もう一度、あの場所にもどれたら、、、読書記録 龍神の子どもたち
読書記録 龍神の子どもたち
乾ルカさん著
祥伝社 2020年
初めて読む作家さんです。図書館で見つけて山や海の描かれた表紙のイラストに惹かれて借りてきました。
変化の少ない日常において、新しい出会いは大切にしようと思います。
さて、
◎あらすじ
主人公の幸男(ゆきお)は3月生まれ。4月生まれの年子の兄の武男(たけお)と一緒に中学生になった。
幸男は穏やかな性格で、武男は腕っぷしの強い屈強な中学生だった。
幸男の住む町は、新しい開発されたニュータウンと幸男の家族が古くから守る谷津流(やつながれ)の部落に別れていた。
しかし、中学は一つしかないので、谷津流の子どもとニュータウンの子どもが一緒になる。
ニュータウンの子どもの親はほとんどが、新しくできた工業団地で大企業で働いていた。
一方で谷津流の子どもの家はほとんどが農家だ。
ニュータウンにすむ保仁(やすひと)は、どことなく谷津流に住む子ども達を見下したような言動があり、他の子どもたちも多かれ少なかれそんな傾向は見られた。
そして、元気な武男あたりは時には小競り合いをすることもあって、学校では、それが一番の問題でもあった。
校長は2つのグループの争いを何とか収めようと、ゲームの提案をした。
同じ活動をする事で、少し歩み寄る気配を見せてお互いの家を訪ねることになる。
しかしそれがまた、谷津流とニュータウンの生活の違いを見せつけることにもなった。
そんな時、黒蛇山に新しくできたコテージに林間学校に行く計画が学校であり、子どもたちはそれに参加することになるが、、、。
◎感想
★家庭における生活様式の違いは子供の生活に大きな影響を与えるのではないだろうか。
小さな町では大きな商店や会社の経営者の家庭はどうしても目立ってしまうように思う。
けれど、そこでの暮らし、高価なもの便利な物に囲まれた生活がよくて、昔からの生活様式が価値がないとは誰も決められないのではないだろうか。
★★でも、大人の価値観は子どもたちに大きく影響を与えることは確かだ。
子どもは自分の両親を信じたいし、その価値観を絶対的なものと捉えがちではないだろうか。
その価値観を学校の場に持ち込めば、たぶん自分とは違う生活様式に違和感をもつようになるだろう。
★★★地域の学校の中では色々な家庭環境や価値観をもつ子どもがいる。その中で一緒に同じものを作り上げていく、困難な壁を乗り越えていくような経験を通して、仲間との信頼を築いていけるといいかなと思う。
そしてその違いを越えた経験が心の糧となれば、その後の新たな出会いの可能性を広げていけるかもしれない。
◎今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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