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なかなか厳しい現実

オリーブ畑に向かう途中、
ラジオから流れてきたニュースは、なかなか厳しいものだった。

「今年のトスカーナのオリーブオイルやワインは、高騰化が見込まれます。」

いつもの年に比べると、雨が多く、寒い初夏を迎え、
かと思えば、7月には40°以上を記録し、
8月には、トスカーナの北部で、雹が降った。

花が咲く頃に冷え込んだり、
実が成長していく段階で雨が降り続いたりで、
それでも、順調に成長しているかのように見えた、我がオリーブ畑のオリーブに
変化が見られたのは、8月も終わる頃。
黒ずんでいるオリーブの実を見つけた。

これが、熟した黒だったら、どんなに嬉しいことか。
実際はというと、
オリーブの天敵、コバエにやられたのだった。

6月だったか、世話役フランコが言っていた事を思い出す。

「雨が降ったら、オリーブには良いんだけど、表皮が柔らかくなるからね、コバエの対策も考えた方がいい。」

対策が出来るのは、7月いっぱいまでと聞いた。
知らなかったのだけど、そう決められているらしい。

なるべく、化学的な薬剤は使いたくない…

いろいろ調べて、自然の成分を扱っているものを購入しようかと思ったら、
取扱いの免許が必要なのだと、その時知った。

もう間に合わないし、いい感じで成長してるし、
風のよく吹く土地だから、大丈夫だろう…

そう思っていたのだけど、甘かった。

去年や一昨年、被害がなかったから、今年もないだろう…なんて、
毎年違う天候に、
そういう道理は通じない。

「農家」という仕事が、本当に厳しい仕事なのだと、痛感する。

土地の形状が、緩やかに降っていって、
ちょうど半分くらいのところから、緩やかに登る形になっていて、
向こう側の斜面の方は、
それでも、まだ多くの実をつけていて、
比較的、良好そうに見えるのだけれど、
収穫期まで大丈夫なんて保証もない。

昨年の1.5倍はいけるかな…という見込みは、
どうやら、昨年と同じくらい…に変わりそう。

今年もまた、新たな課題に立ち向かっている。

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