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読書記録 神さまたちの遊ぶ庭

読書記録 神さまたちの遊ぶ庭
宮下奈都先生著 光文社 2015年



図書館へ行き、ゆっくり本を選びたかったけれど、その後の予定がおしているので、急いで、本棚から宮下奈都先生の本をいつものように、題名と装丁で選んで借りてきました。

急いで選んだ割には、じわじわとくる読後感がある。やっぱり宮下先生です。


◎あらすじというか要約
宮下奈都先生一家の山村留学のエッセイです。

宮下奈都先生は、ニ男一女のお母さんの小説家。
本来は福井に住んでいた。

だが、「北海道の大自然の中で暮らしてみたい」という、ご主人の強い希望を受け入れて、一年間だけという、約束で、北海道の大雪山のトムラウシという集落にやってきた。

トムラウシは「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)といわれる、素晴らしい景色の土地だ。

その近くに小さな集落があり、牧場と小中学校があった。

宮下先生の子ども達は、中学3年、中学1年、小学4年である。

長男は飄々とした性格で、次男は真面目できちんとした働き者、長女は生き物、特に虫が大好きという3人。

4月に始業式&入学式があった。先生たち、地域の人たち、子どもたちがあたたかく、にこやかに迎えてくれた式だった。

歓迎会では、みんながどんどん話しかけてくれる。自分の話もどんどんしてくれる。先生たちも元気満々で、自分たちが楽しもうと言う気配でいっぱいだった。


そして

たくさんの人の前で話すことが苦手だった子どもだちが、代表で挨拶をし、学芸会でEXILEのダンスを踊り、兄弟で部活の朝練をし、母の宮下先生も学芸会の父母の出し物で大役を仰せつかる。



◎気になった箇所
✴︎211ページから
 しあわせって、たぶんいくつも形があるんだろう。大きかったり、丸かったり、ぴかぴか光っていたり。いびつだったり。変わった色をしていたりもするかもしれない。そういうのをそのまんまで楽しめるといいとつくづく思った。

✴︎✴︎218ページから
あと2ヵ月で長男は卒業してしまうのか。
考えただけで、まずい。一年前の今頃は、たったひとりで中学校を卒業することになるなんて、思ってもいなかった。いつも大勢の中のひとりだった。

大勢の中のひとり。それは決してわるいものではない。私たちは常に大勢の中のひとりとして生きていくんだ。

だけど、一年間だけ、いつもひとり。しかも最上級生、という境遇を体験して、彼は確実に変わったと思う。

ひとりだからこそ、まわりを考えるようになった。自分で、自分から、動くようになった。



◎感想

この北海道での一年間は何をもたらしてくれたのだろう。

少人数の集団の中で、毎日顔を合わせ、話をしながら、勉強したり、遊んだり、行事を作り上げていくことは、人としての大切な物を子どもたちに与えてくれたのかもしれない。

いつも一緒にいる人と、笑ったり、時には怒ったり、気持ちを通い合わせる中で育っていくもの。

その中での経験は人と関わりながら、人への信頼感を作り上げて行き、その後の人生を楽しんでいくために大切な基盤となるのではないだろうか。

本当の意味での質の高い教育の一端は、高度な知識や技術を身につける場よりこんなところに、眠っているのかもしれないと、思う。

しかし、私の母親の本音としては、中3の受験生を連れて山村留学だなんて、勇気あるというか、すごいとしか言えない。

できることなら、もう一度幼児の母に戻れたら、自然の豊かな場でたくさんの人と出会い、何かを一緒に楽しむ経験をたくさんさせてあげたい、とも思う。


最後に、テンポ良く読みやすいエッセイ本なので、みなさまに、ご一読してほしい本です。


◎今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました😊😊

素敵な一日になりますように❤️

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