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時代を越えて気づかされるものは、、。読書記録 うめ婆行状記

読書記録
うめ婆行状記  
宇江佐真理 先生 
朝日新聞出版
2016年 



宇江佐真理さん、時代物をあまり読んでいない私にとって、読んでみたいでも何だか難しいそうな、、、。

でも、実際読んでみたら、会話文多めでテンポのいい展開が心地よく、、。


◎あらすじ
時は江戸、中期。

うめは、50代。結婚して6年後の初産だったとはいえ、ニ男ニ女を産み、それぞれひとり立ちさせ、町の奉行所に同心として勤めていた夫の三太夫を亡くしたばかり。



うめの息子の雄之助も奉行所勤めで、嫁のゆめ、雪乃というかわいい孫もいる。

しかし、うめは女三界に家なしではないが、自分の居場所を求めて、実家の商家伏見屋の近くに1人住まいを始める。

うめの弟、市助の嫁のつねがうめの引越し先探しなど、身の回りのことを気にかけてくれた。

引越してみれば、隣りには、実家の店の出入り業者だった徳三がいて、妻のおつたとともに庭の草取りを手伝ってくれたり、梅をもいてつけたり、

1人で気ままに暮らしたいと、思って始めた一人暮らしだったが、、、。



◎気になった箇所
✴︎192ページ
うめが嫁いだ後に輿入れした光江は、翌年に男子を出産していた。それも光江がうめをなじる恰好の理由だった。子を産めない嫁は実家に帰したほうがいいと、光江は両親に度々言っていたらしい。霜降家
(うめの婚家)の両親も、半ばその気になっていた様子もあった。

 だが、三太夫は断固として、その通りにしなかった。三太夫の祖母の宇乃が、子ができなければ、養子を迎えたらいいと言ってくれたせいもあったが。

「人は結局、誰かのお陰で今があるんだよ。でも、うちの人は内心で辛かっただろうね」

うめはしみじみとした口調でつづけた。



◎感想
✴︎江戸時代の女の仕事は子を産み育て、両親を労り、夫を支え、家を守って行くこと。でもそれだけで終わっていいのだろうか、経済的に許されるならば自分の好きなように生きてみたい、という思いはとてもよくわかる。

でも、好きなように生きるって、引越しも手伝ってもらわないと1人ではできないだろし、今なら業者を頼めばできるだろうけど。

見まわしてみると、周りの人に助けられたり、教えてもらったり、そんなことも結構あると、気付かされる。

✴︎✴︎
そして、婚家から子を産めないのなら、離縁をとすんでのところで、食い止めてくれたのは年長の祖母のことばであり、口数は少なかったけど、うめへの思いは熱かった亡き夫の存在だろう。

現在進行形の時は、思いを封印してとにかく前に進むしかないけど、ふと何年、何十年経ってから振り返ってみると、自分を支えてくれていた人の存在に気づくことがある。


そんな人の存在に気づいた時、こころの底で感謝の手を合わせる。そしてできるものなら、自分も誰かの支えになることができるようなりたいと、思う。






人の生き様は時代を超えて通ずることが、たくさんあるのかもしれない。それをきづかせてくれる、作家さん達の力はやはり素晴らしい。


◎最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊

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