エジプト旅行② l みんながよく行くピラミッド。スフィンクスの向かいのピザハット街はなくなるらしい。シタデル、超絶綺麗なモスク、考古学博物館など。
2日目は朝6時過ぎに起床。ホテルの朝食は6時からやっていて、朝ホテルのブッフェで食べることができた。
たぶんホテル中の観光客がみな7時に出発するのだろう、かなり広いブッフェ会場だったが満員で、スタッフに席を作ってもらうまでに時間がかかった。
メニューも多かったのでゆっくり食べたかったが10分しか時間がなかった。
翌日は6時出発なのでホテルの朝食は食べられない。残念だ。
7時に三大ピラミッドに向けて出発。3世代のファラオが作ったこのピラミッドは「ギザのピラミッド」と呼ばれていることが多いが、現地ガイドさん曰く「ギザ」と「カイロ」という地名の分け方は若干微妙なところがあるそうだ。
ギザも含めて広い範囲でカイロと呼んでいることが多いらしい。ただナイル川を挟んで東側を「小カイロ」と呼んだりもするらしい。地図上ではギザとカイロの境界はナイル川なので、地元の人に小カイロと呼ばれているところが実際のカイロである。
川の西側にあるカイロ大学はギザにある。私が泊まったホテルはギザにあり、昨日行った美術館もギザ。でもみんなカイロと呼んでいる。
まずは一番有名なクフ王のピラミッドから。
駐車場はもうすでに大勢の観光客とバスでぎゅうぎゅう。
スペイン人が多いらしい。スペインは1日に何度もチャーター便を飛ばしていて、安く来られるので多いらしい。フランス語やドイツ語やイギリス英語も結構聞こえてきた。
日本人はほとんどおらず、現在エジプトにくるアジア人は中国人と韓国人が多いそうだ。確かにこの旅では中国人をよく見かけた。観光地にばかり行っているのでもちろん日本人も数組見かけたが、インドには中国人がいないので新鮮でよく覚えている。中国の女性は自信を持って露出の多い格好をしていたりしてキリッとしているので、言葉を聞かなくても日本人と見分けがつきやすい。
反対に日本人の女性はどんな格好をしていても、柔らかい雰囲気がある。どっちも良い特徴だと思う。外国に来て眺めていると全然違うのですごく面白い。
ピラミッドの入り口近くには近代的な博物館「大エジプト博物館」がほぼ完成した形で見える。この大エジプト博物館はJICAが援助している。
いろいろあって当初の予定よりだいぶ遅れているが、そろそろオープンだそうだ。
エジプトは新しい大規模な博物館を近年いっぱい増やしている。
まだ展示されていない古代文明の出土品がいっぱいあって、博物館や美術館は多ければ多いほどいいらしい。
しかも、博物館の入場料はけっこう高い。年々上がっている。
展示品を分散させればさせるほど、観光客からの収入を得られて観光業が潤う。
観光客としては、見たい展示品がいろんな博物館に散らばっているのはつらいが、エジプトは観光業で生計を立てている国民が多いので、政府としてはどんどん新しい博物館を作って頑張る意向らしい。
ガイドさん曰く、「エジプトは今まであんまり頑張ってなかった」と。
単一古代文明の遺物にあやかっている国は他にない。エジプトは頑張って宣伝したりサービスを磨かなくても、観光客がわんさかやって来ていたからだろう。
クフ王のピラミッド
近づくと思ってたより大きくて圧倒される。高さは146mだったが、頂上の石が盗られて現在は137mだそうだ。
以前は大量に国民を使ってピラミッド建設に酷使し、奴隷のように働かせたと言われていたが、最近の説では、逆にピラミッド建設に人を集めて雇用機会を作ったと言われている。
ナイル川が氾濫すると、川の近くは水の底となりしばらく農業はできない。そこで困った農民を雇ってピラミッド建設業に従事させ、賃金もしっかり払ったらしい。古代エジプト王の治世はそうでなくては、と納得する話だ。
盗掘用の入口から内部に入る。我々は8時開場と共に入ったので人が少なくゆっくり楽しめたが、ちょっと遅れると混み合うそうだ。
内部は狭くて天井の低い通路もあるので、人が多いときに入ると最悪だと思う。一番奥には花崗岩でできた玄室があり、動画はダメと言われるが写真は普通に撮れる。石の棺以外には何もないが神秘的でとっても綺麗にメンテナンスされている。お金を払っても入る価値はある。
入口まで登るとカイロの街が一望できていい眺めだった。ちなみにピラミッドの外側を登ろうとすると大声で怒られる。
ビューポイント Panoramic View of the Pyramids
続いてクフ王、カフラー王、メンカウラー王の三世代ピラミッドが一枚の写真に収められる場所へ移動。
ラクダもいっぱいいた。ここはカイロの街も遠景にぼんやり映って異国情緒がある。
