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天職をあえて転職した私

天職とは何でしょう?

天職をいきなり語るより、まずは天職とは何かを考えましょう。
この時ヒントになるのは、日本で暮らした Héctor García , Francesc Miralles の「ikigai」という本で紹介された考え方だと思います。

この中で、日本語の「生きがい」という概念を4つの構成要素で表されています。
その4つの構成要素は下記の4つです。

好き(What you love)
得意(What you are good at)
稼げる(What you can be paid for)
社会に必要とされる(What the world needs)

そして、これらのうち2つが重なった部分に関して、それぞれを次のように定義しています。

好き × 得意 = 情熱(Passion)
得意 × 稼げる = 職業(Profession)
稼げる × 社会に必要とされる = 天職(Vocation)
必要とされる × 好き = 使命(Mission)

そして、さらにこの4つ全てが重なるものが「生きがい」と示しています。

つまり、天職とは「稼げる × 社会に必要とされる」ものだとするならば、
私には前職がまさにそうだったと思います。

私の天職

私の前職は、予備校で生徒の志望校合格への道をサポートすることです。
そして、生徒達が目標を達成し笑顔で卒業できるように、サポートする社員やアルバイトが働きやすい環境にし、動きやすいようにビジョンを共有することです。

退職してもう5年以上経っているのに、
今でも脳裏に鮮やかに残っている記憶。

合格した時の笑顔。
不合格だった時の涙。
それは生徒だけでなくスタッフも一緒。
その一つひとつが記憶には残っています。

それと同じぐらい鮮やかに記憶に残るのは、
生徒とそのご家族の紡いだ一つひとつのストーリー

結果には必ず原因があります。
成績が伸びないのにも、原因が必ずあります。
それはもともとの「頭の良さ」だと思っている人が多いが違います。
人間の脳はたいして変わらないですから。

例えば
勉強以外の気掛かりなことがあり、集中できないことが原因だったり、
自分の強みがわからず生かせないまま時間だけかかる勉強をしていたり。
保護者の顔色を伺ったり、模試の結果で無理のない範囲を考えて、
自分の「志望校として書くところ」を選んでいるだけで、
未来の自分のありたい姿を想像した上で大学で何をしたいから
どこの大学に行きたいかなど掘り下げて選択した目標ではなかったり・・・。

その理由は本当に様々です。
この仕事の醍醐味は、そんな生徒や保護者の方と
一緒に目標を設定し、そこに向けて伴走することでした。

そのために必要なのことは、
生徒自身がまずは自分を理解すること、
自分の強みは何でどう生かすかということ、
それらをもとにどのように目標までの計画を練り、
そして努力し続けるかということです。

その経験は社会人になっても成果を出すのに役立つと思っていますし、実際卒業生が大学の教授から褒められたと嬉しそうに語っていました。

この仕事を20年もしていれば、
たくさんの生徒が大学や大学院を卒業し
社会人となり、結婚しています。
同期が集まる会に呼ばれたり、
結婚式に呼ばれたり、
個人的に会ったりすることが卒業後もあります。
そのような機会に社会人なった後の仕事の話や、苦労をしているけれどそれをどう乗り換えたかの話を聞く時があります。
その成長の姿を見聞きするのは、本当に嬉しいです。

様々な業界に進み、着実に自分の道を進みながら社会貢献をしてくれている元生徒たち。
私一人でできることはたかが知れています。
しかし、自分のしてきた仕事の結果が垣間見える彼らの成長はそれ以上の大きな価値を社会に還元してくれていると思います。
そこに社会的意義も感じていました。

「稼げる × 社会に必要とされる」ですが、
当時の私はマネージャーとして担当していた校舎も担当していたエリア全体としても好調で、あっという間にエリアマネージャーにまでなったので文字通り「稼げる」仕事だったと思います。
(ONとOFFの境目が全くわからない働き方の後半9年間でしたが・・・)
そして、子供への目標達成へのチャレンジをサポートすることは「社会に必要とされる」仕事と言えるでしょう。

やりがいを持てるからこそ境目が全くわからない後半9年間となり、自分の体調がおかしいことにも気づかなかったのです。
この時、日々の生徒や部下達の成長を見ることで得られる達成感や幸福感、満足感が、自分自身に意識を向かせることの障害となっていたのだとわかりました。

天職は良い影響を及ぼすのだろうか?

