キャリアの振り返り①

僕は新卒で監査法人に入り(正確には3年生からパートタイムで働いていた)、そこから再生に強いコンサルティング会社に入り、そこから退職し、しばらく個人事業主としてコンサルティング業務をしていた。そこから総合商社に契約社員で入ったのち、中途採用試験を受けて、今に至っている。特に個人事業主を挟んでいる点はユニークと言えるかも知れない。

二つ目のコンサルティング会社までは、ある意味でやりたい事をイメージしたキャリアである一方、そこから個人事業主になることも、さらには総合商社に入ることも全く想定はしていなかった。

個人事業主になったのは、友人からベンチャーの立ち上げに際して誘われたからだ。実際にコンサル会社の退職後も数ヶ月は事業立ち上げに向けて動いていた。が、パートナーの人間とは性格的な差もあり、やりたい事が必ずしも合致していない為、些細な認識の相違から、別々の道を歩むことになった。

スタートアップ界隈の雰囲気も、僕自身馴染めるもので必ずしもなかった。コンサルタントとして、曲がりなりにもプロフェッショナル然として働いていた身としては、どうも緩すぎる感じがしたのだ。あくまで僕の観測範囲の事だし、実際、継続していたかつての友人は立派に会社を経営しているから、緩いなんて言葉で形容するのはフェアではないだろうけども。

で、事業の立ち上げの企画段階から、当面の食い扶持を得るべく、コンサルティングの受託業務を探し始めた。いざ自分が始めるまでしらなかったのだが、人手不足のコンサル会社であったり、又は、コンサル会社に頼むほどの予算のない会社が、個人事業主のコンサルタントに委託するニーズが存在する。個人事業主のコンサルタントの単価もまちまちであるが、ミニマムでも月額100万円、高いと300-400万円も請求できる。
これでもファームに頼むよりは安いから、十分に正当化できる、というわけだ。

コンサル会社でジュニアなレベルでしか無かった僕は、辞めて個人事業主のコンサルティングを始めた途端に給料が倍になった。なんともまぁ不思議な感覚がしたものだ。高い報酬を正当化してくれた業界の先人に感謝したりもした。
スポット契約だから、値上げも容易であり、月に10万円ぐらいであればすぐに上げられた。

個人事業主として続けられたのは、この高額の報酬があったのも大きな理由の一つだ。

また、ファームではプロジェクトマネジメントの経験もなかったから、コンサルティング会社のアンダーで入る案件は別にしても、エンドの顧客と直で行う案件では、すべてのプロジェクトの設計から品質管理を単独で行う必要もあり、これは随分と勉強させて頂いたと思う。

単独でクライアントに常駐し、課題を整理し、クライアントメンバーのリソースを活かすことで価値を最大化する、というスタイルが形作られた。もちろんクライアントのニーズは、アドバイスではなく、手を動かす実行部隊、というのが殆どであったが、この要求には応えながらも、大体のケースで、いくらか担当者を付けてくれるので、自分単独で出来る範囲以上の仕事はできた。

お金を払う側に対して仕事を要求するわけだから、いま考えれば中々、ハードルの高いことをしていたと思う。その分、自分が懸命に出来る限りの仕事をする姿勢は見せるよう心掛けた。こちらの頑張りが見えれば、クライアント側にも相応のアクションを要求できるからだ。

色々な業界の内部を見たかったから、契約は原則的に1回は延長し、半年以上にはならないようにしていた。その方が、クライアントもコンサル頼みにないし、僕自身、徐々に緊張感が無くなることも防ぐことが出来ると考えた。

経験のある人ならば分かるが、同一クライアントで延長する事が最も費用対効果の高い。キャッチアップコストはかなり高いからだ。が、僕はむしろコンサルタントの醍醐味はこのキャッチアップにあると考えていた。

で、もう一つは、個人事業主であることで、時折、インプットだけに専念する空白期間を設けることができた。相当な報酬があるから、半年程度、働けば通常の年収ぐらいは稼げる。

この空白期間がとても貴重であった。学生時代に十分に勉強できなかった歴史や数学、化学、物理、或いは、哲学者や古典小説など、インプットすることができた。これは今振り返っても、非常に貴重であったと思う。仕事をしては、間に空白期間を挟むを繰り返した。

長くなったので、一先ずここらで区切りにしようと思う。


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