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詩情

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詩情を感じて書いたもの。
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#短歌

枕抱き眠るあなたを愛おしみ枕と場所を代わってもらう

落月

傾いて落ちそうな月を幾重もの黒い雲が受け止める夜

首すじをちいさな風があたためる ここにも夏がしのびこんでる

しるし

歌集よみお気に入りの詩鉛筆でしるし
ー、つけずに2回唱える

笹井宏之さんの歌集を買いました。
爽やかで夏にぴったりだと思いました。

記憶の墓場

思い出になった栞を宝箱に詰めて蓋した 手紙とともに

短歌『桜』

桜より寿命の長い恋だったと思えばまた生きてゆけると

夢に見た恋人と出会えた話

夢よりぞ見初めし人は彼ならむ
あはする人もなけれどあへり

この短歌は下記の詩を踏まえています。

「夢合わせ」というものがありました。
夢合わせとは夢の吉凶を占うことで、これがうまくいけばその夢が実現する、と信じられていたようです。(この辺のことはよく知りませんので間違っているかもしれません)

引用した古歌は「あはする人」に掛詞が用いられており、「夢で見た恋しい人に会わせる人がいてほしい」とい

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思ひ出は枯れてしまつたあぢさいの淡く残れる萼の色なり

【短歌】まだ青き空を西陽が桃色に染むるがごとき恋してみたし

先に投稿した一行詩を短歌にしてみました。「やはらかに積れる雪に熱てる頬を埋むるごとき恋してみたし」(石川啄木)オマージュです。

あの人とあなたとあなたとあの人ともひとりあなたと結婚したい

部屋の隅眠らせていたあなたの絵仕上げて渡す もうお別れね

世界中ありとあらゆる時刻むもの皆壊し猫になりたし

天井の隅うす暗き三角に親しみ覚ゆ秋曇りの昼

月の裏側

月の裏側に冷たい刃物あてがわれるたびぞくり、ぞくりと