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「科学と人間生活」雑考

「科学と人間生活」ってどんな科目?

現在の教育課程から始まった理科の一科目「科学と人間生活」。
この科目は物理・化学・生物・地学すべての分野で、生活と密着したことをテーマにしている。
<生物分野>光と生物の関わり / 微生物とその利用のどちらかを選択して履修。
※新課程では光と生物の関わりの代わりに、細胞・遺伝子・恒常性などが扱われる予定。
<化学分野>材料の化学 / 衣料・食品の化学のどちらかを選択して履修。
<物理分野>光の性質 / 熱とエネルギー
<地学分野>天体と気象 / 地震・火山災害とその対策
学習指導要領上では、4つの分野においてそれぞれ1テーマずつ選択して学ぶこととされている。

ちなみに昨年の私の授業では、微生物とその利用・食品・熱とエネルギー・天体について扱った。
本年度は材料の化学と災害のことも扱う予定。

最初に思ったこと

この科目の教科書を初めて見たときの第一印象はというと・・・


内容が断片的。

わけわからん。

これをそのまま使って授業はできない。


・・・などと綴ってしまったが、高校の基礎科目(=「基礎」がついている科目)を学んで前提知識を身につけておかないと、内容が理解できない。
例えば「微生物」の単元にでは細胞・生態系・免疫のしくみ、「食品の化学」では化学結合と消化のしくみ、「熱とエネルギー」では力学の基礎知識を理解しておいてはじめて頭に入る感じかな。
こんなことなら理科総合A・Bを復活させてほしいくらい。
それでもどうしてもこの科目をしなければならないとしたら、特に受験とは関係ないけど、高校3年生が「最後の総まとめ」ということで理科を学ぶ際には辛うじて使えるといったところか。

私の実践

私が現在この授業を担当しているのは3年生の工業科のクラス。
受験とは全く関係ないので、就職して社会に役立つ内容をメインにテーマを選び、好き放題進めている。
また、教科主任より「教科書どおりに進めても工業科の生徒は惹きつけることができないので、(私の)好きなように工夫してやってほしい。それができるのは先生(=私)だけだ」というお墨付きもあった。
ということで、いろいろと試行錯誤して見出した工夫はこんなところ。

1.基礎科目の知識が必要になるところをその都度カバーする。
2.些細で細かな問いを立てて、生徒自身で考え、対話する機会を多くつくる。
3.授業で説明するとき、あえて疑問(モヤモヤ感)をもたせ、探究するためのエサを撒いておく。

今思うこと

率直に言うと、この教科書の中身は知識の断片的な羅列に過ぎない。
しかし、裏を返せば、教員の授業の進め方次第で面白いものに化ける可能性はある。
細かなことを綴ると長くなりすぎるので、この方法は別の機会で伝えようと思う。


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