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行動経済と公共政策③ ~行動経済学の3つの変数~
1.行動経済学の3つの変数
標準的経済学が考慮に入れてこなかったけれど、行動経済学が焦点をあてたものとして、以下の3つの変数があります。
・意思決定時のコンテクスト
選択肢自体は同じ又はほぼ同じなのに、文脈が変わるだけで意思決定が変わり得る。
・エクスポージャー(特定の状況や出来事にさらされること)
意思決定に先行して意思決定者がさらされた状況や出来事が「意思決定者にとって何が重要か」に影響を
行動経済と公共政策① ~標準的経済学の限界と行動経済~
1. 標準的経済学(Standard Economics)における合理的意思決定者の想定
標準的経済学では、意思決定者は
・完全に合理的であり
・個々人の好みは自分以外の他のものからの影響を受けない
・完全に自己中心的に行動する(他者の利益を考えない)
と想定してきました。
しかし、1980年代からこうした想定は見直され、
・人間の合理性は限定されており
・個々人の好みは社会により形作られている
行動経済と公共政策② ~公共政策における具体例~
行動経済が公共政策において大きな影響を持つことを示す例をとりあえず2つ紹介します。
・例1 ニューヨーク大学の金銭援助実験(Loss Aversion)ニューヨーク大学におけるFinancial Aid(金銭援助) 実験においては、以下の2種類の金銭援助プログラムが、ロースクールの学生にランダムに振り分けられました。
①プログラム1:Loan Repayment Program(ローン返済プ