教養としてのSEOの知識(基礎編)
以前、SEOの基礎知識について勉強会を行ったのですが、おかげさまでご反響を頂いたので、note に書き起こすことにしました。
SEOに関して覚えておいていただきたいのはまとめると二つです。
検索エンジンはたいてい我々より賢い(だから騙そうとは考えないように)
どんなに優秀なコンサルタントでも、魔法のようにトラフィックを増やすことはできない(だから騙されないように)
もちろん、生ログをガリガリ見たり、毎日GRCで順位を確認したり、そういうことをするSEOのプロは必要です。
新規サービスの際に内部構造やタグをきちっとしたりとか、そういうことが必要なサービスもいっぱいあります。
とはいえ、この業界、結構変な業者さんも多いので……。このくらいの知識があれば、あんまりだまされないと思います。
私はSEOのプロではないので、お金をもらってもこれ以上のことはあまり話せません(笑)
グーグル以前の検索エンジン
Google は世界最大の検索エンジンです。
Google は決して最初の検索エンジンではありません(goo、infoseek、Altavista、エキサイト、千里眼……)。では、なぜGoogleだけがここまで成功したのでしょうか。
いくつかの理由はあります。単純に結果を出すのが早かった、という説もあります。しかし、インデクシングという点で明確な違いも有ります。
Google 以前の検索エンジンは、文章を読み込み、どれだけ検索単語が出ているか、あるいは単語間の距離がどの程度離れているかについて、確認しているだけでした。
つまり、単語の数を増やせば、比較的簡単に上位に表示できてしまうのです。
また、そもそも、単語が多く出ているからと言って、そのページが価値のあるページであるかはわかりません。
グーグル以前の検索エンジンは、「検索で良いサイトを探すための術」のようなスキルが無いと、なかなかいいページに辿り着くことができませんでした(初期のグーグルにも、検索術は有りましたけど)。
グーグル創業者は検索エンジンをどう捉えていたか
ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンは、初期の論文の中でこのように述べています。
後でも述べますが、「重要なページ」かどうかというのは、実は相対的な問題なのです。
単語が多く文章の中に存在するからと言って、そのページが良いページであるとは限りません。
現在では自明のことですが、検索エンジンは、文章が全く存在しない、画像や動画、地図などの情報も取り扱っているからです。
競合サービスである Inktomi のエンジニアだった Diego Basch は、当時を振り返り、このように述べています。
ドキュメントの数が1千万くらいの場合は、どんなアルゴリズムでもキーワードを含むドキュメントの結果を取扱いが可能なレベル、例えば一つの検索結果で表示することができると思います。
しかしながら、これが10億くらいのドキュメントになると、出てくる結果は数百もしくは数千となってしまい、欲しい検索結果が17ページ目にある、なんてことが発生します。
要するに、Google は、検索エンジンは別にクリック可能な10個のリンクを見つける機能を提供するものではない、ということに気づいたということです。
検索エンジンの役目とは、情報のニーズを満たすことだったのです。毎日検索のことばかり考えていた私たちエンジニアにとっては、自明の理でした。
https://www.admarketech.com/2012/05/inside-inktomi.html
つまり、グーグルの創業者たちは、検索エンジンを「関連性の問題」と捉えるのではなく、「顧客のニーズを満たすリンクを表示する」と捉えたのです。
PageRank
そこで、彼らが考案したのが「PageRank」でした。この論文は、短いので、結構簡単に読めます(グーグル翻訳使いながらとかでもぜひ)。ぜひ読んでみてください。
PageRank の発想は、論文の引用数から着想を得た、と言われています。
PageRank の基本的な思想は、
・より多くのサイトからリンクされていれば、そのサイトは評価の高いサイトである
・より評価の高いサイトからリンクされていれば、そのサイトは評価の高いサイトである
この二つです。これを再帰的に行うことで、ループさせます。「相手のサイトから来ているリンク」を「被リンク」もしくは「バックリンク」と呼びます。
この被リンクは、大手SEO企業のMozも、コンテンツ以上に重要だと結論づけています。
とはいえ、被リンクは一朝一夕に獲得できるものではありません。被リンクのためにも、コンテンツが必要です。ということで、良いコンテンツとは何かを考えなくてはいけません。
良いコンテンツとは?
