見出し画像

141. 感覚論「0.1の経験値を身体にばら撒く」

みなさんこんにちは。三浦優希です。

今日は、僕なりの「感覚との向き合い方」についての考えをお話ししたいと思います。よろしくお願いします。

0.1の経験値を身体にばら撒く

僕は、今年のオフシーズンから新たなトレーニングを取り入れています。テーマとしては、「より高いパフォーマンスを発揮するための体の本当の動かし方をマスターする」というものです。北米で戦い抜くための動きを、徹底的にインストールをしている段階ですが、そこでよく感じることがあります。

今行っているトレーニングでは、今まで意識をしたこともなかった動きをバンバン要求されます。例えば、腰を捻るような動きでも「仙腸関節から一番最初に動かす」と言われたり、例えばジャンプという動作だけでも「高重心の塊を上に飛ばす」など、普段であれば全く意識しないようなところに刺激を入れていきます。

このように、今まで全く考えもしなかったような動きを初めてやった時、僕は「何を意識すればいいか全くわからねえ」とか「そうやろうとしてるけどできてる感覚が全然ない」、「これ本当にできてるのか?」といった状態になることが多いです。

そして、ここからが大切なのですが、そういったいわゆる「まだ掴めていない状態」の時でも、「とにかくやってみる」ということがどれだけ大切かということを身に沁みて感じています。

例えばの話ですが、フォームが正しい/正しくないに関わらず、その「経験」を自分自身が持っておくことで、その動きに対して今まで経験値0だった状態から抜け出すことになります。これが、「0.1の経験値を身体にばら撒く」瞬間です。

ここが肝で、この「とりあえずやってみたことがある」という経験を持っていると、時間が経つにつれて、

「あっ、前やったこの動きって、この筋肉を意識しているってことか」

「コーチはこの部分のこと言っていたのか」

「なんか、前回より意識できることが増えてるな」

といった事象が起きます。

僕の場合でいうと、週1のトレーニングであっても、「先週やった時は全然力の入れ方がわからなかったのに、今週やってみたら違和感が少ないな」とか、「前に比べて意識できる部位がより鮮明になってるな」といった経験がバンバン高頻度で起きています。しかも面白いのが、前回のレッスンから1週間も空いているのにも関わらず、そういった感覚を体が受け取ることが本当に多いことです。

僕が持っているイメージとしては、紙に書かれたさまざまな場所に散らばっているたくさんのドット(点)が、最初は一本の線から繋がり、それがやがてクモの巣のようにどんどん広がっていくような感じです。

下手でもいいから丁寧に

ただ、この「新しいことを始めようとした時に、体や脳にその経験値を0.1でもいいから蓄える」というプロセスにおいて、一つ自分が大切にしているポイントがあります。

それは、初めて経験値を身体に与える瞬間を、決してテキトーにはやらないということです。先ほど、フォームが正しい/正しくないの話を例に出しましたが、これは「自分は正しいフォームを全力で再現する」という挑戦をして、それに対する結果が正しい/正しくないのどちらかであった、という話です。

つまり言いたいことは、ただ雑にやるのではなく、コーチから言われたことや、自分で見て学んだものを、できる限り高い再現度で表現しようとする姿勢を持ち続けようということです。

中学校の頃、美術の先生がよく「下手でもいいから丁寧に描きなさい」と生徒に伝えていました。当時の僕は「丁寧にやったとしても下手だったら意味ないじゃん」と思っていたのですが、今となってはその言葉の意味がわかるような気がします。

自分が何か習得したいことがあったときに、「これをいまここで身につける!」という丁寧な気持ちを持ちながらアクションを起こすことで、細胞が新たな動きをインストールし、それがその後の成長に繋がる大きな要因になる気がしています。(これこそあくまで感覚論ですが)

ちなみにこれは僕の経験則による話なので、科学的裏付けを調べたわけではありませんが、この0.1でも経験がある状態だと、次に同じことをやった時に、「自分が感じられる違い=成長度合い」をより知ることができるようになると思っています。

そしてこれは、スポーツに限らず、ビジネスの場や習い事、趣味や勉強においても通じることだと思っています。

初めて自分が学ぶことだとしても、時間をかけてでもまずは丁寧にやってみることが、自分の体に新体験を提供し、それが習得への第一歩となるはずです。

その感覚は言語化を助けるツールへ

僕はよく、いろんな人から「優希くんは言語化能力がとっても高いよね」と言っていただけることが多いです。

例えばいまYouTubeやTwitterなどを中心に公開している「三浦優希のワンポイントレッスン」というアイスホッケースキルの解説動画では、「見ていてとてもわかりやすいです」と言ったコメントを多くいただきます。自分ではまだまだだと思うところがたくさんあるのですが、それでもこのように言って頂けることは本当に嬉しいです。

この「言語化」が割とスムーズに行える理由としては、もちろん普段から本を読むなど文字に触れる機会が多いことも起因しているかと思いますが、それに加えて日頃から「感覚」の部分を丁寧に慎重に捉えようとしていることが大きく活きていると思います。それは陸上トレーニングに限らず氷上での練習の時も同じです。

例えばスケーティングレッスンの時に、
・足の裏のどの部分に体重をかければ体が安定するか
・フォアからバックに切り替えるときに上半身の向きはどのように変化するか
などを意識しながら行うことで、その動きを人に伝えるとなった時も、自分がどのようにインストールしたのかを思い出すことで、わかりやすく伝えることができます。

僕自身、これまで20年以上アイスホッケーをしてきたわけですが、今でもやったことのない動きが出てくることも未だにあり、その度に「できない」という経験をするわけですが、その瞬間こそ新たな感覚を養える最大限のチャンスです。

そこで、「自分が何に対して意識を集中させていたか」は、後々の自分自身や、誰かに指導をする際のガイドブックとなります。

そして僕は、そんな新しい経験をする瞬間が最高に大好きです。自分が知らない世界のものに触れられた時、幸せを感じることが多いです。

最後に

今回のお話では、
・0.1の経験値を身体にばら撒くこと
・できなくてもいいから丁寧に行うこと
・それが言語化を助けるツールになること

について自分なりの考えをお伝えさせて頂きました。この感覚論は人それぞれ違いがあると思いますが、僕の例が少しでもみなさんの参考になれば幸いです。

また氷上や陸上を含め、僕はさまざまな人に教わることが多いですが、そんな僕の姿勢を理解してくれるコーチたちが自分の周りにいることが本当に幸運だと思います。こういった人たちのためにも、やっぱり結果でお返ししたい!と強く感じます。

これからも本気で頑張るぞ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

三浦優希

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?