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バービー人形と原爆
7月も終わる頃、朝からTwitterを見て腹が立った。
バービー人形が原爆を揶揄するツイートを見てしまったからだ。
原爆開発に携わったオッペンハイマー博士を描いた映画『オッペンハイマー』と、同日公開された映画『バービー』。
そのタイトルを組み合わせ「バーベンハイマー(Barbenheimer)」という言葉が生まれた。
しかもバービー公式Twitterは原爆とのコラ画像に「いいね」をつけている。
日本人として、また、原爆の惨禍を知る一人の人間としてはらわたが煮えくり返った。
当然一連のツイートは炎上。#Nobarbenheimer と訴えた抗議はTwitterでトレンド入りした。
***
「原爆投下が第二次世界大戦の終結を早め、多くのアメリカ人兵士を救った」
この言説は今もアメリカに残っているが、あくまでも「神話」だ。
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なぜこれほど、アメリカと日本の「原爆」を巡る認識はかけ離れているのか―。
日本における教育では、私自身の経験を鑑みても、二度にわたって原子爆弾を投下され、またアメリカの核実験に巻き込まれた国として、その苦しみや被害、兵器としての非人道性を学ぶ機会が多いかと思います。
それに対して、アメリカの多くの教育場面では、核兵器が無条件に「悪」とはみなされず、そのような語りはハリウッド映画やテレビゲームなどにも反映されています。「敵」が持つ核兵器は「悪」で何も阻止されなければならない。
しかしその一方で、自国の核兵器について省みることはありません。それは、1998年の映画『アルマゲドン』で核の使用が正当化される一方で、2018年の『ミッション・インポッシブル』シリーズの『フォール・アウト』では、敵には、決してプルトニウムを渡してはならないといったように。
岩波書店、P3
アメリカの大学で教鞭を取る著者が、アメリカと日本の原爆(核兵器)に対する認識の違いを、教育やエンタメ、暮らし、歴史…様々な角度からひも解いている。
「アメリカは」「アメリカ人は」と一括りにするつもりはない。
しかし私達は、核兵器を少なからず肯定する側と対峙しているのだ。
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「被爆の実相が世界に伝わっていない」
「核兵器廃絶が遅々として進まない」
それは、私達活動家や政治家ですら深くは知りえない、認識の違いのせいだ。
残念ながら、被爆者がご存命のうちに核兵器廃絶は達成できないだろう。
それでも、長い長い闘いを、また今日から始める。
2023.08.09
被爆から78年の日に
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