写真には過去と未来を繋いでいく力がある
僕は、ある程度期間を置きながら、街を巡るように撮影しています。毎日同じ地域を撮影して、微妙な変化を感じることももちろん大切です。ですが、旅の醍醐味は記憶が曖昧になってきたぐらいに、再度訪れると新鮮な気持ちで街を巡ることができる。
今回は、一年ぶりに訪れた浅草の写真を見ながら、自分の過去と現在で、何を考えて撮影していたのかを振り返っていきます。
【過去(1)】
【現在(1)】
まずは、浅草寺をどのように見ていた比べていただければ、一目瞭然だと思います。色味の違いは、使用している機材が大きく変化したからです。SONY→FUJIFILMに変更しました。理由については、後日noteでまとめようと思います。この機材変更が大きく自分の写真表現に対する考え方を捉え直すきっかけになりました。
僕の中で、写真は正面から向き合うべきであるという考え方は、過去と現在でも相違はないです。正面から向き合うことをどうやって自分らしい表現に落とし込んでいくのか。写真を撮り続けるということは、同じ街、場所で撮り続けることを意味します。しかし、二度と同じ写真を撮ることは不可能なのです。似たような写真を量産することは可能ですが、どこか微妙に違います。その僅かな変化を認識して、自分の表現に近づけていくことが大切だと思います。
僕が過去に撮影した写真は、文字通りに正面から撮影した写真が多いです。被写体を中心に配置する「日の丸構図」や、左右上下の中心に境界線を配置する「二分割構図」や「シンメトリー構図」などがあります。一年前は写真を始めたばかりということもあり、教科書的に撮影をしていました。
それが悪いというわけではなくて、正しい写真を撮ることばかりに意識を向いていたんだと思います。正しい写真なんて存在もしないのに、フルサイズ機の吐き出す写真の美しさを自分の感性だと勘違いしていました。
【過去(2)】
【過去(3)】
自分でも、この写真からは何を表現したいのか伝わってきません。色を濃くすることで、表現の拙さを誤魔化しているようにしか見えません。本当の僕は、もっと醜くて弱い存在であるのに、それを必死に隠そうとしています。絵になることがいい写真であるとは限りません。この時は、何のために写真を撮り続けているかを考えていなかったと思います。インスタグラムで見た写真を真似して、自分にも撮れることをアピールすることで、承認欲求を満たしていました。
あれから一年で良いことも悪いことも経験して、自分の表現したいことは何なのかに向き合うことによって、ようやく自分の殻を破ることに挑戦するようになりました。それが、前回のnoteで記事にしたことです。
僕が写真を撮り続ける理由は、記録し続けたものがどう昇華していくのか気になるからです。そして、そこに至るまでに実験を繰り返す過程にある発見が面白いと感じているからです。僕は、他の人とは見ている世界が違います。普段なら写真で撮らないようなことに対して、僕は興味を持つことが多いです。それが、良い写真であるとか、SNSでいいねがもらえる写真であることは関係ないです。実際に、撮影したほとんどの写真は失敗だと感じることが多いです。それでも、僕はこの壮大な「実験」を楽しんでいます。僕の写真が評価されるのは、もっと先でいいんじゃないかなと思えるようになって、ようやく自分の心の安息地を見つけることができました。何者でもないくらいがちょうど良いのかもしれません。
【現在(2)】
【現在(3)】
【現在(4)】
現在の写真も、まだまだ自分の表現したいことには程遠いです。今日いい写真が撮れたと思っても、明日になれば全然下手くそだなと思ってしまいます。本当にいい写真には、細部までその人の表現したいことの熱量が伝播するはずです。2022年は僕自身の代名詞になる一枚の写真を創り上げたいです。そのために、撮影した時の記憶が薄れる前に記録として、このnoteに残していきます。たとえ言葉にならないようなことも、言葉にしようとすることで自分の考えていることが整理されて、自分の表現が洗練されていきます。それが、未来の自分に繋がっていくと、僕は信じています。
写真には、過去と未来を繋ぐ力があります。写真は撮ったその瞬間から、過去のものになります。私たちは、その過去を見つめることで、現在を生きています。未来は想像でしか描くことはできないからこそ、現在をどう生きるかが大切になっていきます。過去の写真のメッセージを受け取ることができるのは、未来の私たちです。
より良い未来のために、僕はこれからも写真を撮り続けます。
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