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読書記録 夏物語

このところ、落ち着いて文章を書いている時間があまりなかったので、更新おくれました。

暑さのせいと言うよりは、
ボランティア活動の会議にでたり、
外出していたりして、、、。


今日は、
以前、本屋大賞を受賞した、
川上未映子さんの
『夏物語』文藝春秋社、2019
です。



私は初めて読む作家さんでした。川上先生についてほとんど予備知識なく、図書館で久しぶりに読みでのある長編を探していて出会った一冊です。



◎あらすじ
主人公の夏子は30歳、東京で一人暮らし。アルバイトをしながら文章を書き続けている。

物語は一部と二部に分かれており、一部では幼少期の思い出と姉や姪との過ごした夏の日々について、
たわいない会話と細やかな内面の心理描写で物語が進んでいく。

二部では、数年後、夏子の小説が賞をとるが、あまり生活は変わらず次の作品のテーマを模索している、編集者や小説家たちとのゆるやかかつ時に深い関わり。夏子は自分の生について振り返り、思考する中で、子どもを持ちたいと思うのだが、、、。



◎気になった箇所 

姪の緑子のノートから 87ページ
✴︎お金のことでお母さんといい合いになって、なんで私を生んだん、ってことをそのまえにすごいケンカしたときははずみでゆうてもうたことがあって、わたしはそれをよう思いだす。

セリフ的にまずいなって思ったけど、いきおいで言ってしまった。お母さんは怒ってるねんけど黙ってしまって、すごい後味が悪かった。 


511ページ、知人の逢沢さんのことばから
✴︎✴︎  
ボイジャーは、いまから40年ほど前の夏に打ち上げられた宇宙探査機です。 

中略
何もない、どこまでも真っ暗な宇宙を、いて座の方向に向かって飛んでいます。

中略
それで僕が友達とけんかしたり母親に叱られてメソメソ泣いているとね、父がやってきて、隣に座って言うんです。
『つらいときはボイジャーのことを思い出せ』
ボイジャーはずっとひとりで、真っ暗な、光もないところをずっと飛び続けているんだぞって。



◎感想
まず川上未映子さんの文体というか、文章に引き込まれるようにページをめくっていました。

それは、句点の少なめの流れるような文章のせいなのか、大阪弁の会話で進む場面が読んでいて心地いいのかわかりませんが、初めて読んだ作家さんですが、もっと読みたいと思いました。

そういう意味で、やっぱり本屋大賞なのかなぁ。

★★
この本で扱うテーマが、経済的な困窮とか、家族の生き方とか、女系家族の繋がりの葛藤とか、私自身の人生であまり深く悩むことがあまりなかったのかもしれない。 

ただ私は経済的自立は可能な限り模索したいし、そのための必要な知識や技術を誰でも身につける援助が受けられるようになってほしいと思う。


★★★
二部では「子供を産むということ」について書かれている、私は出産についても立ち止まって考える余裕もなく、気がついたら子育てと仕事の両立で悪戦苦闘していた。

この本では精子提供、人工授精という産みたくても恵まれない命、色々な理由で生まれても望まれない命のことを立ち止まって考える機会になった。

✴︎✴︎で引用した文面は、後に実の父ではないとわかった育ての父から言われたことばだ。実の父ではなくても、幼い息子を思う親の気持ちが滲み出るような語りだと思う。

やっぱり人生で、自分のことを心から大切に思ってくれる人がいたという事実が大事で、それが自分を大切に思い、大切にしたいと思える人に出会えるかという鍵になのでは、ないのだろうか。

★★★★
思えば、私は7歳離れた兄の後に、まだ産休育休のない時代にフルタイムで働く母から生まれた。

子育て中の大変さを語る母の逸話は時折聞かされた。

そう考えると母にとって望んだ出産だったかは、ちょっと疑問だけれど、父母が私のためにできる限りのことをしてくれたことは、疑う術もないと思い、心から感謝している。

◎最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊

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