見出し画像

どうしようもないことと本音

11月6日に販売を開始してから、毎日、慌ただしい日々を送っている。オリーブオイルが出来るのは、トスカーナでは年に一度だけだから、今が一番の勝負どきで、この時期に売れ残りが出てしまったら、それを売り尽くすのは難しい。多くのイタリア人が、美味しいオリーブを作れる土地を持っていながら、放棄してしまう理由には、これがいちばんの理由かと思ったりする。幸い、私の場合、オリーブ農家としては小さな畑なのと、良いお客様に恵まれていることもあって、昨年までの分はなんとか完売し、さあ、今年はどうなのだろう…というところ。今年の収穫数は、決して悪くはなかった。そのおかげで、昨年とほぼ同じような金額で提供できている。年々あがり続ける経費、予想もしなかったユーロ高。イタリア国内も、日本も、いやきっと、どこの国でも、厳しい時代を迎えているのだと、感じずにはいられない。だから、出来ることは、なるべく自分でするようにしている。よく、送料が高いと言われる。こればかりは、どうしようもなくて、今年に入ってから何度も計算して、考えに考えて、自分に折り合いをつけている。正直、原価割れしてしまっている時もある。それでも、喜んでいただけるなら…とようやく出した数値に、高いと言われてしまうと、もうどうしようもない。サーチャージによって決まる値段は、実は、毎月違うから、正直、内心ドキドキで、それでも、自分が打ち出した値段との差は1ユーロくらい前後するにとどまっているので、なんとかなっている。国と国の境目が、ボーダーレスになったような気がしたのは、遠い昔。今はもう、国を越えれば、システムも変わるし、いろんな制限も出てくるし、決して便利にはなっておらず、それでも、自然のチカラで出来たこのオリーブオイルを日本に届けたい思いでやっている。喜んでいただけると、本当に嬉しいし、美味しいと言っていただけると、また頑張ろうという気になれる。自分が出来ること以外での、どうしようもないこと。そういうのをクリアできるくらいにいろんな意味でのクオリティを上げていきたいというのが本音。

この記事が参加している募集

つくってみた

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?