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山ペンギン 18 こんびにあげいん

主任から突然

「オレ君、棚代えしようと思うの。」

「エンド」と呼ばれる、定番以外の陳列棚、通常はその時期に合わせた企画物が置かれる。

「クリスマスが近いからね。」

近いの感覚が今一つつかめないが、上司の言葉は絶対として聞こう。

「今回はオーストラリアをイメージしたクリスマスにしようと思うの」

退職願を書くことを一瞬考える。

「オーストラリアだから真夏よねー。サンタさんがサーフィン、トナカイがイルカと海を泳ぐイメージね。」

「ボクがやったらダメですか?」

イマド参戦。

確かにペンギンがやればなんとなく、冬と雪のイメージを入れながら企画を立てることもできるかもしれないな。

「まかせるわ。イマド君!」

オレはレジと品出しに専念する。

結局エンドは

南極で水着でひなたぼっこをするサンタクロースと、海を泳ぐトナカイとイルカ、サンタ帽をかぶったペンギンがさまざまな菓子やケーキをアピールするような企画物に仕上がった。

オーストラリアではなかったが、南半球だから良しとするか。


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