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高等学校等における日本語指導の制度化は整備されているか? 少子化の中、需要が増す日本語教育



増加する外国人材、教員不足に

日本語指導が必要な児童生徒の現状と課題

近年、日本に在留する外国人の数は増加しており、
これに伴い、公立学校に在籍する日本語指導が
必要な外国籍児童生徒も増加しています。

少子化とは真逆の状況であり、
早急に改善させる取り組みは必要でしょう。

ただなかなか目に届かないものとも理解しています。

文科省の調査によると、こうした児童生徒の数は5万人を超えています。

外国籍の児童生徒については、国際人権規約や児童の権利に関する条約に基づき、公立義務教育諸学校への無償就学が保障されています。

このため、公立学校では、在籍学級以外の場所で
日本語指導を行う取り組みが行われています。

平成26年には、日本語指導が必要な児童生徒に対する教育を充実させるため、
学校教育法施行規則が改正され、
日本語の個別指導を実施する制度が導入されました。

2020年の日経の記事を一部ご紹介させていただきます。

文科省は高校でも「特別の教育課程」を導入できるよう、指導する教員や授業のコマ数、指導の方法などの要件を21年度中に検討する。学校教育法施行規則を改正した上で23年度にも単位として認められるようにする。

言語の壁で進学を諦める高校生や保護者は少なくない。17年度に公立高校などに在籍した日本語指導の必要な生徒3933人のうち、9.6%に当たる378人が中退した。高校生全体の中退率1.3%に比べると7倍になる。高校を卒業できても大学や専門学校に進めた生徒は4割にとどまっている。

出典;日本経済新聞 2020年11月25日 外国人生徒に日本語指導、高校で正式単位に 文科省

しかし、調査によれば、2割の児童生徒は特別な指導を受けられていない
状況にあり、さらなる指導の充実が求められています。

高等学校における日本語指導の必要性

高等学校は、社会で生きていくために必要な力を身につける教育機関であり、日本語指導が必要な生徒の数も増加しています。

平成30年度の調査では、日本語指導が必要な高等学校生徒の数は4千人を超え、10年前の2.7倍に増加しています。

外国籍の生徒の高等学校への進学については、
適切な受験機会の提供や条件整備が進められていますが、
日本語指導が必要な生徒の中途退学率の高さ
大学進学率の低さなどの課題が明らかとなっています。

なお韓国でも韓国人と韓国に住む外国人の大学進学率の違いは
倍近い差があり、この課題はなかなか解消できないものでしょう。

しかし優秀な教師や教育システムを整えれば、
母語話者と同等の学力のレベルまで
向上させることもできるとも信じています。

高等学校等における日本語指導の制度化

高等学校における「特別の教育課程」を編成し、日本語指導を実施する制度化が必要です。

この制度により、生徒の日本語能力や個別の状況に応じた
きめ細かな指導が可能となります。

入学からみんな同じスタートラインにはおりません。

スタートラインをそれぞれ別個の状態に合わせ、
カスタマイズするといった配慮が必要でしょう。

【例えば以下のような形です】
・日本語と英語の両方での授業
・小論文よりも単語を重視
・オンライン授業の推進

特別の教育課程の導入により、
中途退学の防止や卒業後の進路選択の充実が期待されます。

また、日本語指導が必要な生徒がグローバルな視点を持ち、
社会で活躍する人材として育成されることも期待されます。

具体的な対策

現場での試行錯誤と工夫

現場では、試行錯誤しながら日本語指導を進めています。

例えば、定時制高校では日本語を授業として設け、
生徒のレベルに応じたクラスを設けるなど、
集中的な日本語指導を行っています。

また、タブレット端末を活用し、
漢字の読み上げや翻訳ツールを使用することで、
生徒がより理解しやすい環境を整えています。

こうした工夫により、外国ルーツ生徒の中退者ゼロを実現し、
進学率も大幅に向上しています。

一方で定時制や通信制は整備されても、
一般の通学制での対応も考えていくべきでしょう。

それは学生にとっても勉学以外での選択肢の幅も広がりますし、
何よりも選択できる学校が増えることは、
生徒本人にとっても喜ばしいでしょう。

ただもしこの制度を全体的に整えるならば、
教員の採用システム自体も
一部(日本語と英語対応可能か?)の改良が必要のため、
人材不足にも陥る可能性もあると考えています。

今後の日本

外国ルーツの子どもたちが増え続ける中、
現場の工夫に頼らず、国などが率先して日本語指導の体制を充実させることが
求められています。

全員がルーツに関わらず、日本に来られた以上、
ふさわしいスタートの教育を受けさせ、
世界で飛躍する人材に整える必要があります。

特に、高等学校等においては、人生を輝かせる3年間です。

義務教育ではないため、自由に選び学べる3年間の時間において、
何が必要か?それぞれ考えるべきでしょう。

そして生徒一人一人の日本語能力や背景に応じたきめ細かな指導が必要です。

多文化共生の視点を持ち、
将来のキャリアや生活に夢や希望を持てるような教育が重要です。

ここは国民全体に普及させるべきでしょう。


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