走ることについて考える3

そうやって、本を読むことによって僕は少しずつ知識を吸収していった。自分でその日何をするのか、その目的は何なのかを考え行動に移した。

大げさに言えば、僕はその時、初めて自分の足で歩いているような気がした。

考えてみればこれまでの自分には受験であれ部活であれ、誰かしらが用意してくれた道があり、決められたノルマがあった。自分でその道を決めることはある種の責任も伴う。大失敗するかもしれないし、迷子になるかもしれない。

実際、僕は多くの怪我をしたし選手としても大した選手にはなれなかった。もし僕に適切なコーチがいたらきっと、僕はより選手としていい記録は残せていたと思う(それでも高が知れていたとは思うが)。

でも、僕は走ることを通して記録には表れないもっと大事なものを学んだんだと思う。大仰に言えば、人生を自分で生きるということ。

そのころからもう十数年が経ったが、僕は今でも走り始めたことを人生最大の良い決断だったと思っている。

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