ラクダのおじさんは「山本山」と言って日本人の気を引いてくる。
お土産屋も並んでおり、「ノーマネー」とか「ワンドラー」とか言っているが、もちろん無料じゃないし、1ドルで買えるものは何もない。ガイドさん曰く、商品は30ドルくらいだそうだ。本物の石ではなくプラスチックでそれっぽく作って、観光客に高値で売っているらしい。
エジプトのお土産は「買ってもいいかな」と思える値段より遥かに高くて、物欲がなくなる。ほかの観光客も結局買わずにいなくなる人が多い。
もうちょっと最初から安く売った方が絶対売れると思うんだが。。
ここから道路を走っていくと、メンカウラー王のピラミッドがきれいに見える道を通る。王妃の小さなピラミッドが3つ並んでなんともいい感じだ。
クフ王にも3つの小さなピラミッドが付属しているので、ここには全部で9つのピラミッドがあるということになる。
カフラー王のピラミッド
クフ王の息子、カフラー王のピラミッドは、表面を覆っていた化粧岩が頭頂部に残っていて、帽子を被っているようでかわいい。一番保存状態がよく美しいピラミッドと言われている。こちらも内部に入れるらしいがクフ王より人気がない。
ここは内部には入らずに、近くから眺めただけだったが、上部の表面がつるっとした部分がすごく目立つ。確かにこれはトレードマークになっている。
続いてスフィンクスの東側を通ってカフラー王の河岸神殿へ
カフラー王の河岸神殿
カフラー王の河岸神殿。この裏にスフィンクスがいる。この神殿の前ではスフィンクスとピラミッドの遠景が一画面に見え、絵葉書みたいな写真が撮れる。この神殿の中でミイラを作ったと言われている。
ちなみにピラミッドと逆サイドには有名なケンタッキーやピザハット他ホテルなど建物がたくさん建っているのだが、景観を損なうため政府が取り壊しを予定している。想像される通り揉めに揉めており、まだ時期は決定されていないが、納得のいく補償をして、そのうちなくなるそうだ。
スフィンクス
カフラー王の河岸神殿を抜けると、スフィンクスが間近で見られる。
いろんな格好をして面白ろ写真が撮れて楽しいが、早い時間に来ないと観光客で混み合ってぎゅうぎゅうでそれどころではなくなる。
スフィンクスはカフラー王の頭部にライオンの身体を組み合わせて作られており、ピラミッド泥棒を驚かす用だったらしい。当初は彩色されていて、顔の一部にその時の赤い塗料が残っている。
なお、鼻が削げてしまっており、これはフランスとの戦争の影響とか、偶然崇拝を禁止するイスラム教徒によるものだとか、いろいろ仮説がある。
ヒゲはイギリスに取られて大英博物館に展示されている。
イギリスはここでもあんまり良い噂は聞かない。
このスフィンクスにまつわる伝説がある。
スフィンクスの身体が砂に埋まっていた時代、エジプトのひとりの王子がそこで昼寝をしたところ、夢にスフィンクスが出てきて「身体を掘り起こしてくれたら王にしてやろう」と言ったそうだ。スフィンクスを掘り起こしたその10年後、その王子は偉大な王になった。それがトトメス4世である。
パピルス専門店 3 Pyramids Papyrus institute
トイレ休憩で寄ったパピルス屋さん。
ここではパピルスの作り方を実演してくれる。
商品はわかりやすいエピソードの柄が多くて観光客人気を狙っている感じがする。とても綺麗だったが高額なので手が出にくい。
もともと買う気はなかったので、すぐに後にした。かわいい栞をもらった。
シタデル(ムハンマド・アリ・モスク Mohamed Ali mosque)
休憩後に向かったのは、1176年、対十字軍のためにサハディン(サラーフ・アル=ディーン、サラーフッディーン)が造った要塞「シタデル」だ。
カイロが見渡せる小高い丘の上にあり、景色が良い。
中は広いが、一番の観光スポットはムハンマド・アリによって1824年に建てられた大きなモスク。モスクの前の広場にある綺麗な時計台とモスク内のシャンデリアはフランスからの贈り物で、ムハンマド・アリがルクソールにあったオベリスクを贈ったことのお返しだそうだ。
敷地内はきれいにメンテナンスされており、整った建築は素晴らしい。特にビザンチン様式のモスク内のドームは精巧な細工が見事で、入ると思わずため息が出る。お祈りの場所は男女別になっていて、一階は男性用、上階は女性用だそうだ。
モスクに入る際は靴を脱ぐか、靴の上からカバーをかぶせる。
インドのヒンドゥー教寺院のように厳しくなく、靴下は履いていていいし、靴も自分で持って移動して良い。
このモスクが立つ丘はシタデルの中でも眺めがよい広場になっていて、たくさんの観光客がカイロの街並みの写真を撮っていた。
正直街並みはあまりきれいではないが、ピラミッドが見えるのでみんなはしゃいでいたんだと思う。
