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日銀はいつ金利上げるの? 容易ではない理由と見通しは?


日銀はいつ金利上げるの?

今日、我が国の株式市場の動きが
注目されています。

円高の進行と株価の大幅下落が見られる中、
日銀が利上げを検討しているという
ニュースが市場に波紋を広げています。

25日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=152円台後半まで上昇し、約2カ月半ぶりの高値を更新。日本銀行が来週の金融政策決定会合で追加利上げを議論するとの報道や自民党の茂木敏充幹事長の発言を受けて警戒感が高まっている。世界的な株安を背景に低金利の円を売って高金利通貨を買うキャリー取引の巻き戻しが加速している。

出典:ブルームバーグ 2024年7月25日 円が1ドル=152円台と約2カ月半ぶり高値、日銀警戒やリスク回避

なお幹事長は以下のような発言をされました。


「日本経済の再生によってまずは強い日本を作る。それによって強くて安定した円を作っていくということが必要だ」

インターネット番組における茂木敏充幹事長(自民)の発言

まず我が国はロシアウクライナの侵略以降、
日本を除く世界各国では政策金利を
引き上げていました。

そして日本は利上げができないため、
世界との金利差が広がり異次元の通貨安に
なりました。

【日本と欧米の違い】
欧米:政策金利の引き上げ
日本:金融緩和の継続

欧米:ハイスピードのインフレと通貨高
日本:ハイスピードの通貨安と緩やかなインフレ

株価は上がっていますが、
しかし通貨の価値は1ドル110円が
理想なのに対し、
先日は160円台を突破しました。

・日米の金利差が浮き彫りに
・防衛装備品の購入額も負担増に

これは異次元の通貨安です。
次元の異なる通貨安といえ、
海外旅行にも行きにくい時代となりました。

以下にその詳細をお伝えします。

始まる金利の引き上げ

円高が進む中での株価の急落

東京株式市場では、取引開始直後から
ほぼ全面安の状態が続いています。

 25日の東京株式市場で日経平均株価(225種)が急落した。一時、前日終値比1100円超下落し、約1か月ぶりに3万8000円を割り込んだ。米株安と、急激な円高が株価を押し下げている。午前の終値は989円66銭安の3万8165円19銭だった。

出典:読売新聞オンライン 2024/07/25 日経平均、一時1100円超下落…1か月ぶりに3万8000円割り込む

日経平均株価は、本日一時1100円を超えて値下がりし、
午前の終値は24日に比べて989円66銭安い
3万8165円19銭となりました。

これは日本の政治家やアメリカの大統領候補の発言を
受けてのものでしょう。

アメリカのトランプ前大統領は、23日、SNS上に「ドルが円に対しておよそ34年ぶりの高値をつけた。これはアメリカにとって大惨事だ」と投稿しました。
またドル高について、「愚かな人々にとっては聞こえがいいが、アメリカ国内の製造業はドル高によって競争できなくなっており、ビジネスの多くを失ったり、外国に工場を建設したりすることになるだろう」という考えを示したうえで、バイデン大統領は円安ドル高を放置していると批判しました。

出典:NHK 2024年4月24日 トランプ前大統領 “円安ドル高は大惨事 国内の製造業 打撃”

1ドル160円台からの脱却を意味する
円高進行も市場に影響を与えています。

25日の円相場は1ドル=152円台と
2カ月半ぶりの円高ドル安水準となりました。

急速な円安を防ぎ、円高になったことは個人的には
嬉しいですが、輸出企業の売り上げにも影響が
出ていることも注視しなければなりません。

また円安自体の恩恵を受けるためには
輸出自体の促進を当たり前にし、
中小企業や個人事業主の支援も欠かせないでしょう。

ジェトロ等のサポートの拡充に期待いたします。

このような状況を受けて、
日銀が来週の金融政策決定会合で利上げに
踏み切る可能性が意識され、円買いが加速
しています。

国債買い入れ減額へ

日銀の利上げと国債買い入れ減額

今月末に開催される日銀の金融政策決定会合では、
国債買い入れの減額方針が議論される見込みです。

なお前回の国債買い入れの減額方針の効果は
こちらとなります。

 日銀は13~14日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和の一環で行っている国債買い入れ額を減額することを決定した。

