見出し画像

【講演会】多様性はややこしい。でも楽ばかりしてると無知になる。目の不自由な方のお話を聞いて思ったこと♯080

息子の学校で年に1回、人権学習の講演会があり、
今年は目が不自由な歌手の方のお話を全校生徒が聞いた。
そして、保護者も行事に参加ができるため、参加。
(平日の朝にもかかわらず、3,40人は来ていたかな)

目が不自由な人と言ってもいろんな見え方の人がいるんだよ、という話から始まり、点字や盲導犬の話、
後半は、ご本人がどういう経緯で目が見えなくなっていったのか、
目が見えない過程において、自分自身、そして周りはどう変化していったのかといったお話を伺えた。

小学生から中学生にかけて、ご本人の目がだんだん目が見えづらくなっていくなかで、
小学生の頃は、周囲のお友達が、一緒に楽しめる遊びを自然に考えてくれていたそうだ。
例えば、野球をしていても、普通はストライク3つでアウトだけど、それだと一緒に楽しめないから「ストライクは特別に5つにしよう!その方が一緒に楽しめるから!」とルールを変えて一緒に遊んでくれたのだそうだ。
けれど、中学になってからは、だんだんと周囲の対応が変わるように・・・激しいイジメを受け、同時期に身体障がい者手帳を貰うことになり、それに対する当時の葛藤も伺った。

小学生時代のお友達のお話を聞きながら、まさに、これって、「他人の靴を履く」ってことだよなぁ、とブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー』を思い出した。

小さい頃は、自分と異なる相手ともどうしたら一緒に楽しめるか、自然に相手のことを想像し、仲良くなれるのに、いつから、どうしてそこに心のバリアができてしまうのだろうか。

そのような辛かった中学時代を過ごし、すべてに投げやりになっていたところ、視覚障がい者向けの高校に進学することに。そこで声楽の才能を見出され、努力の結果、声楽の世界で頭角を現すようになったのだそう。

ご自身にとっての声楽との出会いを
障がいを持っていても「障がい者」としてではなく、一人の人間として勝負できると信じるきっかけだった
とおっしゃっていた。

手続き上、「障がい者」としてのカテゴライズは必要なのかもしれない。
ただ、1対1でその人と向き合うとき、過度に「障がい者」というレッテルを意識しすぎている部分はなかっただろうか、と私自身を振り返った。

「男」「女」「障がい者」「外国人」etc・・・
いろんな分類の仕方はあるけれど、同じ分類でも一人ひとりは異なる存在。
自分と異なるカテゴリーの人と初めて出会うときは、ちょっと緊張するときもあるけれど、相手に関心を持って一つひとつ、知っていくことで、相手への理解を深められる。

そういえば、イギリスに住んでいたとき、子供の学校はムスリムの子たちがとっても多く、私自身はムスリムのご家庭に大変お世話になった。
ただ、仲良くなる過程には、沢山、相手の国、文化のことを知ろうと調べたし、慣れない英語であれこれ聞いた。
でも、普段、束になって日本人同士固まっているお母さんたちは、自分から関わりに行くことなしに、ムスリムの家庭はあーだよね、こーだよねと言いながら、「遊ばせたくないわー」という結論に至る会話をよくしていたことを思い出した。

「レッテルを貼らない」「一人ひとりの違いを見る」
このnoteを書いていても、当たり前のことすぎる・・・と思って書いてはいるけれど、それができない大人の多さよ。

当日、目に障がいを持っている人たちについて、色々な情報、知識を教えてもらったことで、私自身、「これからは、困っている目の不自由な方に声をかけることができるかも・・・」とちょっとした自信を持つことができた。
今まであまりに自分に知識が無かったらから、道に目が不自由な方がおられても、勇気を出して声をかけづらかった。

そんなことを考えていると「多様性はややこしい。でも楽ばかりしてると無知になる」というブレイディみかこさんの言葉が頭によぎった。

最後は、みんなで「さんぽ」を歌って会が終わった。
障がいがあろうがなかろうが、「歌」なら心が繋がれる。そして一体感を生み出せる。
そんなことを思っての合唱だったのではなかろうか。

そんな計らいに胸が熱くなってしまった。

翌日、たまたま博物館に行った際、点字のワークショップをやっていた。
息子が「どうしてもこれに行きたい!」と言って、参加。簡単な点字の打ち方を教えてもらえた。
そういえば、講演会でも、子供たちは、見たいものは自分から立ちながらでも見ていたし、質問の時間にも沢山の手が挙がっていた。なんていう柔軟さ!

小学校でそして保護者にも「違い」を知る、「違い」を尊重することを考える機会をつくってもらえてよかった。


この記事が参加している募集

#多様性を考える

27,976件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?