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"憧れ"という入口から、国を知ることについて

ミュンヘンで泊まったAirbnbは、その町に住むおばあさんの家を間借りするものでした。

お上品にカーディガンを羽織ったおばあさんに案内されたのは、赤で統一された屋根裏のかわいい部屋。

小さめのベッド、トールペイントがほどこさらたクローゼット、物語のおばあちゃんが座っていそうな揺り椅子。

子どものころに見た、アニメの『ハイジ』や絵本の『3匹の子熊』の世界のようです。

そう、そして、ここはドイツ。
待っているのは、優しいおばあちゃん。
夕食にはおいしいザワークラウトとソーセージ。

ハイジよりも、3匹の子熊よりも、もっと近い世界観のお話がありました。

子どものころ大好きだった童話『大泥棒ホッツェンプロッツ』です。

はじめてホッツェンプロッツを読んでから20年以上経つけれど。

そういえば、私のドイツのイメージの根底にはずっと、大泥棒ホッツェンプロッツの大好物のおいしいザワークラウトとソーセージ、そしてオルゴール付きのコーヒー挽きでコーヒーをいれ、大泥棒ホッツェンプロッツにも優しくしてしまうおばあちゃんがいました。

もちろん大人になって政治やスポーツや、仕事に行く先として、ドイツを知ってはいくのだけれど。
なんだか存在するホッツェンプロッツ的なドイツへの憧れ。

きっとそういう人は世界中にいるんじゃないかなぁ。

日本のアニメを見てきた海外の人が、日本でおにぎりを見て、「あのキャラが食べてた三角のやつの本物!?」って感動するのと、似た感覚かもしれません。

行ったことない国や地域に、子どもが憧れを持つきっかけになる、童話やアニメーション。
その力って、すごい影響力があるのではないかと思います。

もちろんその国を知るうえで客観的な事実を知っていくことは大事だけれど、そういう「憧れ」という入口とたくさん出会える人が増えると、平和に楽しく生きやすくなるんじゃないかなと考えました。

ミュンヘン空港で、子どものころ憧れていた、ザワークラウトとソーセージを食べながら。


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