見出し画像

OLIVE DELLA YUKI 初心

春の陽気。
陽の当たるオリーブ畑は、
暖かいというより、むしろ、暑いくらいで、
日中の温度は、20度を超えている。

「そうそう、IGPの申請は6月までだからね。」

先日からお世話になっている、
役所のお助け機関のシニョーレが、
そう、言ってくれた。

IGP(イー ジー ピー)
Indicazion Geografica Protetta

日本語で言うと、
「保護指定地域表示」というのだそうで、
日本で言う、JISマークみたいなものと言ったら良いだろうか、
それがある事によって、
ある程度の品質が保証される…的なものである。
これがあったら、「トスカーナ産」と正式に唄えるのだけれど、
これがあるから、美味しいというわけでもない。

IGPの申請か…

実は、個人的には、
あまり、その表示には興味がない。

それがあったら、
多分、知らない人たちからは、
「IGPだから、きっと良いものよ。」なんて思われるかも知れない。

でも、IGPだから、確実…という意味ではない。
その登録や検査にお金を使うくらいなら、
少しでも、消費者にとってお得になるような料金で、
販売できるだろうって思う。

IGPね…

なんとなく、
その場でお茶を濁した。

いろいろ仕事をしていくと、
時に、
初心を忘れがちになる。

まだ始めたばかりの事業ではあるけれど、
最初に何を思って、
この仕事をしようと思ったのか…は、
実はとても重要だと思っている。

BIO表示もまた同じ。

BIOの申請には、あと2年の経験が必要だけれど、
ラベルにそのマークを貼り付けるが為に
それを申請するつもりはない。

農薬を使わない事。
抱えているオリーブ畑の特質を知る事。
今年の天気。
収穫までのオリーブの状況。
収穫時期の選択。
  ・
  ・
  ・

やる事は、いっぱいある。

購入してくれた方々の
喜びの言葉が蘇る。

良質のものを作ることは、
良質だと保証するマークをつける事ではない。

初心、忘れるべからず。

青々とした空が、
私に「初心」を思い出させてくれるのだった。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?