天職というと良いものというイメージが強いですよね?
ただ、天職だからこその充実感や満足度が、残念ながら自分の成長を止めることがあるのかもしれません。

私は、成長の鈍化には薄々気づいていたのに目を塞ぎ、体調が変だなと思っても気のせいと後回し。
母の体調がおかしいのも倒れるまで気づかないほど注意をはらえていない。
仕事や成果に満足しているはずなのに、なぜか空虚に感じる瞬間があったりモヤモヤする。
そういうマイナスを天職のやりがいが隠してしまっていたのだと思います。
自分の全ベクトルが仕事関係にしか向いていないぐらいフロー状態が続いていたのです。

こんな状況だった時、ちょうど元上司と会う機会に恵まれ、成り行きでコーチングをしてもらったのです。
コーチングのおかげで、仕事にしか意識のベクトルが向いてなかった自分あるべき姿を考えて追い求める自分がいなくなっていたことに気づいたのです。

そして改めて、生きがいといえるレベルに引き上げ「ありたい姿」を下記の4つの方程式で考えてみます。

好き × 得意 = 情熱(Passion)
得意 × 稼げる = 職業(Profession)
稼げる × 社会に必要とされる = 天職(Vocation)
社会に必要とされる × 好き = 使命(Mission)

私の問題は「好き」だったのではないかなと思います。
確かに子供は好きですし、人の成長に伴走することも好きです。
しかし、エリアマネージャーの後、課長になり現場を離れ、本部に入った時に目の前の環境に常に生徒がいた環境はなくなったのです。
別に企画業務も苦手ではないし間接的には生徒のためになります。
しかし、直接コーチングや指導する機会は激減しました。

生徒や保護者からも、会社からも、
必要とされていると実感はしていても、
自分の中の「好き」は満たされないものです。
本当に「好き」なことはできませんが、
他の「得意」「社会に必要とされる」「稼げる」は満たしてるせいか、
周囲から「贅沢だ」とも言われました。
日々得られる達成感や満足感では誤魔化せない諦念がそこにありました。
必要とされている間はこのままでいるべきではないかと自分を誤魔化そうとした時間もあります。
この環境や仲間を失うことが怖かったのかもしれません。

しかし、自分にはありたい姿があり、この職場ではそれが得られないのならば手放すことも必要です。
手放す勇気が必要でした。

天職を転職した私の現在

体調の悪化と親の体調不良もあり、
きっとこれは神様が「もういいんじゃない?自分に正直になれば」と言っている気がして、思い切って転職しました。
周りから見ても天職だと思われていたのでしょう。
理由を何度聞かれたかわかりません。

しかし、私には必要な決断でした。
自分の最終的な仕事を相談業務にし、一人でも多くの人の目標達成の手伝いをし、最幸の人生を作る人生でありたいと考えました。

そうすると、必要となるプロとなるためのコーチングの体系的知識を身につけることができて、ワークショップを設計できる知識と経験値をつけるための場を得ることが必要だと考えて転職を決めたのです。

40歳での転職はやはりスムーズにこなすまでに時間を要したと思います。
転職活動の時期と入社して1年、ストレスで体調も一時期とても悪化しました。
このまま継続できるかなと思った時期もあります。
それでも1年もすればなんとか笑顔でこなせるようになるものです。

そして、ある程度、先読みしながら遂行できるぐらいになってきた時、幸運なことに会社で副業が届出制で可能となりました。
新しいロールモデルの方に出会ったり、新しい仲間も得ました。
まさにプランドハップンスタンスです。
あえてコンフォートゾーンを捨てたから手に入った新しい空間です。

本業の気分転換を
副業のために必要なスキルを身につける努力や副業の努力で行えることに気づけました。
本業と副業と余暇のバランスは思っていたよりも大変ですが、それでもikigaiとなる仕事を成長させることを楽しみながら進めていきたいと思います。
おばあちゃんになって、あの時に決断し頑張ったからこの最幸の人生を生けていると笑顔でいる姿が頭の中にはっきりと見えています。

おまけ

このページのヘッドの写真をどうしようかなと思っていた時に
この黒猫に目が行き思い出しました。
黒猫は「幸運の前兆」と言われ、拾ってでも飼えと言われていると聞いたことがあります。
実はコーチングを受けて考え始めた日の帰り道に、
近所の好きなスポットで黒猫と視線があったんですよね。
とても可愛い猫で近寄ろうとしたら逃げてしまったのですが、
視線が合うというのは行動を応援しているという意味だと
スピリチュアル好きの友人に何かの折に聞きました。
ということは、あの時の黒猫に背中を押してもらっていたのかな。

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