私が理科教員になってから(4)〜予備校のセミナーで”本質”を学ぶ〜
はじめに
大学に6年間通った後、高校の理科の教員として就職はできた。
しかし、正直な話、この10何年の私の教員生活は波乱万丈の繰り返し。
情けないくらいの失敗・挫折・苦い経験をどれだけ繰り返してきたことか。
その中でも学んだこと・成長・喜びもあった。
このシリーズでは、カミングアウトできる範囲で私の遍歴を長々とダラダラと、気ままに綴っていこうと思う。
ただ、どちらかというと苦い経験を綴る方が多くなるかもしれない。
振り返るのがどうしてもしんどくて綴りたくないテーマもある。
ただ、これから教員を志す人や、教育にご関心のある方にとっては「こういう現実があるんだ〜」「こんなふうになっていけない」と思いながらご笑覧いただけるだけでもありがたいです。
教員になってからの数年、私はグダグダな授業をやり続けて参りました。
そんなところから知識や考え方を身につけ、授業を工夫するようにしてきた過程を僭越ながらご紹介。
今回は教員5年目から10数年間参加している、某大手予備校のセミナーについてつらつらと。
某大手予備校のセミナー
タイトル写真は東京・お茶の水にあるニコライ堂
日本での東方正教会の大元
このお茶の水付近にある某予備校にて、これまで毎年のように教員向けのセミナーに参加している。
私は現役の高校生だった頃にもこの予備校の講習会に参加したことがある。
その際、英語の授業で強烈な刺激を受けて、英語の力が一気に伸びた。
懐かしさも多少あった。
現実として、教員5年目から生物の大学受験対策の演習を授業で担当することになり、何をどう指導すればいいのか途方に暮れていた。
また、この予備校では前々から気になっていた化学の先生がセミナーをされているということもあったのが参加したきっかけである。
いざ参加すると、案の定強烈な刺激を受けた。
講師の先生にどっぷりとハマってしまい、その後、今に至るまで10数年参加し続けている。
<生物>大上段から捉える・図解して考える
生物のセミナーに参加したのは、以前のカリキュラムである生物Ⅰ・Ⅱを担当していたときのことだった。
このときの講師の先生は「心に残る問題○○選」というシリーズの講座をされ、温和な口調で深みのある知識や考え方を示されていた。
私の理解度は脇に置いといて(汗)、入試問題の解説をストーリー性をつけながら、いつもわかりやすく解説されていた。
ときには「銀河鉄道の夜」や「ゴルゴ13」を題材にした問題も出てきたりした。
難関と呼ばれる大学の入試問題が題材になってはいたけど、生物では軸となる知識・考え方を100%理解した上で、大上段から捉えることが大切だということを今になって改めて思う。
また、生物の入試問題では長文を読んで考え、論述するといったパターンが多い。
まるで国語みたいな感じがする。
しかし、生物の場合、長文を読むのは面倒臭いけど、その内容をイメージして図解しやすいという特徴がある。
それを正しく行うことで大局をつかみ、論述問題にも対応がしやすいようで。
<化学>本質的に理解する
私が毎回参加する化学のセミナーは、「天皇」と呼ばれるくらい有名な先生がご担当されている。
私が現役の高校生だった頃からこの方のお名前は存じ上げていたものの、講義を受けたことはなかった。
そして教員になってから、タイミングよくこの先生の講義を受けることができた。
いざ受けてみたら驚愕。
量子化学・エンタルピー・エントロピー・自由エネルギー・有機電子論や、歴史的な背景などにも触れ、もう大学の教養レベルのところまで講義をされていた。
それだけではなく、無味乾燥とした暗記モノと捉えがちの無機化学の分野では、元素別に物質の反応の体系図を示されていた。
こうすることで、元素間での反応のしかたを比較できるんだから凄い。
私自身もこの先生の講義を受け始めた当初は、ここまでやる必要はあるのか?と思っていた。
しかし、実は先程述べた「大学の教養レベル」のことまで理解しておくことで、本質がわかり理解が深まるというのを実感している。
この先生が講義された内容は、高校生には直接伝えにくいところはあるものの、背景として理解しておくことで、その後の私は自信をもって授業をできるようになっている。
”本質”を学ぶ
この他にも物理・地理総合・国語のセミナーにも私はこれまで参加してきた。
今回は文章の量と内容を考えて割愛したが、どの科目のセミナーを受講しても「本質を学ぶ」ことの大切さを改めて学ばされた。
これは学校が先頭きってきちんと生徒になすべきことではあるが、まさかそれをこの予備校で学ぶことになるとは思わなかった。
正直皮肉に思えることもある。
もう受験対策はさておいて「本質を学べる」ような教え方を学びに行くというのが、今の私にとってのセミナー参加の意義になっている。
日々精進せねば。
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理科教育力向上ラボ
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