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税理士事務所やらかし列伝~その2~仕訳がわからない

このnoteはわたしが税理士事務所で仕事中にやらかしてしまった黒歴史を、その供養のために書いたものです。

税理士事務所に入って1か月目の私。
1社目の入力作業に意気揚々と取り組んだものの
さっそく売掛金と回収額が合わなくて、パニックになる。
先輩から教えてもらって解決はしたものの、この子何にも知らないの?
という目で睨まれる始末。

今回はその修正作業をしている最中に起きたやらかしです。


修正作業に取り掛かるも、仕訳がわかりません!
先輩、へるぷみー!!!!

と先ほど頼ったばかりにも限らず、再度泣きつくことになるのです。

複合仕訳がわからない

複合仕訳とは
借方、又は貸方が複数行にわたって記録する仕訳方法を言います。

諸口という言葉で説明したりもしますね。何を隠そうこの私、複合仕訳という言葉を知らないまま日商簿記1級まで合格してしまったんです。
当時は問題をとければそれでいいとしか思っていなかったため、実務をまったく知らない弊害ですね・・・。

実際に複合仕訳をやってみよう

例えば次の取引の仕訳を考えてみましょう。
・売掛金100,000円を回収した。
・相手先からは振込手数料440円を除いた99,560円が入金された。

手書きの仕訳であれば
入金された金額を借方に預金で処理します。
相手方に来るのが貸方に売掛金です。
振込手数料は入金額と売掛金との差額を支払手数料として費用処理します。

これらの取引を整理して・・・
完成!

預金 99,560円 / 売掛金 100,000円
支払手数料 440円

という仕訳になります。
ところが、会計ソフトでは少し入力の仕方が異なるんです。
ここが問題のはじまりでした。

複合仕訳には2通りの入力方法がある。

会計ソフトの考え方では、1行で借方と貸方が必ず同じ金額にならなければなりません。

つまり、
預金 99560円 /売掛金 100,000円
という1行を入力することができないんです。
(入力の効率化のためと、エラーのもとになりやすいためだと考えられます)

その為、複合という勘定を使ってソフトには入力していきます。

複合仕訳には2通りの入力方法があります。
それは複合勘定を使う方法と、使わない方法です。
順番にみていきましょう

①複合勘定を使う仕訳
預金 99,560円  /複合 99,560円
複合 100,000円 /売掛金 100,000円
支払手数料 440円 /複合 440円

それぞれが1行ずつしっかりとバランス取れているのがわかると思います。

②複合勘定を使わない仕訳
預金99560円売掛金99560円
支払手数料440円売掛金440円

①は複合を使った仕訳、②は複合を使わない仕訳になります。

さて、どっちが正しい仕訳でしょう?

どちらの仕訳が正しいのか考えてみましょう。
どっちも間違った仕訳ではないんですが、①のほうが優れた仕訳です。
②のほうが間違えやすい、ミスに気付かないという欠点があります。

②だと貸方に売掛金が2回登場してきます。

何もわからない人がこれを見たら、2回売掛金を回収している?
と捉えてしまっても不思議ではありません。

あくまでも売掛金の残高は1つの取引先に対して100,000円です。
回収も2回に分割して回収したわけではないので、その100,000円という数値がどこかに記録してあるのが望ましいということです。

①のほうがより取引の実態を表しているといえるので、
より正しい仕訳は①になります。

しかし複合勘定を使う方法は、元帳を印刷した時に相手方の勘定に複合と表示されてしまい、相手方が何の科目かわからなくなってしまうというデメリットもあります。
顧問先の要望に応じてどちらも使いこなせるようにしておくのがいいでしょう。

仕訳がわからなかったわたし

さて、修正作業に取り掛かった私は、上記2つの仕訳がわからなくて四苦八苦。
どうしたものかと紙に手書きでいろいろと仕訳を書いていたのです。

ちっとも作業が進まないため、見かねた先輩から
え?本当に1級持ってるの?バカなの?
と言われてしまいました。

そんなこんなで入力作業に慣れていった私ですが、
事あるごとに
仕訳もわからないゆっくりさん

といじられています。
やめてくれ・・・

後輩の前でそれを言わないでくれ。

その先輩は飲みにも連れて行ってくれるし、今では良い関係を築けています。

他の先輩だったら辞めてしまっていたかもしれませんからね。
やらかしもいい思い出です。

このミスがどうか成仏されますように・・・
南無(-人-)合掌



😊