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竿灯まつりのトラウマ

先月の大雨の被害で開催が危ぶまれた秋田県を代表する竿灯まつり。
復興途中で祭りの余裕がないという人もいるだろう。

賛否両論あれど、五穀豊穣、長寿、健康などを願うお祭りはやれるならやるべきだし、提灯がゆれる美しい景観にしばしの癒しをもらえるだろうし、観光関連に従事する人にとっては稼ぎ時だから中止となると痛手。

ということを考えると、開催できるのであれば開催してほしいと思っていた。

竿灯の提灯に癒しと書いたが、こと自分に関しては癒しというより恐怖で今でもテレビで見るたび身震いする。

時はさかのぼること小学校1年生時代。
当時は埼玉に住んでいたため、お母さんの実家帰省時にちょうど竿灯まつりがあるということで、竿灯には興味はないが屋台のかき氷や綿あめ欲しさにでかけた。

おじいちゃんがよく見える最前列をキープしてくれたおかげで弟と二人、体育座りをして目の前を通過する提灯を眺めていた。
手のひらにのせて大きな竿灯のバランスをとるのが基本だが、熟練者になると腰においたり、おでこにおいたりとまさに妙技。

口をぽっかりあけてみていると、突然、おおおお~と群衆のうなり声とともに竿灯がぐわんぐわんとゆれて、なんと自分の方向に倒れてきた。

竿灯の屋台骨となっている固い竹が頭を直撃し、すぐさま激痛。
は!かわいい弟はどうした?と痛いな~と思いながら、隣をみると、きょとんとした顔でこちらをみている。
やつは運よく、提灯と提灯の間にうまく体がとおり無傷。

そんなことを気づきもしないお母さんは、弟を抱き上げ

「まあくん、痛かったでしょ。泣かないでえらいね」

いやいや、直撃したのは姉のわたしだす。とうるうるした目で訴えかけるも、気づかない母。

いくら顔立ちがかわいく、お母さんのおっぱいも吐き出さず、夜鳴きもせずよく眠る息子とすべて正反対で育てにくかった娘とはいえ、ひどい(←いつも文句垂れられるから根に持っている)

痛みよりもなんだか哀しみがこみあげて、涙がぽろり。そんなおちびの涙に気づいた隣のおばちゃんが

「おじょうちゃん、頭にあたったのに泣かないでえらいなと思っていたけど、やっぱり痛かったんでしょ。大丈夫?」

と声かけてくれてようやっと気づいた母親。

「頭にあたっちゃったの?まあくんをじっと見つめて手を握ってるもんだから、まあくんがあたったのかと勘違いしちゃったわ。あら、おでこが赤いわね」

今更遅い。とにらみつける。

竿灯まつりの話になるたびにお母さんに竿灯トラウマエピソードを話すのだが、全く覚えてないという。恐るべし息子ラブな母。ちなみにあんなにかわいがっていた息子は結婚し、かわいい嫁ができたとたん、母親は無調の長物。悲しい現実である。

それはもう時効として、それにしても提灯に火がともされているのに倒れたときに燃えなかったのはなぜだ?と急に気になってグーグル先生に聞いてみる。

提灯の底には空気の通りをよくする隙間があり、提灯が大きく揺れると、この隙間から風が入ることでろうそくの火が消えるため、燃え移ることがないのです。

秋田竿灯まつり


先人の知恵というのは永遠に語り継がれ活かされるものなのである。

ということで、安心してください。提灯が倒れても火事にはなりません。ただ痛いだけ。

竿灯まつりに参加される皆様、秋田で楽しい思い出作りを!


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