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ネガティブな感情も「わたし」の一部。"株式会社「わたし」"という考え方(ちょっとPR)

ぼくはどうやら、ネガティブな感情を抱きやすい。嫉妬や妬み、不安や恐れの感情は、ぼくの判断や思考を支配する。だけど、これはぼくの脳や身体の癖であり、ぼくのすべてではなく一部である。このことに気がついてから、ぼくはずいぶんと心が軽くなった。

よくあらわれる感情が、自分の一部であると発見したのは、『不安を自信に変える授業』(クリステン・ウルマー著)に書かれていたおもしろい例えに出会ったからだ。この本は、エクストリームスキー(極端な地形や高所で行われるスキー)で活躍してきた著者が、自身の経験をもとに書いた「不安」の感情との向き合い方をまとめた1冊だ。
著者は、こんなことを言っている。

「人間は、1万人の社員からなる会社である」

ぼくは、この考え方に痺れた。何万人もの社員で構成される「アップル」や「ホンダ」と同じように、「わたし」は、不安や怒りをはじめとしたたくさんの"感情"という"社員"で構成されているというのだ。

ぼくはこの考え方を、"株式会社「わたし」"という考え方と呼びたい。(※著者はそんな表現を使っていないよ。)この考え方で、自分自身を振り返ってみると、なかなかおもしろいことがみえてくる。

この考え方では、「不安」も、いち社員に過ぎない。「怒り」も「コントロールしたい」という感情も、いち社員だ。そして、「思考」はCEOだという。「思考」は、感情や感覚を物語やパターンへと変換し認識をもたらす重要な役割を持っている。
でも、ここが個人的にポイントだと思うのは、「思考」=「わたし」そのものではないということだ。働くひとつの存在であり、「感情」そのものではない。
株式会社「わたし」は、CEOの「思考」のもと、たくさんの感情や思いが、一緒に働いている「会社」なのだ。

ただ、株式会社「わたし」には、声の大きな社員がいる。それが、「不安」くんだ。「思考」社長はだいたい、この声の大きな「不安」くんを押さえつけようとする。排除しようと、地下室に追いやる。
でも、そうやって、地下室に閉じ込められた「不安」くんは、どんな行動をするだろう…きっと、もっと声を大きくして暴れるかもしれない。他の感情と結託して、反旗を翻すかもしれない。身体にもダメージを与えてくるかもしれない。

「不安」くんは、どうしたらいいのだろう…

自分自身を、株式会社「わたし」と考え、「不安」もいち社員であると考えたとき、もうひとつ発見をする。「会社」や「組織」、「コミュニティ」を、成長させたり、まとめたりするときに必要となる、メンバーとの関わり方を、自分自身の感情にも応用できるということだ。
その存在そのものを受け止めること、認めること。そして、その存在に向き合って、声をしっかりきくこと。
人に対して重要なことは、じぶんの中にとっても重要なのだ。
それに、どうやっていまの社員と協力して、株式会社「わたし」を経営していこうか、と考えていくとワクワクもしてくる。

株式会社「わたし」という考え方は、"感情"とうまくつきあっていくヒントが詰まった考え方なのだ。

ぼくがこの考え方に痺れたのは、「感情を認める」ということの意味が、やっとわかったからだ。「認めるってどういうこと?」とずっとわからなかった。でも、株式会社「わたし」という例えで自分を考えてみると、自然に感情が相対的な存在になる。自分の一要素であると感じることができる。不安は、よく表舞台に登場するけど、それは、ぼくのすべてではないと実感できる。

本書では、よりくわしく「不安」の感情を解説している。
感情について、じっくり考えてみたい人、じっくり対話したい人にはオススメの1冊だ。

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