前の土砂とひたすら格闘してしまいました。

 すっかり泥まみれになってしまったので、近所の銭湯に行きました。銭湯に行くのも何年ぶりかです。比較的早い時間に行ったので人は少なく、おそらくその中で私がダントツ最年少という高齢者の中で湯船につかっていました。お客さんの中で、何と両腕に立派な彫り物をしたお年寄りが入ってきたのでびっくりしました。最近のスーパー銭湯とかでは、彫り物をした人はお断りというところが多いと思いますが、街中の大衆浴場ではその辺りのルールとしては、まだまだ寛容なようです。何となく気になりつつも凝視することもできず、遠目でチラチラ視線を移すぐらいしかできませんので、何の絵柄までは確認するに至りませんでした。

 その銭湯では、お風呂にブラックシリカという鉱物が入れてありました。色々と効能があると書いてありましたが、北海道の上ノ国町でしか取れないということに興味を持ちました。上ノ国町は別名「神ノ国町」とも呼ばれているそうで、その昔アイヌ人がそこに行くとあらゆる傷が治ったという言い伝えがあるそうです。その神聖な地域で取れた鉱物なので、治癒作用があるという解説でした。いつもなら銭湯にあるいろんな湯船につかるのですが、今日はなぜかその湯船だけにずっとつかってしまっていたので、どこかで傷を癒してくれるのかなと思いつつ、本当に癒してくれるのであれば上ノ国町に行きたいな、と銭湯の高い天井を見上げながら考えに耽ってしまいました。

 帰ってから晩御飯を作りました。実は最近ちょっとずつ料理をしています。これまでいろんな家事をこなしてきましたが、料理だけは手付かずでした。私自身あまり食に対する興味がないので、結果的に料理も無関心でした。しかし、その反動なのか私の周りの人は料理好きの人が多くて、私はむしろこれまで食べる専門といった感じだったのです。ところが、今は一人になって全部自分でこなさないといけないので、必然的に料理にも向き合わないといけない環境に追い込まれています。今まで何度か料理に挑戦した時期があったのですが、その時はレシピ通りにしなければならないという固定概念があって、その説明通りに作っているとだんだん面倒臭くなって途中で辞めるというパターンばかりでした。そこで、今回は一切レシピ系は見ずに自分流にこだわって作っています。そのため失敗することも多々ありますが、たまに美味しい料理ができると、少し達成感を感じるようになりました。まずは自分が食べたいものを作っているのですが、私が作った料理を美味しいと言って笑顔になってくれる人がいたら、もっと料理が楽しいと思えるかもと思って日夜食材と格闘しています。今日も大学教員の話と全く関係なことを書いていますが、このありふれた日常から何らかの発見を見出せるかが研究者にとって大事な素養ではないかと、改めて実感できた一日でした。

 これから大学教員になる人は、日常の風景をつぶさに観察しながら、その文字化と格闘できる人になってほしいと思います。そして、その風景の移り変わりを記録することが、大学教員の使命の1つではないかと思います。

(銭湯の蛇口の温度調整に苦労している元准教授でした。お湯、熱い!!)

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