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十六夜の雷鳴と八岐大蛇

東京、赤坂にある日枝神社では毎年、中秋の名月に雅楽が開催される。行ってみたいなと思いつつ、なかなか行く機会がなかった。

今回はタイミングよく東京出張と重なり中秋の名月イベントに行こうかと考えた矢先、出雲と関係が深~い方から、十六夜の月の宴「石見の夜神楽」なるものに誘われた。

お誘いは何かの縁だから基本断らない。神楽は見たことも知識もないが、そんなものは気にせず、まずは見てみよう!の気持ちが大事。

演目は八岐大蛇(ヤマタノオロチ)。聞いたことあるぞ。対峙するのは嵐の神・スサノオ。知ってるぞ!知ってるぞ!

超簡単にあらすじを書くと、恐ろしい大蛇から村娘を救い、大蛇のしっぽから三種の神器のひとつ草薙の剣がでてくる・・・といういたってシンプルなもの。内容はシンプルだが、パンフの写真の衣装をみると豪華絢爛。八岐大蛇にいたっては全長約17mというんだからこの狭い舞台でどう動くのか?気になること満載で、これはもう見に行かねばと気持ちがはやる。

月を見ながらみる神楽とはどんなにか神秘的だろうと心躍らせていたのだが、本日、なんだか怪しい雲行き。日枝神社に行く道すがらで大粒の雨が降ってきた。月は雲が暮れするし、舞台はどうなることやらといそいそと受付へ。

「雨のために神殿内での開催になります。また会場が狭くなるため、少し窮屈になります。ご了承ください」

丁寧な受付の応対に、ご了承くださいました。とニコニコと中へ。入った瞬間、逆に感謝を申し上げねばと思った。神殿内がすこぶる美しい。特に天井画の花や小鳥たちの華やかさといったら。さらに、狭くなったために舞台がかなり近い。見やすいではないか!

そして、神秘的なピアノの音と美輪明宏ばりの独特の声音のナレーションで神々がおわす世界へといざなう。

そして嵐の神・スサノオが現れた瞬間、ゴロゴロゴロ〜ドッカーン!雷鳴が響いた。本物か演出かわからないほどの見事な調和ぶり。まさに嵐の神、降臨!といった演出、いや雰囲気を作り出してくれた。

月夜は見られなかったが、昨今頻発する雷鳴とのコラボは令和版の神楽を見たようだった。まさに神に奉納するため奏される歌舞。八岐大蛇の17mもの巨体を縦横無尽、いや、伸ばしたり、巻いたり、巻き付いたりする、めくるめく舞をもう一度みたい。すっかり神楽の虜になったのであった。

やはりお誘いは新たなる扉をあけてくれるから断るべきではないのだ。これからもどしどしお誘いにのっていこう!

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