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GCE-Alevelとイギリス大学受験 ーイギリス留学ー

イギリスの高校(6th form)留学や大学進学時に耳にするAレベル(GCE-Alevel)とイギリスの大学受験について、別ブログで書いたものを改訂して、記載したいと思います。

娘は6th form2020年卒業なので、Alevel2018年の改定後であることまた今後も制度の変更が考えられることをご了承ください。
また私自身は受験専門業者ではなく、娘の受験に伴い親として経験した内容を記録していますので、情報に偏りが生じることもご理解ください。

Alevelとは

まず、Alevelとは?からです。

イギリスを始め、一部の国で採用されている高校卒業資格のこと。イギリスやその他の国では、この資格試験の結果を基に大学への入学が許可されます。(類似の資格にIBとかAPがあります)
イギリスの6th  formでは、AlevelとIBを両方提供している学校も多くあります。うちの娘が通っていた学校も両方のコースがありました。IBからAlevelに転向する生徒も僅かにいました。

イギリスの義務教育はセカンダリースクールのyear11までで、この学年でGCSEという義務教育修了試験があります。そして、大学進学希望者は6th formに通い、year12と13の2年間でAlevelを履修します。
Alevel履修の際には、GCSEの成績次第で選択可能な科目が制限されることがあります。
娘の場合、日本から6th formに直接編入しましたので、GCSEは未受験で、中学校卒業時の成績証明で代用されました。(高校1年3月まで在学し、高認取得後、2年生からyear12に編入です)

イギリスでは、9月からAlevel1年目(year12)が開始。通常3~4科目を選択し、2年目(year13)で3科目にすることが多いですが、最近の傾向として最初から3科目に絞ることもあります。最終試験は、2年目の5月から科目毎に徐々に開始し6月に全ての科目試験が終了します。

成績は、上から順に A* A B C D E で評価されます。取得できない場合はUと表記されます。

結果は8月第2木曜日に発表です。


A2とASとは

2018年の制度改定後、AS試験は必須でなくなりました。以前は1年目でAS試験、2年目のA2試験を受けてAlevel修了としていましたが、現在は2年目のAlevel試験を受ければ修了です。
AS試験は2年目で科目を減らす場合、捨てる科目のみ試験を受ける形になります。

因みに日本の一般的な高校卒業資格はASlevelと同等と見なされていますので、A2を受けていない日本の高校生は、イギリスの大学へ直接進学することは出来ません。Foundation courseでA2レベルを学び、Alevelと同等の試験を受けてから大学へ進学することになります。
ですから高校卒業後イギリスの大学に入学したい場合、高校卒業→Foundation course(1年〜1年半)→イギリス大学入学 となります。


Alevel試験について

Alevelの試験審査団体は、いくつか有ります。
以下がその団体です。

Edexcel and Cambridge International Examinations (CIE) は、international versions をイギリス連邦の国々の他に世界中で提供しています。アジア等のインターナショナル・スクールで履修されているIGCSEやAlevel過程は、こちらになります。

各学校はこの中から科目毎に選択し、そこのシラバスに沿って学生に授業を提供しています。同じ学校でも科目ごとに試験団体が違ったりします。

Alevel対策

各学校で提供している試験団体の過去問をとにかく繰り返しやって、傾向と解答のポイントをつかむことです。その他courseworkが評価に含まれる科目がありますので、芸術系科目やPE等を選択している場合は、こちらをきちんと仕上げることも必要です。

6th formはこの試験に向けての予備校的要素が強いですが、部活動や希望者の修学旅行、ボランティア等の活動も提供しています。日本からの卒業目的の高校留学は、基本的に私立の寮制の学校のみなので、Alevelの成績実績や学校の雰囲気等も充分考慮して検討するといいと思います。大学入試に必要な推薦書や志望動機のエッセイでは、部活動やボランティアなどの活動内容もアピール出来ます。

Alevel試験日程は、半年前から3か月前位にスケジュールが発表になります。芸術、文系、理系科目の順になっていたような?会場は自校でしたが、どこもそうなのかな?

選択する科目について

将来的に進学したい大学のコースに合わせて選択していくのがベストです。ですがはっきりと決まっていない場合、GCSEの結果を踏まえて得意な科目から選んでいくことになります。

大学は、Alevelでどの科目をどのくらいの成績で取得すればオファーを出すか明記しています。

physiotherapyコースに進学したうちの娘を例にとると、Alevelで必要な科目は3科目でそのうち生物か人間生物学もしくはPEの成績がA以上、文系科目の一部は考慮しないでAAB以上(学校によってAAA以上など)、という感じです。つまり、生物、人間生物学、PEのどれかを含めた理系科目を3科目選択する必要がありました。

成績の縛りもあるので(全科目A以上を目標にしていましたので)、PE、生物、数学を履修しました。
最初化学も選択していたのですが、負担が大きかったので2ヶ月ほどで捨てました。代わりに授業無しで、外国語として日本語のAlevelを取得し、4科目としました。

医学部ですと、生物、化学、数学を選択する学生が多いですね。もっとも医学部はAlevelの他、UKCATやBMATなどの試験も受けなければならず、ボランティア経験も必要、学費も高額ですので、日本語が母国語の学生なら、日本の国立医学部へ進学する方がまだ楽ではないかと娘は申しておりました。

日本からの留学生で多いのは、経営経済、国際交流、芸術系のコースに志望する学生だと思いますが、それぞれどのような科目を選択したらよいのか?決定前にUCASでチェックすると良いと思います。

