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台所のあるじになった

憧れの場所

小さい頃から、台所は『憧れの場所』だった。


実家の台所からは、いつもいい匂いがしていた。朝6時くらいに薄っすら目が覚めると、「トントントン」と軽やかな音がする。包丁の音、そして”ジュウ~ッ”っと何かを焼く音が響く。

多分、刻んでいたのは今日の晩御飯のお野菜を刻む音で、”ジュウ~ッ”は卵焼きを焼く音。母の卵焼きは、お弁当の定番おかずだった。

私は頭半分寝ている状態でむっくりと起き上がる。「おはよう」と言いながら台所の横を通る。すると、「おはよう!」と母の快活なトーンが響く。


母は台所のあるじだった。


手料理はボリューム満点。どれも美味しい。

フルタイムで働きながらも、手作りメイン、時々冷凍食品で、家族の胃袋をいつも満たしてくれていた。ある意味母が掴んだ胃袋で、繋がっていた家族だったのかもしれない。

母は、「母さんがもう一人ほしい!仕事をする母さんと、料理をする母さん。」とよく言っていた。

でも、子どもたちに「料理を作って」と頼むことはなかった。むしろ私たちが、台所で勝手に料理をしたり、お菓子を作ったりすることを嫌がった。

だから、母から料理を教わったことはない。料理はできるようになりたいと思っていたので、大学生の時に自分で料理教室に通った。

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そして社会人になり、私は一人暮らしを始めた。同時に、憧れだった自炊生活も始まった。

仕事を終えて帰宅が21時を超えたとしても、そこから簡単な料理を作り、自分の胃袋を満たした。夜勤前にまとめて作り置きをすることもあった。職場には、お弁当を毎日持って行った。

同僚からは「お弁当持ってきてて、すごいね」と言われることが多かった。私はむしろ、持っていくほうが楽だったのだが。

それは仕事中の休憩時間が少なく(ひどい時は、10分くらいでご飯をかき込んでいた)、お昼ごはんを買いに行く時間さえ勿体ない、と感じていたからだ。それなら少しでも長く休んでいたい。

それに、売店やコンビニには、食べたいものがなく、そうなるとなかなかご飯が決まらない。選ぶことに時間がかかることも、私にとっては難点だった。

だから自然と、お弁当生活も自炊生活も続いていた。

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私流、台所の楽しみ方

台所のに立つことは楽しい。

トントンと包丁を鳴らし、ジュウジュウとお肉と野菜を炒めて、その日に食べたいものを作って食べる。小さな幸せの時間だ。

決してロールキャベツとか、唐揚げとか、手の込んだものや揚げ物は作らない。ザクザク切ったお野菜たちを、蒸すとか煮るとか炒めるとか、簡単なものしか作らないと決めている。

唐揚げはむしろ、買った方が美味しい。
「自分で作れるものが何か」を割り切っていた分、料理が全然苦にならなかったのだと思う。


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自家製塩麹

そして2年程前から、「」を活用しまくっている。

「塩麴にお肉を付けていて、あとは野菜と炒めるだけ」とか、「納豆のたれを使わず醤油麹で味付けする」とか、「コンソメの代わりに玉ねぎ麹でスープを作る」とか。

料理の味は、麹のおかげで簡単に、バッチリ決まる。これはみんなにおすすめしたい。これがあるだけで、料理はめっちゃ楽になる。

そして、台所のあるじになった

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疲れた時も、料理をしていると不思議と癒されたりする。「ゾーンに入っていける」というか…集中できる。

1人暮らしを始めてもう7年目。憧れの場所に立ち、叶えたかったことを、今叶えている。それは、ちょっぴり誇らしい。幼き頃の願いを、叶えてあげられたような気持ちがするから。

こうして私も、母と同じように『台所のあるじ』となったのだ。

塩麹と醤油麹の作り方

■塩麹レシピ

・いいお塩 75g
・水 270g
・生麹 250g

①清潔な容器に3つを投入。
②常温で7日間放置。1日1回まぜる
③塩の角がとれてまろやかな味になったら冷蔵庫へ。

■醤油麹レシピ

・生麹250g
・美味しいお醤油
・清潔な容器

①清潔な容器に生麹を投入。
②そこに美味しいお醤油をひたひたになるくらいまでいれる。
③常温に放置。毎日1回、スプーンでかき混ぜる。

7〜10日後に完成!
冷蔵保存で3ヶ月





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