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咀嚼音とエンターキー

マックに行くと咀嚼音が気になる。でも自分のエンターキーもうるさいかも。深淵を除くとき深淵ものぞいている。きをつけなきゃ。

マクドナルドが残念なのは、咀嚼音が聞こえる点だ。つまり「クチャラー」がいる。

粘り気のある音がする方向を見ると、たいていハンバーガーやポテトを食べている男性客がいる。試しにキッとにらんでみるけど、相手は食べるのに夢中で気づかない。チキンなわたしが直接注意できるわけもなく、イライラしながらコーヒーをすすっていた。

クチャラーが誕生する原因は「生活習慣」が多い。姿勢が悪いや口呼吸をしているなど、本人にとっては当たり前の習慣から咀嚼音が発生してしまっている。大人になってから注意してくれる優しき勇者はそういない。そのため本人は気付かぬ間に咀嚼音をあたりに響かせてしまう。自覚がない迷惑行為が何より恐ろしい。

近くにいるクチャラーの音にイラついて、咀嚼音をかき消すようにキーボードをたたいた。パチパチパチ、ターン!エンターキーを強めにおしたとき、ハッと気づいた。

あれ、このエンターキーをたたく音は咀嚼音と同じくらい迷惑なんじゃないか?

わたしにとってコンセントやWi-Fiがあるマクドナルドで文章をうつのは当たり前で、キーボードをたたく音は全く耳に入っていない。でもマックで休憩する人、静かに食事をしたい人、読書をする人にとっては騒音かもしれない。わたしが咀嚼音を不快だと思ったように、誰かもわたしのキーボードの音を不快だと感じていたかもしれない。そうだとしたら、全く人の非難など出来る立場ではない。

「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている」この言葉を思い出した。自分は周りを見る立場として、クチャラーは不快だと思っていた。でも実際は私も周りから見られる立場で、深いと思われる可能性もある。当たり前すぎるけど、文章を書いていると無意識に周りと自分が違う気がしてしまう。ちょっとおごっていたのかもしれない。

今度マックに行って周りの言動にイライラしたときは、自分の行動が誰かを不快にさせていないか?と振り返るようにしたい。

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