そもそも、なぜSEOのためのコンテンツが必要なのでしょうか?大きく分けると、3つの理由があります。
より多くのサイトからリンクしてもらえるから
良いコンテンツであれば、再訪率が上がり、クリックされやすくなるから
検索エンジンが要素に入れているから
このうち、三番目が、「SEO」と呼ぶときの一般的なイメージではないでしょうか。
わかりやすく言えば、「検索エンジンのためのデザイン」と呼べるかもしれません。
昔は検索エンジンの性能も低く、検索エンジン向けのサイトの作りというのは、人間が見てもあまり価値がありませんでした。
そこを逆手に取り、ブラックハットSEOと呼ばれるものがあったのです。
ワードサラダ
文章としては意味不明だが、特定の単語を大量に詰め込んだページを大量に生成し、
クローキング
検索エンジンがアクセスしたときにだけ、人間が見るのとは別のページを表示する
このような手法は今では通用しません。それは、検索エンジン自体が、文章を理解する能力であったり、デザインを理解する能力が上がってきたからです。
わかりやすくすると、下記の表になります。
検索エンジンと人間、どちらにとっても嬉しいことをやるほうがいいのです。
良いコンテンツって?
さて、良いコンテンツとはなんでしょうか。
例えば、Yahoo! Japan には色々なコンテンツや文章があります。
一方、Google のトップページには、検索ボックスとロゴくらいしかありません。
では、Yahoo! は Google より優れたページである、ということは出来るでしょうか?そうは言えないでしょう。
単に、Google では検索することができて、Yahoo! では検索以外の色々なこと(消費税が上がったり、巨人の中継ぎが炎上していたりするのがわかる)が出来るということにしか過ぎません。
つまり、Web ページにはそれぞれ役割があり、その役割に会った評価が与えられるべきだ、ということです。
よく「コンテンツマーケティング」ということが言われます。しかし、コンテンツを増やすことがSEOであるわけではありません。
コンテンツはWebページの本質であって、対策ではないからです。
SEOとはこのようなイメージを持たれるかもしれませんが、
実際は、このようなイメージです。
コンテンツが多ければ多いほど、それを見やすくするために必要な対策は増えますが、SEOがコンテンツやWebサイトの魅力そのものを高めることはありません。
あくまで、良いコンテンツや良いWebページの魅力を引き出すものだと覚えておいてください。
必要なSEO対策とは?
「SEO対策」と言った時に、注意しなくてはいけません。
例えば、Webサイトがそもそも古かったりすれば、SEO対策以前にサイトの改修が必要でしょう。
しかし、「SEOに有利な Wordpress テーマ」などという触れ込みで販売されている商品や、「SEOコンサル」として提供されているサービスが、本当にそこまで大きなトラフィックを生むのだろうか?という点は、十分に考えなければいけません。
コンテンツがメインだろうか?
例えば、下記のようなサービスは、SEOで成長しました。これらのサイトはコンテンツがメインであり、しかも検索エンジンからのトラフィックを軸としています。
・Appliv
・食べログ
・Retty
・Naverまとめ
・Indeed
・TripAdvisor
こういうサービスであれば、当然のことながらSEOはサービスの命になります。
こういうサイトもそうですよね。
明確に狙っているキーワードがあるだろうか?
また、 「このキーワードはユーザーの購入率も高く、ボリュームも大きい。そしてこのキーワードで順位が二位なので、なんとか一位に上げたい」というようなケースであれば、当然、SEOが重要になります。
まとめ
ここまで、書いてきました。
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あと、Slack も作ってるのでよかったら #seo チャンネルでご質問ください。
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次回は、「教養としてのSEO 実践編」として、SEOの基礎に関して、具体的なやり方を書く予定です!
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