【教材研究のお供に一冊】#1「自然のしくみがわかる地理学入門」


はじめに

このマガジン(にする予定)では、高校理科の先生向けに、教材研究でお役に立つような専門書・一般向けの本をご紹介。
これからご紹介していくのは、高校の教科書よりもちょっと詳しめの内容、ちょっと高めのレベルの本がメイン。
ご紹介する本はすべて私の気分次第で選んだものばかり。
ただ、私にとっては学校の教材だけで不明な点が解決できたり、新しい視点を得られたものばかり。
この記事が理科の先生方のお役に立てたら、これ幸いでございます。

今回ご紹介するのは『自然のしくみがわかる地理学入門』(水野一晴著・角川ソフィア文庫)

理科なのに地理学の本の紹介?!

タイトルをご覧になって「えっ?!」って思われた方がどれだけいらっしゃるだろうか。
実は今年度より、私は人生初の地学の授業を担当中。
高校の頃に地学なんて学んだことがないのにどないしよ?
それでもいい授業にするには、地理と絡めたらどうかと思い、今年は必死こいて地球科学の書籍を探索し、授業準備に没頭。
そんな中でこの本を発見。
中身を見てみたら、高校の理科(特に生物・地学)で扱っている内容とほぼ丸かぶり。
ただ、地理学の本なので、歴史的な事実や人間の活動とのつながりも記載。
裏を返せば、地理学のエッセンスを取り入れることで、理科の授業内容を身近なものとして生徒に捉えてもらえるのではないか?
そんな仮説を立てた私自身も、この本を読んで、現在も試行錯誤している真っ最中。

高校理科とのかかわり

先程にも述べたように、地理学の本ではあっても、高校の生物・地学で扱う内容が多分に含まれている。

【高校生物】植生・土壌・バイオーム

【高校地学・科学と人間生活】地形・気候

著者のご紹介

水野一晴先生は現在、京都大学大学院文学研究科地理学専攻の教授をされているとのこと。
現在のお立場に至るまでは、名古屋大学・北海道大学・東京都立大学で学生時代を過ごされてきたとのこと。
また、これまでに予備校の講師もご経験されてきたとのこと。

本の構成

はじめに

1.地形
 1−1 平野の地形
 1−2 山の地形
 1−3 断層と火山と地震
 1−4 海の地形
 1−5 世界の地質・地形と鉱産資源

2.気候
 2−1 気候
 2−2 気候変動

3.植生と土壌
 3−1 世界の植生と土壌
 3−2 山の植生

あとがき

『自然のしくみがわかる地理学入門』目次より抜粋

私にとって特に印象に残ったところ

この本の目次に書かれている小項目を見てみると、なぜ○○なのか?という問いかけが多く、具体的な地域を例にして自然地理の知識が綴られている。
しかも、日本のさまざまな地域を例にしているのでとっつきやすい。
例えば、地形のところでは東京・名古屋・大阪といった大都市を例に説明している。
私が住んでいる名古屋には、JR中央線が走っているが、名古屋市内の線路は高架式のところがあれば、堀割式のところもある。
実は名古屋市の中では、平野と台地があり、平野では高架式、台地では堀割式の線路になっているんだとか。
(そもそも名古屋市の中で平野と台地があるということが意外だったりする)
あと、東京でいえば「山手」「下町」、大阪でいえば「梅田」の語源も説明されているが、これも面白かった。

この他にも琵琶湖の形、新潟県がもっとも雪が降る理由、日本の中で生息する動物の違い、土の色など、身近な地域・現象と自然環境とのつながりをわかりやすく説明されている。

振り返り

現在の高校の教科書でも自然環境を扱う場合、具体的な例となる場所の写真は掲載されている。
しかし、授業をされている先生の中には、ご自身が身近に感じないということで、実感をこめて説明しづらいということはないだろうか?
(私自身も含め)
この本では日本の様々な地域を多く例に出しているので、教材研究や実際の授業の際にも活用できる機会が多いと思う。
私も実際に地質の授業をした際、この本に記されている名古屋市の地形とJRの線路との関係を説明したところ、生徒の反応が良かった。

終わりに

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理科教育力向上ラボ
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