余談ですが、オックスブリッジへの進学を希望する場合は、Alevelの方がIBより行きやすいと思います。IBでももちろん可能なのですが、娘の友人などはAlevelに転向していました。日本から学部に進学したい場合は、最遅でもyear12からイギリスに留学した方が良いかも?
もしくは大卒後修士からの方が、断然入りやすいです。
オックスブリッジは、UCAS締め切りが早く、どちらか一方にしか出願出来ない、IELTS要求スコアが高い、面接対策が必須、Alevel科目選択とスコア取得にコツがあるなど、教育制度の違う日本の高校卒業生にはほぼ不可能です。インターナショナルスクールとかIBを履修している生徒はこれに当てはまりません。
また、イギリス国内の6th  formでも所謂名門校は合格をいただきやすいですが、娘が通っていた6th formは同級生の中で4〜5人というところでした。娘と仲の良かったお友達はケンブリッジの医学部に進学しましたが、ポーランドからの優秀な学生で、娘と同じ部活に所属し発表会にも出演しつつ、ボランティア活動にも熱心で、とにかく忙しく充実した高校生活を送っていました。

大学受験とAlevel

さて、Alevel履修については上記で述べたとおりですが、大学受験の仕組みにも触れておきます。

まず、イギリスの大学受験は、UCASというところで一元管理されています。
全ての受験生はUCASに登録し、医学部は4校、その他のコースへは5校まで出願できます。
学校からのAlevel取得見込み成績、志望動機書、学歴・各種資格(IELTSや高認、バレエの資格であるRAD等も記載できました)・BMAT等試験結果などのCV、推薦状などの必要書類は、全てここを通して提出。合否結果もこちらから受け取ります。
一括受験料は、日本円で3000円ほど(為替や年度毎に変更あり)。良心的です。
ただし学校ごとの出願ではないので、志望コースは同一もしくは似た傾向のものになりますし、志望動機書もそのコースを学びたい動機のような感じになります。

だいたい9月から受付が始まり、オックスブリッジと医学部は10月位に、その他のコースは1月位までが、出願期間になります。
コースによっては面接があるので、出願後随時面接に呼ばれ(インターナショナルの場合はオンライン)、そうでないコースの場合は、書類と成績で大学からのオファーが来ます。
時期は、結構バラツキがあります。
娘の場合は、11月に5校に出願終了。第2希望の大学からは直ぐに、第1希望の大学からは12月に面接のオファーが来ました。
1校は、1月早々にお断りがきて、その他2校からは1月に面接のオファーは来ましたが、その頃すでに第一第二希望の大学の面接が終了し、条件付き合格を頂いていたので、その他の面接はキャンセルしました。

条件付き合格というのは、8月に発表になるAlevelの成績が、大学の定めるレベル以上なら合格にしますよ、ということです。殆どの学生は、こちらのオファーをいただきます。
UCASで出願大学全てにこのオファーを頂いても、最終的に残せるのは2校だけです。
ですから大学の提示成績が、自分に見合う成績のところと滑り止め的な成績のところを2校残す必要がありました。
physiotherapyコースは、大体どの大学もAAB以上で同じような感じでしたが、何校かABBの大学がありました。
その中でも、AAB以上で娘が行きたかった大学(はっきり言ってここ以外は考えていませんでしたww)を第一希望に、カリキュラムがまずまずで奨学金を結構出してくれたABBの大学を第2希望にしました。

結果は、数学:A* 生物:A* PE:A* 日本語:A* ということで、第一希望の大学に入学が決定しました。
この他の合格条件に、留学生は、IELTS OA7.0以上、各セクション6.5以上 という条件もありましたが、これはyear13の12月時点でクリア出来ていたので、問題ありませんでした。

まとめ

Alevelは、イギリスの高校卒業資格とともに、大学入試のようなものです。イギリス大学へ進学を希望するなら取得する価値があるとは思いますが、アメリカでしたら日本の高校卒業資格があれば、SATとTOEFL受験とエッセイで進学できることを考えると、ちょっとハードルが高そうです。
IBやAlevelは、日本で言う大学一年生の履修内容と同等と言われていますので、通常3年制のイギリスの大学では必要とされているのだと思います。

Alevelは、6th form collegeというところでyear12(9月~翌年8月までに満17才になる子供たち)から履修し始めます。日本から留学する場合、英語での授業に着いていけそうならこの年齢からでも可能です。ただ、英語力や学校の成績により、year12の編入を希望していても学年を下げるように言われてしまうこともあります。うちは幸いそのまま編入出来ましたが、同じ学校にいた日本人留学生数人は、学年を下げての編入でした。

一般的に入学や編入を勧められるのはyear10位からで、学習環境に慣れGCSE~Alevel履修がスムーズだからなのだと思います。

現在は海外大進学専門のエージェントが、通信教育でAlevelの資格取得をアレンジしているところもありますが、内容次第で一考の価値もあると思います。
ただ、ある程度科目が制限されていることと、何を将来学びたいか?行きたい大学に合っているのか?等、ご自身でよく調査検討された上で選ばれたほうがいいと思います。

うちの場合は、イギリスの大学しかも行きたいコースが決まっていたこと、ある程度の成績を大学でも取って、その後大学院への進学に繋げるために学習スタイルに慣れておくこと、語学力の向上、等いくつか目的もありましたのでこのような選択となりました。

海外大学進学にはいろいろな手段方法があります。
イギリス大学へ進学を希望されている方の参考になれば幸いです。

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