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収穫が終わった日に思う。

10月の最終月曜日。2023年の収穫が終わった。清々しい気持ちで空を見上げた。いろいろあった。いつもより寒いかな…と思った6月、一気に夏が来た7月、気がついたら、コバエの被害に遭っている事に気づいた8月。不安定な天候に翻弄され、なかなか収穫日が決められず、熟すのもいつもより遅めで、なのに、風が強く吹くたびに、振り落とされてしまう沢山の実。オリーブは収穫してから24〜48時間以内に搾油をするのだけれど、1回目の収穫でとれたオリーブオイルは、「Legnoso」と表現された。Legnoso とは、直訳すると「木質の」という意味になるのだけれど、受け取った感覚としては、「枝っぽい味」という事になるのだろうか。渋いというのでもなく、苦いというのでもなく。日本語で言うと、説明が難しい。そんなふうに表現されるのは、我がオリーブ畑のオリーブオイルだけではない。他の農家さんのものも、軒並み、そういう味なのだと、搾油所の人が言っていた。それは、今年の特徴なのかもしれないし、搾油所のある地域の特徴なのかもしれない。同じ土地、同じ作り手によって育てられるオリーブは、本質的なところでは、同じ味の系統であったとしても、年によって出来が全然違う。10月中旬くらいまでの搾油率が本当に低かったのだと、皆が口々に言っていた。見極めることの難しさを痛感した。作り手として、本当に良い経験をさせてもらっている。お料理みたく、こういう味にしようと思って、何かを足したりすることの出来ない、自然の味。その土地に植っているオリーブの木のチカラと自然の采配のみによって、出来上がるものは、毎年違って普通であること。機械のようには、なり得ないこと。もっともっと、自然との対話が必要だし、一本一本、手をかけていきたいと思っている。

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