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トスカーナ・オリーブの夢 初搾り


機械が壊れるというトラブルを抱えながらも、なんとか「搾り取る」ところまできた。
ここまできて、ようやくちょっと安心したのか、
急にお腹が空いてきた。
そういえば、勢いで家を飛び出してから、何も食べてはいなかった。


搾油所では、ひっきりなしに機械が動いていて、ガーッという音と、
オリーブの独特の香りに包まれている。
いよいよ、収穫分のオリーブを投入した時、
初めて、おおお!と思った。

機械によって少しずつ仕分けられたオリーブたちが、大量の水によって洗浄され、
実の部分と葉や小枝の部分とに仕分けられ、あちらの機械からこちらの機械へと運ばれていく様をガーッという大きな音と共に繰り返し繰り返し、
右から左へと見やっている私に
搾油所の兄ちゃんがいろいろ説明してくれたのだけど、
機械の音が大き過ぎて、ほとんど聞こえていない。
強いて分かったのは、オリーブの種類くらいか。
前の畑の持ち主に聞いたら、「殆どがモッライオーロで、あとはレッチーノだよ。」と言っていたけれど、実際は、それ以外に、フラントイアーノ種も含まれているらしかった。

「これから搾り取るまでに、小一時間、いや、もうちょっとかかるかな。」

搾油所の技術担当者にそう言われ、ここで初めて、どこかで朝食を取ることに決めた。
搾油所の少し上の方に、campagnaticoという小さな町があって、
休憩がてら、そこに行ってみることにした。

トスカーナの田舎の景色は、オルチャやシエナあたりが有名で、本当に美しいなぁと思うけど、campagnaticoから見下ろす景色も、なかなかだなぁと思う。
田舎に住みたい…と最初に見たオリーブ畑のある田舎家は、このcampagnaticoにあった。

小さな町だけど、唯一あったBARで軽い食事を取り、ゆっくり散歩して堪能してたら、あっという間に時間が過ぎていた。

搾油所に戻ると、相変わらず、作業は続いていた。

「オリーブオイル、出来てますか?」

聞くと、
「まだ全部は終わってないんだけど、今ここに入れてるのは、オタクのだよ。」と、
技術屋が教えてくれた。

「味見できますか?」

「もちろん!」

そうして、私にとっては本当に初の、搾りたてオリーブオイルが味見用に注がれた。
スーッ、香りを感じようとするのだけど、
既に、オリーブの香りで充満している搾油所の中では分かりにくい。
外に出て、改めて、感じてみる。


うううん。
おおおお。

言葉にできない。

出来上がったオリーブオイルに、しばし感動しつつ、
感慨深い思いをしていると、

「これ、どのようにしますか?」

その言葉に、現実に引き戻される。

そうなのだ。
まだまだ、これから。
やる事は、いっぱいある。


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