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仕事と子育てと今日から明日へつなぐ旅 読書記録 かっこうの親 もずの子ども

読書記録
かっこうの親 もずのこども


椰月美智子さん著
実業之日本社
2012年

椰月美智子(やづきみちこ)さん、初めて読む作家さんでした。
2001年に『十二歳』で講談社児童文学賞を受賞されました。

今回私は、図書館で水色の装丁と親子、家族を思わせる題名が気になり、借りてみました。

題名になっている「カッコウ」は本文中にもでてきますが、本来は自分で卵を育てず托卵(たくらん)といって他の鳥の巣に卵を産みつける習性があるようです。

さて、この物語は、、、。


◎あらすじ
主人公の統子(とうこ)は、シングルマザー。4歳の智康(ともやす)の子育てをしながら、出版社で雑誌の編集者として働いている。

時折かかってくる保育園からの、急病によるお迎えの連絡にため息をつきながら、信頼できるシッターの神田さんに託して、仕事に向かうこともたびたびあった。

統子には朝子というなんでもはっきり言い合える友だちがいた。

朝子には、智康より少しす年上の2人のやんちゃざかりの男の子と、生まれたばかりの女の子がいて、統子は智康を連れて家によく遊びに行った。



統子は智康を妊娠する時に、夫の阿川が無精子症で妊娠しにくい体質だったため、病院で精子提供を受けて人工受精、妊娠出産していた。

阿川は智康の誕生を喜んでいたが、統子との関係は微妙な歪みができ、智康がまだ幼いうちに別れることになった。

そんな1人で仕事と家事、育児に奔走する統子だが、、、。



◎気になった箇所
✳︎17ページ
一歳ニヶ月から通っていて、今は年中のもくせい組。入園して四年目だというのに、智康は統子と離れるとき、いつだって心細そうな顔をする。
 各年次、ひとクラス二十五人程度の認可保育園だけど、なによりも自宅と駅の間にあるという立地がよかった。

入園前に、いろんな保育園を見て回って、子どもに合ったところをさがす人もいるようだけれど、統子にはそんな余裕はまったくなかったし、そんなことを考えることすらしなかった。

近いところから片っ端に、申込書に記入していっただけだ。

星空保育園が、智康に合っていたかどうかなんてわからない。自分が仕事をしている間、預かってもらうのだから、こちらが選ぶなんて大層なことを言ってられない。

✳︎✳︎147ページ
(いつもお願いしてる、シッターの神田さんに)すみません、本当にすみません。

と言いながら統子は布団に入り、にわかに迷子になったような心細さと、親にみつけてもらったときのような安堵を同時に感じて無性に泣きたくなったが、泣く体力すら今はなかった。

◎感想 
✳︎わかる〜!と読んでいて思った。本当に初めての子育ては赤ちゃんのことで精一杯で保育園探し、あーそうだ、と慌てて近くの保育園を探した。

幸い社宅に住んでいて、保育園に子どもを預けている人がいたから、様子をきいてみたり。


でも、職場復帰するには、保育園に入れなくてはと思い、近いところに決まった時はホッと胸をなでおろした。

本当に育児は体力勝負なので、通勤時間は短い程よく食住接近、保育園も近いに越したことはなかった。

✳︎✳︎
子育て中に自分が病気になるのが一番辛い。目を離せない子どもを抱えて1人で家事をこなさなくてはいけないのに、身体が頭が思うように動かないと、イライラしたり、なんで私1人が、と切なくなる。

だから私は家事や仕事が山積みでも、一旦は子どもと一緒に寝て自分も身体を休めて、深夜に家事や仕事をしていたことも多い。

でもこの本の統子のように徹夜で仕事を上げないといけない人もいる。そしてそれが続くと体力は落ちていき、ちょっとした風邪もこじらせてしまうこともあるだろう。

そんな時、助けてくれる誰かが来てくれたら、本当に涙が出るほど嬉しいだろう。


誰を頼ることができるのは、一つの力だと思う。自分の中に人への信頼や安心感を内包しているのだろうか。

いや、私はあまりに切迫しすぎると、人を頼る余裕もなくなる。

その切迫した感情が何かの拍子で子どもに対して向かってしまうことは、想像に難くない。

✳︎✳︎✳︎
この本のもう一つのテーマ、精子提供を受けて妊娠出産した子どもの子育ては、特別なものなのか。

私はどんな状況で生まれてきたにせよ、今ここで一緒に暮らし、ご飯を食べ、お風呂に入って、眠っている、暮らしの中の関わりそのものが、家族の営みだろうと思う。

でも、ある日突然、我が子の出自に疑問を持ってしまったら、やはりその気持ちは止められないかもしれない。

また子どもが知りたいといったら、
子どものアイデンティティの確立のため「出自を知る権利」を守らなくてはいけないらしい。


いつかは本人に話さなくてはいけない時がくるのか、または、、、。

本のページを閉じても当分答えは見つかりそうにない。

しかし後半の展開のせいか読後は爽やかだった。

そしてこの作家さん椰月美智子さんは私の故郷の近くに在住だった。

出身も同じなら、年は違うけど、もしかして高校の同窓生とかかも、、、。

また作品を読んでみたいです。サイン会とかあったら行こうかな。

◎今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました😊

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