 国債の最大の買い手である日銀が購入額を減額すれば国債価格は下落、長期金利は上昇しやすくなる。米国との金利差がわずかに縮まり、円安に一定の歯止めがかかる可能性があるとみられたが、会合直後の円相場は円安に振れた。政策金利(無担保コール翌日物)は0~0.1%で維持した。

出典:読売新聞オンライン 2024年6月14日 日銀、国債買い入れ減額を決定 円安の歯止めとなるのか?思惑は?【解説】

日銀内では、国債買い入れを月額3兆円程度まで
減額する案が支持されています

減額の計画期間は2026年3月末までなど、
2年未満とする可能性もあります。

ただ投資家の反応はどうなるか?そこは
分かりません。

利上げ出来ないと捉えられたら、
さらに通貨安が進みますし、
利上げしたとしてもなお、
この円安と私たちの消費にどの程度影響があるか?
注視しなければなりません。

追加利上げについては、
その必要性でおおむね一致していますが、
消費動向を慎重に確認すべきとの意見もあり、
時期の判断には慎重
です。

据置派の意見

以下、ブルームバーグでのブラックロックの
インタビューです。


 このため「日本の金融環境は引き続きアコモデーティブ(緩和的)な状況が続く」と地口氏。実質金利のマイナスという企業経営にとって良好な環境は株式市場にもプラスに働き、東証株価指数(TOPIX)は年内にも最高値を再び更新するだろうとブルームバーグとのインタビューで述べた。

  円安是正のために利上げを求める声が政府関係者から上がる中、今月末の日銀の決定会合は消費の弱さで追加利上げの判断が複雑化する状況だ。ただ、日銀は国債買い入れ減額を巡り債券市場参加者会合を開いており、買い入れ減額に関するアクションを取る可能性はあると同氏はみる

出典:ブルームバーグ 2024年7月25日 ブラックロック、日銀は当面金利を据え置くと予想-日本株の追い風に

世界最大の資産運用会社であるブラックロックは、
日本銀行が現在の政策金利を据え置くと予想しています。

物価指標に着目すると、政府が電気・ガス料金を
補助している中での利上げは困難とし、
政策運営には12月発表の
CPIを確認する必要がある
と指摘しています。

円安是正のための利上げを求める声が上がる中、
日銀は国債買い入れ減額に関するアクションを
取る可能性があると見られています。

引き上げ側の意見

河野太郎デジタル相の意見

河野太郎デジタル相は、ブルームバーグニュースにて
円の価値を高めるために
政策金利の引き上げを求めています。

ここは先ほどの茂木幹事長と同様に
引き上げ側の発言です。


河野太郎デジタル相は、円の価値を高め、エネルギーや食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めた。

出典:ブルームバーグ 2024年7月17日 日銀は円安是正のため利上げを-河野デジタル相単独インタビュー

円安が国内物価に与える影響を強調し、
円の価値を戻す必要がある
と述べました。

河野氏は円安による輸出の増加は限られているとし、
為替の問題が日本にとって大きな課題であると指摘しています。

9月の自民党総裁選で出馬するか否か注目されている
河野氏の発言が、果たして日銀に現れるか否かも注目です。

私の意見

個人的な意見としてですが、
私は今、植田総裁が利上げするかどうかは
正直申し上げればアナリストではないため、
確実なことは言えません。

ですが年内で最低1度は利上げし、
今は賃金が上がっていること(実質賃金は下がっている)
ですから、利上げの選択肢を取るとも思えます。

植田総裁自体の行動は分かりませんが、
しかし前任の黒田前総裁がややハト派であり、
植田総裁が中道、そして副総裁が
ハト派の内田氏であることから、
緩やかな引き締めを行なっていくでしょう。

つまり実はハト派であることは
変わらないんです。

急速ではなく、どちらかと言えば
今の国内経済に合わせた相当分の利上げ
が答えかなと思えます。

なお日経平均は過去最高値を更新し、
そこを冷やさずに分配できるかが
国民の望みではないでしょうか?


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