キャリアの振り返りをしてみて

思い付きで書き始めたら、どんどん思い出してきて、相当な長文になってしまった。

自分自身なぜ今のタイミングで、こうした過去の振り返りをしたくなったかといえば、やはり今の環境に慣れ親しんで、少し緊張感がなくなってきたことがあるだろうと思う。

総合商社の場合、一度正社員になってしまえば、基本的にクビになることはない。降格されるケースがないとは言わないが、ほとんどない。一定のシニア層は、日本水準で言えば、誰もがうらやむ報酬を手にすることになる。パフォーマンスも影響するが、土俵が高いのだ。

客観的に見て特権的な恩恵を受けていると思う。

また、業務面においても、当初、英語での実務経験がない僕はキャッチアップが必須であった。できる限り、毎日英語に時間を当て、オンラインの英会話レッスンは毎日のように受けた。

運がよかったのは、英語でガッツリと実務的に発生するようになったのは、2年目後半になってからだ。1年半はある種の猶予期間があったわけである。
周囲から英語の問題点を指摘されることは相当に恐ろしいことであったが、多くの業務が日本語環境でできたことから、コンサルタント時代の生産性を発揮すれば、周囲から十分な信頼と評価を勝ち得るのは苦労しなかった。

2年目に入り、マイノリティ投資先の企業との共同投資の案件があり、ここでプロマネを担うことになった。パートナーがインド人であり、はっきりと物申すタイプで、我々のファンクションや存在意義を常に批判的に見る人たちだった。案件自体の構造的に難しさもあり、通常の投資案件でみられる友好さもなく、最初に経験する案件としては難易度はものすごく高かったと感じる。そんな中で、デューデリを進めることになり、英語環境でいろいろとアドバイザーやパートナーと対話する必要性が発生した。

この時が、実質的に初めて英語環境で、自分が責任ある立場で、前面に立った経験であったと思う。周囲はみな一回りぐらい上の方々で僕よりはるかに経験豊富であるが、海外店のメンバーばかりであり、構造的に投資責任を負う本店メンバーの僕がプロマネ実務をこなすことになったわけだ。正直、自己評価としては、高い点数は上げられないが、恐る恐るこなした英語でのインタビューや、プレゼンテーションは、事前準備の甲斐もあり、想像以上に、違和感なく受け入れられた。大事なのはコンテンツであるとその時も改めて感じた。

「英語に関しては全く心配していない」とシニアな方に言われたときは、かなり安堵したことを覚えている。とはいえ、リスニングで僕がいかに理解できてないか、聞けていないかは、周囲も見えていないところで、僕自身は反省するべき点が多かった。が、リスニングが弱く、スピーキングも事前準備したようなことしか話せなくとも、一定程度、通じたことは、かなり自信になった。いま再び海外企業向けの投資案件でプロマネをしているが、当時よりははるかに自信を持っている。

当時は自社内の海外店メンバーと英語で話すだけでも億劫だったのだ。それぐらい自信がなかった。今は全くそんなことはなくなった。海外のアドバイザー等と英語で話すならば、特に事前準備せずともこなせている場面が多い。もちろん初対面での投資候補先との面談等は緊張感がある。

総合商社の入社当初は、「海外に単独で出張し、英語環境で交渉できるレベルになること」が一つの目標であった。が、最初経験した共同案件があまりにハードルが高かったこともあり、意外にあっさりとこのレベルは、実務的にクリアしてしまったたように思う。

が、思い描いた英語レベルに達しているかといえば、Noだ。例えば、IELTSで7.5や、TOEFLで105点といったのが一つのベンチマークではあるも、そこにはぜんぜん到達するレベルではない。ブロークンなイングリッシュでも、何とか伝えられはするだろう、というメンタリティが身についただけだ。アングロサクソン系の人々と、ガチンコで交渉できるレベルかといえば、やはりそうでもない。

相手も僕が非ネイティブであることを理解したうえで、付き合ってくれていることを感じる。というのも、僕個人の信用のみならず、会社全体の信用が重要で、そこに関して、相手が付き合うことのメリットを見出しているからだ。組織の看板に守られているおかげで、ガチンコの局面に至っていない、というのが正確な自己評価であろう。

脱線したらあまりに長くなってしまった。が、言いたいことは、緊張感がなくなってきていること、にもかかわらず実際の能力は当初想定に比べればぜんぜんに理想値には至っていないし、総合商社というノウハウのるつぼといった環境から貪欲に学ぶこともできていない、ということだ。

長くなったがキャリアの振り返りも自分自身が、緩んでいること、当初の目的を思い出す必要性を感じていることにある。前の記事でも書いた通り、出世を目指すことは必須である。そのためにできることは何でもやるべきだ、と自分自身は考えている。

それは評価を得たい、偉くなりたいというよりも、自分が出世し、多くの影響力を発揮できれば、それは会社にとって善になると信じているからだ。やりたいことがたくさんあるのに対して、コントロールできる範囲が狭い。ラインマネージャー以下は、かなりコントロール可能な範囲が狭く、やりくりしているのが実態である。もう少しコントロール範囲が広くなれば、より多くのこと、大きなことができると感じている。

英語力に関しては周囲のレベルにかかわらず、ネイティブと対等以上に議論できるレベルを目指さなくてはいけない。客観的な基準としてTOEFL105点、IELTS7.5は欲しい。これでも全く十分ではないのだろうが、そもそもこの点数も取れないようでは土俵に立っているとは言えないからだ。コーチングスクールでもなんでもお金でスピードアップが図れるならば、手段を択ばずこなすべきであろう。

また、出世のために必要な商社マンとしての動き方をすべきだろう。上司と良い関係を作るのはもちろん、他部門の人ともうまく交流し、顔を売っていく、そうした地道な努力も必要だ。ただでさえ、中途採用者は人的なネットワークが狭いのだから。

研修をきちんと受けることも一つ重要だろう。総合商社の持つ組織的なノウハウを存分に吸収することも一つであるし、研修を受けている姿勢そのものが人事部に対しても、上の役職者に対しても、一つのメッセージになるからだ。特に貿易を生業とする以上、トレーディングに関して深い知識は、業務での機会は限定的でも、研修では貪欲に追い求めるべきだ。

以上、自分自身への叱咤激励の意味も込めて、記録として残しておく。時間がたった後に見直して、対策が取れているか、レビューしたいと思う。



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