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小説『衝撃の片想い』シンプル版

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大長編小説『衝撃の片想い』のシンプル版。読みやすく直しました。よろしくお願いします。
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2023年9月の記事一覧

小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】④

小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】④

【涼子を知らないゆう子】



友哉は彼女に気づかれないように、小さく深呼吸をした。
「わたしのファンじゃなかったみたいですが、そのうち好きになりますよ。そういう運命なんで。きっと律子さんも忘れられます」
あっけらかんと言い放つ。
「律子のことも知ってるのか」
少し語気を強めると、
「怒り出しましたね」
ゆう子は怖がった様子も見せずに言った。
「怒ってない。まっとうな怒りだ」
「怒ってないまっと

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小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】③

小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】③

【美人秘書の名は、女優、奥原ゆう子】



――あの自称未来人がきてから、もう一ヶ月か…
成田空港のフロアの一角に、新型メルセデスベンツが展示してあった。友哉が最新型の銀色のベンツを眺めていると、
「先生。佐々木先生」
女に声をかけられる。テレビにも出ていないしネットにもあまり顔は出していないから、友哉には、彼女が読者ではないと分かった。

成田空港に女がやってくることはトキから聞いていた。

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小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】②

小説『衝撃の片想い』シンプル版 【第一話】②

【愛する女はいない】



トキが言葉を失っていると、
「何をびびってるんだ。まあ、いいよ。何者か知らないが、君が考えていることはだいたい分かってきた。だが、軽くなったモデルガンのことが分からない。こいつは喋らないしな」
と言う。それほど自慢げではなく、どこか自虐的だ。
「その観察力で愛され、嫌われてきた」
トキが友哉をじっと見つめた。トキは落ち着ている。
「俺の過去を知ってますアピールはもうい

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