ゆくり

2019年夏からコロンビア大学国際公共政策大学院(SIPA)に留学中。社会人。公共政策…

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2019年夏からコロンビア大学国際公共政策大学院(SIPA)に留学中。社会人。公共政策に関することを中心に。

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  • 行動経済と公共政策

    米コロンビア大学国政公共政策大学院における行動開発経済学の授業が非常によかったので、キーポイントをご紹介します。行動経済の考え方を公共政策にどう生かしていくか。

最近の記事

行動経済と公共政策③ ~行動経済学の3つの変数~

1.行動経済学の3つの変数 標準的経済学が考慮に入れてこなかったけれど、行動経済学が焦点をあてたものとして、以下の3つの変数があります。 ・意思決定時のコンテクスト  選択肢自体は同じ又はほぼ同じなのに、文脈が変わるだけで意思決定が変わり得る。 ・エクスポージャー(特定の状況や出来事にさらされること)  意思決定に先行して意思決定者がさらされた状況や出来事が「意思決定者にとって何が重要か」に影響を与え得る。 ・意思決定者のアイデンティティを変える経験   意思決定に先行して発

    • 行動経済と公共政策② ~公共政策における具体例~

      行動経済が公共政策において大きな影響を持つことを示す例をとりあえず2つ紹介します。 ・例1 ニューヨーク大学の金銭援助実験(Loss Aversion)ニューヨーク大学におけるFinancial Aid(金銭援助) 実験においては、以下の2種類の金銭援助プログラムが、ロースクールの学生にランダムに振り分けられました。 ①プログラム1:Loan Repayment Program(ローン返済プログラム) 学生は授業料を払うためにローンを組まなくてはなりませんが、卒業後に公

      • 行動経済と公共政策① ~標準的経済学の限界と行動経済~

        1. 標準的経済学(Standard Economics)における合理的意思決定者の想定 標準的経済学では、意思決定者は ・完全に合理的であり ・個々人の好みは自分以外の他のものからの影響を受けない ・完全に自己中心的に行動する(他者の利益を考えない) と想定してきました。 しかし、1980年代からこうした想定は見直され、 ・人間の合理性は限定されており ・個々人の好みは社会により形作られている に注目が集まり始めました。 2. アジアの病気実験 ~人はそんなに合理的じゃ

        • 行動経済と公共政策

          SIPAにおけるお気に入り授業の一つに「Behavioral Development Economics(行動開発経済)」があります。 講師は世界銀行のリードエコノミストでもあるKarla Hoff教授。 ネット上だと行動経済はビジネスの観点からの情報が多い気がするのですが、授業では公共政策の観点から勉強しました。 「開発経済」とありますが、途上国開発に関することに限らず人間・社会一般に関連する事象を扱いました。 日本にとっても多いに示唆がありかなりよかったので、勉強

        行動経済と公共政策③ ~行動経済学の3つの変数~

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        • 行動経済と公共政策
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          大学院が夏休みに入り少し時間が出来たのでnote初めてみました。 2019年夏から米コロンビア大学国際公共政策大学院院で公共政策を勉強しています。 公共政策に関係することを中心に書いていこうと思います。

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