ここでは地元のカップルらしき男女がデートっぽいことをしていて、でも隠れてバレないように会わなきゃいけないみたいで、大変そうだ。イスラム教徒の結婚前のデートや泊まりはやっぱり今でも良くないことらしくて、ダメらしい。
インドで恋愛結婚が増えているように、ムスリムの結婚事情もだんだん変わってくるのかもしれない。エジプトも最近では頭を隠さずに外にでる女性が増えているらしい。
コシャリ専門レストラン Abou Tarek
(※マップのピンは位置が違いました)
遅めのお昼ご飯は人気のコシャリ専門店へ。メニューは一種類のみだが、とても賑わっていた。コシャリはパスタ、米、マカロニに、ひよこ豆、オニオンチップ、トマトソースを混ぜていただく。
味は日本のミートソーススパゲッティに近い。
ガイドさんがコシャリをすごく勧めてくれるのだが、そんなに美味しいかと言われると、まあ普通。お腹が空いていれば食べたいが、他に食べるものがあればあえて選ばないと思う。でもエジプト人はちょっと小腹がすいたらまずコシャリらしい。
日本人でいうとラーメンみたいな感覚だろうか。
お腹がいっぱいになったところで、本日一番疲れるイベント、エジプト考古学博物館へ。
エジプト考古学博物館
考古学に関する博物館なので、最低でも古王国、中王国、新王国の代表的なファラオと簡単な歴史(+エジプト神話)を復習してから行くことをお勧めする。
たぶん何も知らずにいくと、何もわからない。わかりやすい綺麗な油絵とかは皆無。
1階にまずはいると大きなファラオの像があるが、その中央に人だかりがあり、ナルメル王のパレットがある。この陶片は約5000年前、前3000年頃にナイル谷からイスラエルへ運ばれた酒甕の破片だそうだ。
紀元前3150年ごろ、上エジプトのナルメル王が下エジプトを押さえてエジプト最古の統一王朝であるエジプト第1王朝を建設した。そのときのエピソードが彫られている。
一階はファラオや神の像がいっぱい展示してあるが、有名どころが時代順に並んでいてわかりやすい。
一番の衝撃はクフ王の像の小ささ。
個人的には宗教改革やアマルナ美術で有名なアメンホテプ4世の顔が特徴的で親しみを覚えた。アメンホテプ4世は別名アクエンアテン王とも言われていて、アテン神(太陽神)だけを信仰する宗教改革を行った。
結局その宗教改革は彼の時代だけで終わり、元に戻された。
キャラも強烈だったと思う。
二階はツタンカーメン関連と、ミイラ関連のものが並ぶ。
ツタンカーメン関連は半分ぐらいが新しい大エジプト博物館(オープン未)に行ってしまったらしいが、マスクや装飾品など主要なものは残っていて見応え十分。
ミイラはルクソールの墓にある。
ツタンカーメン関連は一つの部屋にまとめられていて、この部屋は写真禁止。携帯も出すとカバンにしまうように注意される。
有名な黄金のマスクや装飾品はすばらしかった。
これがツタンカーメンの小さい墓に入っていたということだから、クフ王やラメセス2世など有名な王の墓の装飾品はどれだけだったのかと思う。
二階には古代人のミイラが展示されている。動物のミイラのコーナーもある。
棺が雑に置かれている部屋が多くてちょっと悲しい気分になる。
これだけ広いと2階の隅の方はメンテナンスが行き届いてないんだろうなと思った。
全体的に混み合っていて、子供がはしゃいで走り回ったりもして賑やかな博物館だった。美術館や博物館が人気というのは嬉しい。
さて、博物館には3時間近くいて、あっという間に1日が終了した。
オールドカイロに行ってシナゴーグを見たかったのだが、ちょうど今は改修中で入れないということだった。そもそもシナゴーグってユダヤ人以外入れないところが多いのだが、オールドカイロのシナゴーグは手荷物検査のみで無料で入れるらしい。是非見たかったのだが、残念。。
オールドカイロの他の教会やモスクなども、だいたいオープン時間は9時〜16時なので、満喫したかったらもう1日必要だろう。
あと最も古いジェゼル王の階段ピラミッドや、スネフェル王(エジプト古王国第4王朝の初代ファラオで、クフ王の父)の赤いピラミッド、途中で設計ミスに気づいた屈折ピラミッド、などなど南の方のも見るといいらしいが、ピラミッドばかりでも飽きるし河江肖剰さんのチャンネルを見てよくわかったのでもういいかなという感じはある。
次回エジプトに来ることがあったらオールドカイロとともに回ろうと思う。
さて、ホテルに戻って夜はまた昨晩と同じプールサイドのレストランで食事をし、翌日に備えて早めに就寝。
明日は5時に起きて、飛行機でアスワンに向かう。
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