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扇風機 #シンカの学校 ラジオ投稿ネタ
海のように広がる青空。
日照りで揺らぐアスファルト。
私は、空調の効いた車の中で、ハンドルを握りながら信号待ちをしていた。
チラッと横目で、助手席に座る娘の『ゆず』の様子を伺う。
ゆずは、じーっと窓の外を眺めている。
なんとなく、ゆずの視線の先を追ってみると、そこには信号待ちをしている学生さんがいた。
「ねぇ?かーちゃん?あのおねーちゃんが持っている白いのはなに?」
ゆずの声に反応して、
傘 #シンカの学校 ラジオ投稿ネタ
一面灰色の空。
蒸し蒸しと身体にまとわりつく熱気。
そんな中、私は娘の『ゆず』と二人、保育園からの家路を歩いていた。
「今日はねー?踊りの練習したんだぁー」
そういうと、ゆずは繋いでいない方の手をヒラヒラとさせた。
「そうなんだねー。上手だねー」
イソギンチャクのように舞うゆず。
それを見た私は、素直な感想を述べた。
ービュウッー
異様に冷たい風が、私達の間を吹き抜けた。
あたりから
遠足 #シンカの学校 ラジオ投稿ネタ
良く晴れた青空。
僕らは、先頭を歩く先生の後を一生懸命に追っていた。
ふと横を見ると、広大な原っぱの滑り台が広がっていて、その奥には、ところどころに白波が立っている真っ青な海が広がっている。
「お腹すいたねぇー」
隣を歩いているサクラちゃんから、誰に話しかけるでもない言葉が漏れた。
「だからよー。お腹空いたー」
その声に反応するように、僕の後ろを歩いているサトシくんが反応する。
「もう
食堂 #シンカの学校 ラジオ投稿ネタ
「大っ嫌い!!…かーちゃんも!このお店も!!」
閉店後の薄暗い店内に、我が娘の悲痛な叫びが響き渡る。
娘は瞳一杯に涙を浮かべ、二階の居住スペースへ駆け上っていった。
ガンガンと痛む頭。
痛む頭の中で無理やり反芻させられる、娘からの「大っ嫌い!」。
遠退いていく娘の足音とともに、私の視界も徐々にブラックアウトしていった。
翌日。
気付けば私は、食堂の開店準備をしていた。
午前中の記憶は全く
雪 ラジオ投稿ネタ #シンカの学校
身体の芯に寒さが染み入る夜。
私は寒さから逃れるため、布団を肩まで被り、隣りにいる娘のゆずに、絵本の読み聞かせをしていた。
「そらをみあげると、『ゆき』がふってきました」
絵本の一文を読み上げたとき、ゆずは不思議そうな顔をして、私の顔を見てこう言った。
「ねぇ?かーちゃん?『ゆき』ってなぁに?」
あ…、そうか。
冬で寒いとはいえ、この土地では、1年を通して『雪』が降らない。
「『雪』って
年越し ラジオ投稿ネタ #シンカの学校
窓からの冷気が身体に染みる夜。
俺は、デスクライトの明かりを灯しながら、勉強机に向かっていた。
コンコン!ガチャ!
ノックに対しての返事を待たずに、部屋の扉が開く。
「あんた。今日と明日ぐらいは、勉強お休みしてもいいんじゃない?」
かーちゃんだった。
「いや…。不安だから…」
俺は、問題集から顔を上げずに答えた。
「…そう?…あとで、年越しそば持ってくるね」
少し淋しげな声と共に、