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そうだ、名前を変えてみようと、ある朝おもった

今日から「さとうあかつき」と名乗ることにしました。
以後よろしくお願いします。


*     *     *


知らない人と出会うために新しい名前を名乗ることに抵抗はなかったし、ずっとそんなふうにしてきたように思う。

けれど、なんとなく「替えてみたいなあ」とうっすら思っていて。それで「そうだ!変えてみよう」とこのタイミングで決めた。

名前は「さとうあかつき」。

漢字がいいか、平仮名がいいか迷ったけれど、平仮名にしました。飽きたらまた変えるかもしれません。

それではここで「名前の由来」について少々お話しさせてください。


*     *     *


わたしには「推し」の作家がいる。

どれくらい「推し」かというと、新刊が出ると、作家の地元に出向き、なじみのバーに友人と集まり、そしてサイン会が開催されれば2日とも参加するくらいの推しである。ちなみに、同程度の「推し」が全国に5〜6名はいるので、同じホテルを各自予約して、夜遅くまで遊び歩く。
さながら「大人の修学旅行」だ。

おかげさまで、その町の地元の友達も増えた。
かの地に「めったに行かない、いきつけのバー」があり、そこに行くと、数年ぶりなのにまるで常連のようにふるまえることも愉しみのひとつだ。

その「バー」ではこれまでもいろんな奇跡が起こった。

わたしが地元の友達と話していると、となりの席でカクテルを飲んでいた男性がふっと新刊の本を広げたことがあった。
「あ、あ、あ〜〜〜〜〜! ファンでいらっしゃるんですか?」
「はい」
男性が自己紹介を始める。まあまあ遠い大都市から、サイン会のためにやってきたそうだ。
全国にいる知らないファンが、この町のバーのカウンター席で隣にいる。
そんな奇跡に感謝した。
そうして10年来の友人のように、あれこれ根掘り葉掘りと人生の来し方を尋ね、明日会場で会おうと固く約束をした。

地元の年配のグループに声をかけられることもあった。
「シネマクラブ」のみなさんだ。
このバーでは「シネマクラブ」の定例会が開かれており、タイミングよく何度かご一緒できた。
「みなさんはどういう方ですか?」からお互いの立ち位置を確認する。
地元ならではの情報が少しだけ入る。お酒も入っているので、ふざけた冗談も出てくる。
「おれだって、佐藤ゆうがたと名乗ってサイン会にも出ようかな?」
「いいですね!それだったら、わたし、今日から佐藤あかつきです!」
そんな酒席の冗談から決まった、わたしの名前が「さとうあかつき」。
何年も前に仲間うちでふざけて使ったこの名前を、自分の名前にしようと思ったのは、今のタイミングだからかもしれない。

12月には映画化された作品が公開される。
それと前後して、きっと新刊も発売される時期ではないかと思っている。
前作から5年。遅筆の作家の小説の発売は、人生の一大イベントだ。

今年から来年にかけては、おそらくそういう年。

名前を変えて、折り目を正して、病気をしないようにして。
コロナだからサイン会がなくても仕方ないけれど、それでもあの町のバーまで行って祝杯をあげよう。
きっと同じ気持ちの友人がいるはずだ。
何人もの友人と祝杯をあげよう。

こつこつとためた人生のwaonポイント(マイナポイントを含む)を使いきる日が、もうすぐやってくる(かもしれない)。

それまでは、くさらず淡々と仕事をしよう。
本当に、病気にならないように気をつけよう。

そうして改めて。名前を変えて、その日に備えよう。

そう思った、今朝の決意。

       さとう あかつき


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